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ここはダイヤの国。
名門商家の娘であり、豊かな富とそれらを持っても決して驕らず平等な心を持ったダイヤの妃の娘がクイーンを務める国である。
商人が多く四カ国の中で最も豊かと言われるほどの莫大な富を持つその国は経済の循環が良く利益を求めやってきた商人たちによる商店路が多く存在する。
またキング・ジャック共に頭が切れ経済のめぐりが良い事で有名な国でもある。
「ねぇねぇ、知ってる?ハートの国のジャック変わったんだって!なんでもエリザとローデリヒの義理の息子だとか」
ダイヤのキングはよく仕事をさぼる。
仕事をしたがらない彼はまた話題を変えることで仕事を回避しようとしたようである。
真面目な国民性の中でキングが唯一といっていいほどサボり癖があるのが王宮全員の悩みであった。
だが、ジャックもそこまで甘くない。いつも通り、仕事をさぼりたがる頭はキレるのに残念なキングの特性をよく理解していた。
そして、もはやそれを止めることがジャックの仕事となっていた。
「そんなこととっくに知っている!それよりも早く仕事をするのだ!」
「キングの貴様にしか出来ない仕事はごまんとあるのだ!」
普段ならそこで不貞腐れながらもキングが仕事に戻りすべてが終わっていた。
だが、今回はそれにクイーンが興味を示した。
そしてジャックは基本乳母兄妹であるクイーンに甘かった。
キングとしては何とも僥倖なことにサボることに成功したのである。
「待ってください。そのお話興味がありますわ」
「今回はハートの国のことですから。アーサーお兄様がどうなさるのか興味がありますの」
彼女は仕事をしていた机から顔をあげペンを置いた。
この国において、彼女の発言力はキングを凌いだ。
まずジャックが兄馬鹿であること、また国民が全員が彼女の清らかな心と美しい容姿を愛していた。
そして、それが歴史上もっとも民衆の反乱が少ないダイヤの国の実態でもあった。
「ほぉ~ら!お兄さんの話題にエリカ嬢が興味を示した!バッシュ、今日は俺の勝ちだねぇ~」
「バッシュの当てが外れるなんて珍し~」
「妹の子と一番理解してるんじゃないの~?」
「な!貴様!エリカがしゃっべているのだぞ!黙って聞け!」
「お兄様、落ち着いてください」
「フランシス様も煽らないでくださいませ!」
「で、アーサーの事でしょ?アイツなら何してもおかしくないよねぇ」
「またなんか理由つけてハートの国にちょっかい出したりして!」
「それは、十分ありうる話であると思いますよ」
「アーサーお兄様は昔から変わりませんから」
「それは、良い意味でも悪い意味でもってことね」
「そうなりますね」
「お兄様は昔から真っ直ぐですわ。ただその方向を少し誤ってしまったんです」
「昔から菊お兄様の事ばかり気にかけていられましたわ」
「大体の変人というのは芯は曲がってないのだ」
「ただ、常人では絶対に合わせることのできない、例えば139°など変な向きになっているだけだ」
「90°なんかの頑張れば合わせられる角度ではないのだ」
それははるか昔にバッシュが出した答えであり、何度と聞かされた仮説である。
ただ、実際の変人を前にするとなんとも説得力があるというのも否めない事実である。
特に、スペードの国のクイーンの事であると余計に説得力が増すのだ。
「う~ん。まぁアーサーは典型的なそのタイプだよねぇ」
ダイヤのキングとスペードのクイーンは腐れ縁の関係にあった。
遥か昔、トランプ王国が崩壊して100年ほどたったころ。スペードのクイーンは国を追われていた。
キングの弾圧的な政治に嫌気の指した民衆はそのキングを見つけたクイーンがすべて悪いと言った。
キングの傍若無人なふるまいには確かに目に余るものがあった。だが、本来の責任は全てキングにあるはずなのだ。
だが、キングが広場で処刑されてなおクイーンは白い目で見られ、罵声を浴びせられ、石を投げられる存在になっていた。
それを匿ったのが今のダイヤの国のキングだった。フランシス・ボヌフォワは町はずれの辺鄙な場所で菓子屋を営むごく普通の男だった。
だが、匿われていた期間にフランシスの人柄を知ったスペードの国のクイーンは彼をここ十年不在のダイヤの国のキングにしようと推薦をした。
そして、本人の知らぬ間にフランシスはキングになっていた。
当時、フランシスはそれはそれは猛反対をした。
『俺はお菓子作って売りながら、女の子を口説く生活が良いの‼』
『お前お兄さんを何にしたいわけ!?』
だが、すでに決まった事象に逆らえる力はフランシスにはなく、キングは永年雇用制。
彼は生きている限りキングのままでいることになってしまったのだ。
まぁ、こんな風にいやいやキングになり仕事をさぼりがちだからクイーンより発言力が弱いのだが。
「もうね、お兄さんアイツの身勝手さにはうんざり」
「それは吾輩のセリフなのだ!」
「アイツのせいでエリカまで苦労をすることに!」
それを見たキングは苦笑いをした。
「まぁまぁ、今度こそ耀が何とかすることを期待しようぜ?」
「アイツもずっと自分の従弟のために暴走する上司とか死んでも嫌でしょ」
コメント
1件
第6話読了〜!✨ ダイヤの国のキャラたちの掛け合いがめっちゃ軽快で、フランシス様のサボり癖とバッシュのツッコミが最高に面白い😂 そしてエリカ様の「お兄様」呼びに胸キュン…💕 アーサー様の変人エピソード(139°の角度!)には思わず笑った! こういう過去話が混ざるのが世界観に深み出て好き〜。次が気になる展開だね!🌸