テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
🦍視点
🦍「翼を閉じた鳥は従順に見える。
でもそれは逃げないんじゃなくて
逃げられないだけなんだよ。
…その違いは分かるか?」
その結果がもし自分の元を離れようと
彼自身が選び離れるならば受け入れよう。
🍌視点
屋敷の廊下をそっと歩いていた。
皆が眠った深夜
風の音すらしない静けさの中。
どうしても心のざわめきが収まらなかった。
この場所はおかしい。
そう確信に近い違和感が
胸の奥で疼いていた。
「逃げないんじゃなくて
逃げられないだけなんだよ。」
あの時のドズルさんの言葉が
頭にこびりついていた。
まるで自分のことを
言っているようだったからだ。
屋敷の中は異様なほど静まり返っていた。
音を立てぬよう廊下を歩く。
部屋の扉を1つまた1つと
静かに開けていく。
だがどの窓にも
しっかりと鍵がかかっていて
外の空気を感じることすらできない。
この屋敷から出る事は出来ない
その確信が冷たく突き刺さった。
『…帰りたい。』
小さな声が自分の口から漏れる。
『なんでここんなとこに
来ちゃったのかな。』
歩くたびに不安は募る。
けれど誰かに助けを求めるのは
違う気がした。
食事の時の嫌な雰囲気は
みんな何かを隠しているそう感じた。
そのときだった。
🐷「おんりーちゃん?」
突然背後から声をかけられ心臓が跳ねた。
振り返ると
そこにはめんさんが立っていた。
🐷「こんな時間にどうしたの?」
『……ちょっと寝られなくて。
外の風に当たりたくて。』
僕の声は自然に震えていた。
めんさんは笑った。
柔らかい顔で。
🐷「そっか。外の風ね。」
少しだけ首をかしげ彼は静かに続けた。
🐷「でも……この屋敷の窓って
外側内側どちら側からも
鍵がかかるようになってるんだよ?」
めんさんは窓に近づき
重いカーテンを開けて見せた。
🐷「おんりーちゃんだって
自分で見て気づいたでしょ?」
『な、なんでそのことを。』
🐷「俺ねずっと見てたんだ。
おんりーちゃんが部屋から出る時も
廊下で扉を開けてる時も。
全部全部見てた。」
🐷「だって不安なんだもん。」
声は優しい。
手のひらで頬を撫でるような
そんな暖かい声。
なのに心がぞっと冷える。
『か、帰りたい。
ここから出してよ…。』
めんさんの瞳が鋭く光った。
けれどすぐにそれをかき消すように
また柔らかく笑った。
🐷「……わかった。
じゃあ、部屋に戻ろうか。」
『え…。
ちょっと待ってめんさん…?
嫌だやめてよ外に出して。』
🐷「おんりーちゃんは混乱してるだけだよ。
大丈夫すぐ慣れるよ。
ここには危ない物なんてないから。」
めんさんの目はまるで
ガラス細工のように澄んでいて
どこにも逃げ道のない檻のようだった。
🐷「おんりーちゃん愛された事
なかったんでしょ。寂しかったんでしょ。
俺はなんでも知ってるんだよ。」
その声はどこまでも優しかった。
🐷「ここならみんな愛してくれるよ。
今は分からないかもしれないけど
檻の中が1番幸せだって
いつか分かるからね。」
掴まれた手首がとても痛い。
来た道を戻る
もう逃げ場はなかった。
🦍視点
僕はただ静かに壁にもたれながら
めんとおんりーの会話を盗み聞きする。
それでも今は動かない。
🦍「僕はね…おんりーのことを
誰にも渡す気なんて最初からないんだ。」
彼自身が選び離れるならば受け入れよう
と言ったがあれは偽善者ぶった
仮面を付けた僕だ。
ただ翼を折る気はない。
でも飛ぼうとするなら
その足を切り落としてでも傍に置く。
能ある鷹は爪を隠す。
🦍「飛び立つ前に翼ごと
抱きしめてしまえばいいだけの話だ。」
1000❤︎↑
超長編になりそうな予感😌
コメント
6件
初コメ失礼します! 初めて主様の作品を読みこの作品めっちゃ好き!!!ってなりました✨✨他の作品も見てみようと思います!! 主様の書き方とても好みです!! 続き楽しみに待ってます!!
🐷はゆっくり取り込もうとしていってますね… ていうか、サラッと🐷監視してますよね…!?それを🦍さんも見てる訳だから…🍌チャン…完全にハマったね()
🦍さん最初はまともだと思ったのにやっぱりダメだったか…🍆さん以外の皆は正体あらわしてきたからそろそろ🍆さんもかな〜?🐷の発言の全てに私は興奮をしてしまったよ…