第5話です。
なんでも平気な方だけ行ってらっしゃいませ。
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ご飯を食べ終わって、風呂も入ったあと。
普通ならあにきたちと雑談したりするんだけど、今日はそんな気分にはならなくて。
「ごめん、今日はもう寝るわ」
「え、もう寝るの?いふ兄早くない?」
「明日早いからさ。また明日な」
「…」
「大丈夫か?まろ」
「え?…何が?」
「…いや、なんでもない」
「おやすみ、まろ」
「…うん、おやすみあにき」
言えないよ。
言えへんやろ。無理だよ。
ほんまに認めてくれてんのかな。
夜眠りについても、数時間で目が覚めてしまう。
全然眠れない。諦めて起きようかと思った。
その時だった。
ドアが開く音がした。
「…あにき?」
「あ、起きてたん?」
「…うん、あんま眠れんくて」
「隣、座ってもええ?」
「いいよ」
「ありがと」
沈黙が続いた。
先に沈黙を破ったのはあにきだった。
「…まろ」
「なに?」
「俺は、まろのことを否定せえへんよ」
「…なに、急に。どしたん?」
「まろが、今自分のことで葛藤してんねやろなってことはわかるよ」
「でも言えへんってことも」
「…」
なんで、あにきに言ってないのに。
なんでそこまでわかるの?なんで?
自分のことで葛藤してるって、なんで分かったの?
聞きたいことは次々と出てくる。
でもあにきの言葉を聞きたくて、その言葉はすんでのところで飲み込んだ。
「まろ」
「今、お前は独りじゃないねん」
真っ直ぐな言葉だった。
「…」
「この家に、お前を否定しようなんて思っとるやつはおらんよ」
「全員まろのこと認めてて、まろのこと大好きなんやで」
「独りじゃない、もう独りじゃないねん」
「…っ」
ぼろぼろと、零れるのは涙。
この温もりに触れても、まだみんなのことを信じていなかった自分を殴りたい。
ここは、俺が思っているよりも温かい。
俺は、もうひとりじゃない。
俺を否定する人は、ここにはいない。
俺は、もう、ひとりじゃない。
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ひとしきり泣いて、泣き疲れて。
夜もそろそろ更ける頃になった。
今から寝ても、あと2、3時間しか寝れない。
「まろ、今日は学校休んでもええよ」
「行きたいなら行ってもええんやけど」
「…やすむ」
「ん、はいよ。学校に連絡入れとくな」
「ごめん、あにき」
「なぁに、お前はなんも悪くないやろ? それに、家族なんやから頼ってもらえて俺は嬉しいわ」
「…ありがとう」
「こちらこそ。」
部屋を出ていこうとするあにきを引き止めた。
「…今日、相談したいことがあるんやけど、ええ?」
「ん、ええよ。ありがとうな」
「…うん」
あにきは、俺の頭を一撫でした後部屋を出ていった。
今日はまだ、よく寝れそうだ。
朝日が昇る中、俺は眠りについた。
コメント
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あぁ!もう大好きです!!(告白) 泣く表現好きすぎる............. お受験ですか....!?頑張ってください!!