テラーノベル
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昼休憩。
五人で机を囲んで弁当を食べる。
太智と舜太は相変わらず騒がしい。
仁人は呆れながらもちゃんと笑っている。
その向かいで。
はやちゃんはスタッフと何か話していた。
スタッフが何度も頭を下げている。
「本当に助かりました」
「全然。気にしないでください」
やわらかく笑う。
戻ってきた勇斗に、太智が声を掛ける。
「何やったん?」
「ああ」
勇斗は箸をパチンと割りながら答えた。
「照明さん、一人急に抜けちゃったらしくてさ」
「へぇ」
「大道具運ぶ人足りないって言うから、ちょっとだけ手伝ってきた」
さらっと言いながら弁当の蓋を開けた。
それだけ。
まるで大したことじゃないみたいに。
でも、さっき誰より先に現場を出たのは、そのためだったらしい。
誰にも言わない。
誰にも見せない。
頼まれたからやっただけ。
そんな顔だった。
……そういうとこなんだよな。
胸の奥が少しだけ熱くなる。
目立つところじゃなくて、誰も気付かないところで、気付いたら誰かを助けている。
そんなことを、何でもない顔でやってしまう。
昔から、ずっとそうだった。
だからみんな、はやちゃんのことが好きなんだ。
俺も。
………俺も?
心の中で繰り返したその言葉に、自分で少しだけ引っ掛かる。
いや、違う違う。
好きって、そういう意味じゃない。
尊敬というか。
安心する、というか。
家族みたいな。そんな感じ。
うん。
そういうこと。
⸻
午後の撮影は、機材の調整で待ち時間ができた。
スタッフが慌ただしく動いている。
柔太朗は壁にもたれて待っていた。
何となく、また探してしまう。
ーーどこだろう。
いた。少し離れたところ。
スタッフさんと笑いながら話している。
その姿を見ただけで、何だか少し安心した。
……あれ?まただ。
気付けば、今日だけでも何度目か分からないくらい、はやちゃんを探していた。
「山中さん」
スタッフに呼ばれる。
「はい?」
「さっきから佐野さんのこと、よく見てますね」
「え?」
どきりとする。
「いや、何か、目線の先にいつも佐野さんいるなって」
笑いながら言われる。
「あはは」
慌てて笑う。
「最近ドラマ忙しかったじゃないですか」
それだけ言えば、全部説明できる気がした。
「ちょっと心配で」
「なるほど」
スタッフは納得したように笑って、柔太朗の衣装の襟を少し直し、また仕事へ戻っていった。
心配。
そう。きっと、それだけだ。
それなのに、その言い訳だけは、どうしても胸の奥へきれいには収まってくれなかった。
コメント
2件

おぉいはやく気づいてじゅうくん! 兄弟感強めなM!LKのなかで 姫と王子感強いからなぁ🫶🏻 ⸝⸝ ⸝꙳
読了しました〜!!🎀 勇斗くんの「誰にも言わないで人を助ける」姿、ほんとかっこよすぎて胸熱でした😭💕 そして柔太朗くん……無意識にはやちゃんを探しちゃうの、完全に「好き」になってるじゃないですか!! 自分に「家族みたい」って言い聞かせてるのがもう切なくて、スタッフさんに目線のこと指摘されてどきっとするシーン、めちゃくちゃキュンときました。言い訳が胸に収まらないラスト、続きが気になりすぎます…!!
眠りひめ
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