テラーノベル
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「……そんなこと、言われたの、初めて」
「うん?」
「どうして寂しいの?なんて、聞かれたことない」
「そうなんだ」
「俺に、声かけてくるやつは、みんな、1人だと寂しいでしょって、決めつけて、適当な褒め言葉並べて、俺のことなんて、ちっとも見てなくて」
「そっか」
俺の反応を伺うようにしながら、ゆっくりと一言ずつ発していく
少しの沈黙が訪れても続きを促したりせずに、微笑んだままひたすらに待つ
柔らかく握ったままの手を離さず、でも力を入れたりもせず
話すかを少し考えるように黙った後、さっきまでの突き放すようなトーンから、素直に寂しさを滲ませた声色で再び言葉を発する
「俺はただ、優しく、抱きしめてくれて、安心を、くれる人が、欲しいだけなのに」
「うん」
「みんなが、俺に、求めるのは、一夜の、快楽だけで」
「うん」
「優しかった人には、期待して、ついて行ってみたりも、したけど、結局、一緒で」
「うん」
「なんとか、逃げ帰って、またかって落胆して」
声に悲しみの色が混じり始める
「だから、俺は、ずっと、寂しいままで」
「そっか」
「もういいやって、思うことも、あるけど、でも、諦めきれない、自分もいて」
「そうだね」
「蓮さんは………」
「うん?」
握った手をじっと見ていて少し俯いていた顔が上がり、目が合う
少しだけ潤んだ瞳で、祈るような顔をしている
「蓮さんも、みんなと一緒?」
「……それは、言葉で違うって言っても、翔太は信じられないでしょ?」
「それは…………そう、だけど」
信じたい気持ちと信じられない気持ちで揺れているのだろう
また少し俯いたつむじに言葉を落とす
「もし、翔太が信じてみたいって俺に期待してくれているんだったら」
「?」
可愛らしい瞳とまた目が合う
「部屋を取るよ。ラブホとかじゃなくて普通のホテルの」
「………それで?」
「一晩中ただ抱きしめてあげるよ。それで話をしよう、翔太が眠たくなるまで」
「話?」
「翔太のこと教えて?知りたかったら俺の話もするよ」
「…………ほんとに?」
「ん、ほんと」
葛藤しているのだろう
2人の間に静けさが漂う
そして泣きそうな声が聞こえてくる
「…………信じてみたい」
「わかった。すぐ行く?もう少しここで話す?」
「……すぐ、がいい」
「オッケー。ちょっとだけ待ってね?」
「…ん」
バーから近くて、落ち着いた雰囲気の部屋があるホテルを検索する
今日は金曜で週末だから埋まっているところがほとんどだったが、幸いにも近くに一部屋空きがあった
「ダブルでいい?」
「うん」
「空いてるところあったから行こうか」
「うん」
握ったままの手はずっと、ぎゅっと強く力が入っていた
そのまま手を引いてバーから連れ出す
コメント
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kaede🍁さんていつ寝てるのー?😱いつもありがとうございます💙