テラーノベル
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🖤💙
社会人パロディ
年齢操作あり(年齢上下逆転)
〜〜〜〜〜〜〜〜
「ねぇ。君、1人?隣いい?」
「…………」
「俺、蓮っていうんだけど、名前なんていうの?」
「………教えたくない」
「ん〜そっか。じゃあ、恋人はいるの?」
「いないって言ったら、ちゃんと口説いてくれるの?」
お決まりの定型分を何度も繰り返してるかのような棒読みの口調
真っ直ぐに前を向いたままで、こちらを向こうとすらしない
(これは相当ナンパされ慣れてるなぁ)
とはいえ、それも納得できるような見た目だ
男同士の出会いの場やデートの場となっている雰囲気のいい会員制のラウンジバー
会員費用もあるから、ルールやマナーを守れないような程度の低い奴らはいない
それなりに外見を磨いている男が多い中でも、その容姿は抜きん出ている
背丈は平均身長程度で、でも手足が長くスタイルがいい
細身ではあるものの、程よく鍛えていることが伺える
柔らかそうな茶髪に、大きな瞳の整った塩顔
そしてなにより白くて美しい肌が目を引く
話してみればその声も魅力的だ
「その台詞言うの何回目なの?笑」
「……ん〜、今年に入ってからだけでも30回くらいは」
ちょっと変わった質問だったらしく、ちらりと横目で視線を投げながら返される
目線を引くのには成功だ
「みんな、もちろんって返すでしょう?」
「うん」
「そしたら、どうするの?」
「そのまま向こうが色々と言ってくる」
「その中に嬉しい口説き方はあった?」
「全然ない」
「じゃあ、君はどうやって口説かれたら嬉しいの?」
「え〜、そんなこと、聞かれたことないんだけど……」
淡々とあしらうように返されていた会話のテンポが少し変わってきた
「じゃあ考えてみて?」
「ん〜、、、まぁまずは、優しくちゃんと名前呼んで欲しいかなぁ」
「名前呼ばれたら嬉しいんだ」
「そりゃ嬉しいでしょ。君って呼ばれながら口説かれたって、俺じゃなくてもいいじゃんってなるし」
「それは確かにそうだね。ちなみに名前なんていうの?」
「え?翔太………あっ!」
「翔太くんね。俺は蓮です」
「さっき聞いた」
ひとまず名前が聞き出せた
翔太くんは悔しそうに唇を突き出してる
少し向こうを向いて、こちらを見ないようにしているのをいいことに、密かに耳元に口を寄せる
「翔太、続き教えて?」
少し低めの声で囁けば、肩がビクッと揺れる
振り向いたその頬はほんのり染まっている
「っ!……急に、なに」
「名前呼ばれたら嬉しいんでしょ?」
「………ふん」
「続きないの?翔太くん」
「……………………」
ようやく、その綺麗な顔をこちらに向けてくれた翔太くんは、胡散臭そうに俺のことをじっと見つめる
俺は沈黙は苦手じゃない
翔太くんが話し出すまで、微笑みをキープしたまま見つめ返す
「はぁ〜」
諦めたようにため息を大きくつく
それにすら微笑みで返せば、さらに嫌そうな顔をされるけど、その表情すらも俺には可愛く見える
「……あのさ」
「うん?」
「……名前は呼び捨てでいいよ」
「わかった。翔太」
「ん、蓮……さん?はいくつ?」
「俺の年齢?29だよ」
「やっぱ年上か」
「翔太は?」
「24」
「ふぅん、じゃあ今2年目?」
「うん」
「そっか」
「あの……」
次の言葉を紡ぐのを迷うかのように口を開いたり閉じたりしている翔太を待つ
しばしの沈黙
根気よく待てば、ようやくまた話し始めた
「……………蓮さんは、どうして俺に声をかけたの」
「正直なところ、最初は見た目の優美さに目を惹かれた……でもそれだけなら声はかけなかったんだけど」
「……けど?」
「なんかどっか寂し気な目をしてるのはなんでなのかな?って気になって」
「っ!………………」
自分の顔の目元に指をトントンと当てながら、翔太の瞳を覗き込むようにして聞く
これは本当のことだ
バーに入ってすぐ、多くの目線が彼に向いていることに気づき、俺もその魅力に見惚れた
でも視線を集める彼は、その注目をものともせず、カウンターに頬杖をつきながら虚空を見つめて1人ため息をついていた
迂闊に人を引き寄せない雰囲気に様子を伺っている連中は、ため息をつく仕草にすら感嘆の声を漏らす
だけど俺はその瞳に滲む孤独感に興味を持った
相手なら引く手数多であろう彼が、そして出会いの機会の多いこの店の中で、あんなにも顔を曇らす理由はなんなのか
俺の今日の当初の目的はいい出会いだったから、もちろん下心がないわけではない
それでも彼のその目を見たら、それよりも彼の中身を知りたい気持ちが勝った
そして話しかけてみれば、警戒心を隠そうともしない冷たい態度をとる
淋しげな瞳をする割に人を拒絶するような雰囲気を出して、それでもこういう場に足を運ぶ彼の、心の奥底には何があるのか
「無理に話さなくてもいいんだけどね」
「………………ん〜、う〜ん」
しばらく思案した翔太は、カウンターチェアをくるりと回転させて俺の方に向き合い、目の奥を覗くように見つめてくる
どうやら俺のことを値踏みしているようだ
「ん」
唐突に手の甲を上にして片手を差し出してくる
「こう?」
すぐには握らず、その手の下に手のひらを広げると、そっと上から手を乗せてきた
「握っていいの?」
「ん」
少し小さめで滑らかな肌をした手を柔らかく握る
それをじっと見つめた翔太は、視線をそこに向けたまま、少しずつ言葉を溢し始めた
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楽しみです!!
