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ゆあ。🪽
29
聖次
602
#初心者🔰
ゆあ
238
それでは、
どうぞっ。
ーーーーー
🩵「美咲ーーーーー…いやだーー、帰りたくない。。」
もう聞き慣れた、何度目かの台詞。
この子は空港に着くといつもこういう言う。
たった1週間で我慢できるわけないとか1ヶ月寂しいのは嫌だとか。
ずっと何か騒いでいるからワタシが全部手続きする羽目になって、少し手間がかかるけれど。
素直に甘えてくれるのは嬉しいし、何よりも年下らしくて可愛い。
🧡「どうせすぐにワタシが帰省するんだから、そんな騒ぐことじゃないでしょ。笑」
🩵「嫌なの!美咲が居ないと定期テストとか乗り切れない。」
🧡「バイトがなければ電話くらいなら出来るよ?」
そうこうしている内に、保安検査場まで辿り着いてしまって。
まだぐずっている柚葉を軽く抱き寄せると胸の辺りがなんだか暖かくなって、小さな啜り泣きが聞こえ息が詰まった。
🩵「……それでも、会いたいんだってば。」
🧡「ご、め、…出来るだけ、長く居るから。ね、」
🩵「…うん、っ、ん…」
いつもは屈託なく笑って、怒って、常にうるさいくらい元気なのに。
こういう時ばかりしおらしくて調子が狂う。
昨日買ったばかりの服なのに、なんて思いつつ声をかければ柚葉葉天を仰いで、唇に押し付けるようなキスをしてからワタシから離れ、前に向き直った。
🩵「また1ヶ月後会ったら、今度は美咲からキスくださいね、!笑」
航空券を握り締め、柚葉は中に入って行った。
もう振り返らない。あの子は切り替えが早いから。
ぼーっと眺めていたら彼女の厚底が検査に引っかかって、慌てて靴を脱いでいる。
ワタシのために、わざわざ履いてくれたやつ。
追われるのが好きそうとかよく言われるらしいが、意外と尽くしてくれるんだ。
無事通過できたようで、ドアの向こうに消えてゆく。
ふと、喪失感が一気に溢れ出してきて胸がぐうと閉まる感覚がする。
会いたくなるスピードはきっとワタシのほうが早い。
唇を舐めればほんの少し甘い香りのリップと涙が混ざった味がした。
明日は、大学もある。バイトだって忙しい。
それでも、ワタシも柚葉に会いたい。
どうしようもない寂しさが押し寄せてきて、抵抗なんてできず強く拳を握る。
一昨日に買った犬のぬいぐるみのキーホルダーが切なげにこちらを見つめてきて、涙が溢れそうだった。
🧡「あーーー…早く帰ろう。」
小さく呟いてから、柚葉が向かった方向とは反対方向を向いた。
end
コメント
1件
ああ、もう、冒頭の「美咲ーーー…いやだ」からの流れで一気に引き込まれました。空港の別れの情景が鮮明で、特に「厚底が検査に引っかかる」という細かい描写に、彼女の“わざわざ履いてくれた”という気持ちが詰まっていて、じんときました。最後にキーホルダーのぬいぐるみが切なげに見つめる場面、本当に心臓をぎゅっと掴まれました。喪失感と寂しさの描き方が、あまりにもリアルで…次が気になります。