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身体能力だけはブラックピット並かと思われる飛び降り方をした彼女は静寂な森林深くにやってきた。変わらずブラックピットは目を閉じたまま起床せず。地面に彼と共に座り込むとどこか不思議に思い、手元にあるダークネスラインを置く。
しばらくして30分後にブラックピットは目が覚め、ゆっくりと体を起き上がらせる。
「ん……っ」
「!?どこだここ…」
「それにお前……」
「起きた。」
早速警戒心を強め、立ち上がる。しかし彼女は何も細工はしてこない模様。
「オレはたしか…あの神弓に呑み込まれ…」
「でもなにか…手を掴まれた感覚…あれは一体…」
自分の手を一度拝見した後、まさかと思い彼女を見る。
「お前が助けた…のか?
なんの力もないお前が…?怪しいにも程があるだろ」
「ほんと。あと……」
「これにも呼ばれた。」
手元のダークネスラインをブラックピットに向けてみる。その神器が彼女を導いた、そう告げたいのだろう。
「呼ばれたって……それにか?」
「神器が人を呼ぶ…おかしな現象だな」
「ね……」
「名前…つけて。私の」
何を言い出すかと思えばここで名前の提案ときた。ブラックピットは今更かと思い、困惑し始める。
「はぁ…つけて欲しいのか?オレに」
「却下だ。」
「なんで」
「理由もなんも…すぐには思いつかねぇよ。てか、つけたくねぇ。お前みたいなやつなんかによ」
「嫌なの…?」
「ンなことより、さっさとナチュレのとこに戻らねぇと。」
「あいつカンカンに怒ってやがんだろうな。想像しただけで寒気が来るぜ」
「…コレ。」
「あ?」
懐から取り出された黒ごまプリン。彼女の大好物であり、名前決めにこれは欠かさまいと手渡す。
「食っていいのか?」
「ご自由。」
じーっとそれを見つめ、騙されたと思って口元に含む。その瞬間、ブラックピットは瞳を大きく開かせ。
「なんだこれ…うめぇ」
「まだ数個はある」
「そんなに持ち歩いてんのかよ。プリン系好きなのか?」
「うん。」
当たり前のような質問をするブラックピットに対し彼女は言葉で返事。そして名前は決まったかと発する。
「…決まった?名前」
「そこまでオレに押し付けるその欲はなんだよ」
「そもそも決まるわけねぇだろ。バカが」
「……」
チラッと見る。やけに大人しくなったかと思いきや逆にダークネスラインを構え、刃を向けられていることにブラックピットは青ざめる。
「あーわかったわかった…わかったからひとまずそれを置け」
ダークネスラインを地面に置くとブラックピットの方へ再び立ち直る。
10分程度。咄嗟に思いついたブラックピットは腕を解き、彼女を見る。
「ヤミ……ヤミなんてどうだ」
「ヤミ…?」
「ああ。」
「由来は」
「適当に考えたからな。特に由来なんてもんは…」
「いやあるぞ。闇だ。」
「闇……コレの?」
「いや、ダークネスラインの事じゃねぇ。お前自身…何となく思いついたやつ。……言っとくが文句は受け付けてねぇからな?」
「…いい。いいかも…それ」
「フン。そうかよ」
互いに笑みを向け合う。まるで絆がほんの少し深まりつつあるかのよう。
だがそんな幕を閉じらせるような足音が目の前に。
「なんだ…?もし雑魚が相手なら余裕でぶっ飛ばしてやるぜ」
「……」
姿を現すと正体は――魔神タナトスと女戦士パンドーラであった。パンドーラはともかく、タナトスに驚愕。ピットから話は聞いているが、本人の登場には予想以上なこと。
「お前が魔神か。そしていちばん会いたくないやつも紛れ込んでることだしな」
「黒い天使…あなたがそうデスね?しかし、本当にピットくんに瓜二つデスね。売上高くなりますよ?」
「うふっ♡
巻き戻しの泉以来ね?ブラピくん」
「だから…ブラピって言うな!!」
「オレの前に来たってことはぶっ潰されたく来たんだよな?」
「いいえ。あくまで目標はあなたなのですから。」
「……?!」
ブラックピット…ではなくヤミを指し示す。
「こいつに用があるってか?なら渡す訳には行かない」
「ほう…それはなぜデス?」
「もうとっくに知ってるんだろう?冥府軍ならばな」
「聞きたいこと、山ほどあるんだよ!」
「邪魔をするってんなら容赦しねぇ。かかってくるならかかってこいよ!」
取り出したシルバーリップを相手に向け、鋭い殺気を。
そうデスか。とタナトスも本気を出しそうな低めの声を漏らし。
パンドーラは後ろで観戦しようと少し高く宙に上がる。
「ならば、強引な手段を使うしかほか無さそうデスね。」
「これはいい眺めね。頑張って〜タナトスぅ」
「では、わたしの本気。とくと見せてやりましょう!」
「へん・しん!」