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【哀の壁 第2章】愛の壁【青桃】

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【哀の壁 第2章】愛の壁【青桃】

5 - 第5話 ひとりじゃない

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2023年05月07日

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第5話です。


なんでも平気な方だけ行ってらっしゃいませ。



━━━━━━━━━━━━━━━


ご飯を食べ終わって、風呂も入ったあと。

普通ならあにきたちと雑談したりするんだけど、今日はそんな気分にはならなくて。

「ごめん、今日はもう寝るわ」

「え、もう寝るの?いふ兄早くない?」

「明日早いからさ。また明日な」

「…」

「大丈夫か?まろ」

「え?…何が?」

「…いや、なんでもない」

「おやすみ、まろ」

「…うん、おやすみあにき」




言えないよ。

言えへんやろ。無理だよ。

ほんまに認めてくれてんのかな。

夜眠りについても、数時間で目が覚めてしまう。

全然眠れない。諦めて起きようかと思った。

その時だった。

ドアが開く音がした。

「…あにき?」

「あ、起きてたん?」

「…うん、あんま眠れんくて」

「隣、座ってもええ?」

「いいよ」

「ありがと」

沈黙が続いた。

先に沈黙を破ったのはあにきだった。

「…まろ」

「なに?」

「俺は、まろのことを否定せえへんよ」

「…なに、急に。どしたん?」

「まろが、今自分のことで葛藤してんねやろなってことはわかるよ」

「でも言えへんってことも」

「…」

なんで、あにきに言ってないのに。

なんでそこまでわかるの?なんで?

自分のことで葛藤してるって、なんで分かったの?

聞きたいことは次々と出てくる。

でもあにきの言葉を聞きたくて、その言葉はすんでのところで飲み込んだ。

「まろ」

「今、お前は独りじゃないねん」

真っ直ぐな言葉だった。

「…」

「この家に、お前を否定しようなんて思っとるやつはおらんよ」

「全員まろのこと認めてて、まろのこと大好きなんやで」

「独りじゃない、もう独りじゃないねん」

「…っ」

ぼろぼろと、零れるのは涙。

この温もりに触れても、まだみんなのことを信じていなかった自分を殴りたい。

ここは、俺が思っているよりも温かい。

俺は、もうひとりじゃない。

俺を否定する人は、ここにはいない。

俺は、もう、ひとりじゃない。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ひとしきり泣いて、泣き疲れて。

夜もそろそろ更ける頃になった。

今から寝ても、あと2、3時間しか寝れない。

「まろ、今日は学校休んでもええよ」

「行きたいなら行ってもええんやけど」

「…やすむ」

「ん、はいよ。学校に連絡入れとくな」

「ごめん、あにき」

「なぁに、お前はなんも悪くないやろ? それに、家族なんやから頼ってもらえて俺は嬉しいわ」

「…ありがとう」

「こちらこそ。」

部屋を出ていこうとするあにきを引き止めた。

「…今日、相談したいことがあるんやけど、ええ?」

「ん、ええよ。ありがとうな」

「…うん」

あにきは、俺の頭を一撫でした後部屋を出ていった。

今日はまだ、よく寝れそうだ。

朝日が昇る中、俺は眠りについた。

【哀の壁 第2章】愛の壁【青桃】

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