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ここはクラブの国。
知識が豊富で、その博識さから王の寵愛を賜ったクラブの妃の娘がクイーンを務める国である。
音楽の都と呼ばれるほど古くより芸事が盛んであり、国民のほとんどが楽器を弾けると言われるほど国中が音楽に溢れかえっている。
また博識なものが多く、多くの大学が存在し、学生がみな教養を競っていた。
キング、ジャック共に長命人種であることから、最もトップ3の変動が少ない国だと言われている。
「はぁ。フェリちゃん大丈夫かな?」
クイーンの口から本日何度目ともわからないため息が漏れた。
それを見てジャックは微笑みを浮かべた、この言葉を彼女が言うのも、ため息が漏れるのも何度目かわからないからだ。
「何度目ですか?」
ジャックはクイーンにそう聞き返した。
だが、彼の顔には呆れ、というよりは微笑ましいと思っているような柔らかな笑みが浮かんでいた。
「だって!心配じゃないですか。ローデリヒさんは心配してないんですか?」
ムキになったようにそう聞き返す彼女の姿からは見た目相応の明るさを感じさせた。
「心配はしてますが、あそこのキングは私の従兄弟ですし、それにクイーンがお優しいですから」
「まぁそうですよ。菊は昔から優しいですけど。それは私が妹として見てきて知ってることですよ!」
「でも、私はそれよりもフェリちゃんがあいつに殺されないかが心配なんです。あいつのことだって私はずっと見てきてますから。あいつは人を殺す大義名分を見つけるのが上手いから」
クイーンの顔に影がよぎった。幼少期を思い返す。彼はいつだって我関せずで自分の利益を優先した。
兄3人と弟が王位争いをした時だって、彼だけが何も知らない顔をして、最終的に棚ぼた式で国王の地位まで手に入れてしまった。
計算高いあいつは菊のためだったら些細な愚痴だって全て聞き入れてしまうだろう。
それがあいつだから。私は昔からあいつのそういうところが心配だった。
「大丈夫ですよ。菊さんだっていつまでも同じ過ちを繰り返しはしないでしょう」
「そうですよね」
いまいち拭いきれない不安はきっと全部あいつのせいだろう。
私たちの辛気臭い顔。それを見てクラブの国のキングは口を出してきた。
子供らしさの抜けないあどけない王のことだ、自分だけ仲間外れであったのがつまらなかったのだろう。
「うーん。僕はアーサーくんに詳しくないからわからないけれど、流石にそこまで非道じゃないんじゃない?」
「ほら、彼菊くんにいつも優しいよね?」
「それをしかねないから怖いっつってんのよ」
「というかあいつは菊にだけ優しすぎて気持ち悪いのよ。私になんか一時期喧嘩腰だったわよ」
「すれ違った瞬間に向こうが煽ってくるもんだから喧嘩になって」
「懐かしいですね。昔はアーサーと貴女がかち合うと廊下が半壊状態になるからといって使用人が皆貴方方を鉢合わせないようにしていましたよ」
「あら?そんなこともありましたっけ?懐かしいですね」
彼女が敬語で話すのはただ1人自らのジャックであるローデリヒ・エーデルシュタインのみだ。
彼らはかつて婚姻を結んでいた。
大貴族エーデルシュタイン家の嫡男ローデリヒとトランプ王国第一王女のエリザベータは当時は二人揃って端麗な容姿、並んだ時の美しさからかそれはもうお似合いとして大変褒めそやされたそうだ。
ただし中身は博識で見目麗しくお淑やかな男と容姿は端麗であるものの戦姫と呼ばれるほど男勝りで荒々しい女というなんともあべこべな夫婦ではあったのだが。それでも折り合いをつけ、挙式の日程までも決まっていた。
彼女は尊敬する許嫁以外の男に決して敬語で話さない。
彼女が仕えるキングにさえ、彼女はタメ口を聞く。
「というか、それは多分おばあちゃんだから心配症になってるだけだよ」
「そこまで過敏になることないって」
「あんた今誰のことババアっつったの?私だったらフライパンで殴るわよ」
「首が飛んでもいいなら続けなさい」
「でもそうでしょ?並みの長命人種より生きてるでしょ?」
「君は僕やローデリヒくんと違って不老不死じゃん」
かつてこの世界に生息したエルフの血はほとんど絶えてしまった。
彼らの血が残るのは人と交わり子を成したものの子孫、長命人種とされる「不老長寿」の者たちのみである。
彼らは決して永遠の命を持つことはない。人として老いることがないが、彼らはみな何百年という長い期間を生きて若い姿のまま死んでいくのだ。
「こちとら好きで不老不死になったんじゃないわよ!」
「そもそも全部最初からアーサーのせいで!あいつがあんなことしなけりゃこうはならなかったわよ。あいつが大人しく王位継承して嫁とってたらそれで全部綺麗に終わってたわよ!」
彼女はそれ以上は言わず口を閉ざした。
その真実はキングでさえ知らない。遥昔、800年前の物語を知っているものはきっとクイーンの四人そしてハートの国以外のジャックのみ。長命人種の中でもさらに長命な彼らしか、きっとその全てを知るものはいないだろう。
「はぁ、イヴァン。貴方はもう仕事に戻りなさい」
「余計な散策はしないこと。いいわね?」
それ以上を言わせない。クイーンである彼女はジャックを連れて部屋を出てしまった。
#ヘタリアイラスト
YURI
568
角煮
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らりれるろ
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#アーサー受け
コメント
1件
読了〜!お疲れさまです!😭✨ もうね、クラブの国の女帝エリザベータさんとローデリヒさんの距離感が尊すぎてヤバい…!!!元許嫁で今は主従って、そんなん悶えるに決まってるじゃん!!🥺💕 それにしてもアーサーくんの過去が気になりすぎる。「あいつがこんなことしなけりゃ」って伏線が死ぬほど気になるんだが…!?不老不死になった理由も含めて800年前の真実、教えてくれYURI先生!!🔥 そしてフェリちゃんは大丈夫なのか…?次回が待ちきれんよ…( ;∀;)