俺は絶賛徹夜中である。まぁいつものことだと言ってしまえばそうなのだが。因みに今は大先生に言った書類のやり方まとめ、、まぁ参考書とでも言おうか。それを作り終わったところだ。早く持って行ってやらんとアイツがあの部屋から出てこれへんし。まぁあいつの事やからねとるやろうけど。何よりトントン直属の部下が可哀想や。やって現在時刻深夜3時やし。あらゆるパターンの作っとったらこんな時間なってもたわ。しかも皆分。まぁ普段から書類きちんとできてる人のは作ってへんけど。そんなことを考えているとその部屋の前に着く。てっきり寝てるものかと思っていたが中から声がすると言う事はきちんとやっているのだろう。そういうところは尊敬する。が、普段からやって無いのは尊敬しない。そして俺がドアを開けて中に入ると、鬱先生はこちらを見て驚いた表情をした。
「お、おまっ!もう3時やぞ!ってか監視は大丈夫なんか⁉」
慌てている大先生に、参考書を渡し
「うるさい。皆が起きるやろ。監視に関しては大丈夫や。俺の直属の部下がやってくれとる。」
そう言った。そうか。と言わんばかりの顔をして俺の参考書を見ながら頑張っている。俺もそこから1、2枚スッと引き抜いて内容を確認する。そして俺でもやれる内容であることを確認し、書類の片づけを手伝う。一時間ほどたったころだろうか。いつの間にか大先生は寝落ちしていた。100枚ほどあった書類は残り33枚ほどまで減っていた。一時間でこれだけはよく頑張ったな。そう思い仕方なく残りの33枚を片付ける。特に大先生特有の仕事の報告資料は無く、少し図ったな?とは思うがすぐに片付いたので許すことにする。そして終わった書類を持って、大先生を背負い部屋を出る。トントン直属の部下は片方が寝ていて片方が起きていた。と言う事は交代しながら待っていてくれたのだろう。
「こんな時間まですまんな。そっちの寝てる方にも伝えといてくれ。」
「いえ!そんな!お二方もお疲れさまでした!」
何度も頭をさげられた。こいつが悪いのにできた部下やな。そう思いながら歩き始める。そして大先生をベッドに寝かせ、近くに「冷蔵庫」とだけ書いたメモを置く。そして幹部の部屋に一つあるミニ冷蔵庫の中に鬱先生が好きな飲み物を。冷凍庫の中に好きそうなアイスを入れて部屋を出た。自室に戻ると急な眠気に襲われて、直ぐに寝てしまった。
目が覚めると朝の5時。徹夜してもこの時間に起きる癖は治らないらしい。それに今日休日やし。まぁしゃあないか。そう思いながら朝の準備をする。顔を洗って、歯を磨き、服を着替える。ほな行くか。そして扉を開け部屋を出た。
「ショッピ。」
顔がぼやけていてよく見えない。誰だろう、あの人。俺の名前を呼んでいるみたい。
ガバッと勢いよく体を起こす。
「兄さん、、、?」
気が付けば一滴の涙が流れていた。今、思い出した。俺に兄さんがいたことを。
自分の部屋を歩きながら兄さんの事を考える。俺が小さい頃に仲良かった兄さん。いつの間にか消えてしまっていた兄さん。
そして俺はその写真の前に立つ。どうやら無自覚のうちに持ってきていたらしい。その写真は兄さんと撮った写真だった。その時の記憶はよく残っている。
「これに何の意味が、、、。」
「ええからええから!」
そう言って半ば強引に取らされた写真。でも兄さんの顔が取られていてよく分からない。何故だろうとは思ったが、それよりも兄さんの顔が思い出せないことが問題だった。覚えていたはずの頭は機能を停止したかのように、兄さんの顔を思い出さなくなった。どんな顔だったのだろうか。どんな目の色?どんな髪?何も思い出せない。一つ覚えていることがあるとするのなら、首に銀の何かをつけている、と言う事だろうか。それしか思い出せない。それが少し悔しかったが、幹部の朝食の時間が近いので急いで準備して部屋を後にした。
道中でいつも朝のアナウンスをしてくださっているロボロさんと出会った。
「そういえばロボロさんってなんでその面付けてるんですか?」
唐突な質問にも素早くロボロさんは反応した。
「ん~。せやな~。強いて言うなら、顔隠すためのもんかな。俺戦闘狂って昔言われとって、戦闘しとるときめっさ笑っとったんやって。まぁ今は落ち着いたから癖で付けてるけど。」
「そうなんすね~。」と軽く相槌を打つと、今度は相手から質問された。
「やっぱこの顔の下って気になるもんなん?」
「ま、そうっすね~。」
その返事を聞くとロボロさんがいきなり立ち止まり
「見るか~?」
と悪戯交じりに聞いて来た。
「みたいっす。」
と返すと予想外のようで驚いたように声を上げた。
それからは追いかけっこだった。本当に冗談だったようで、見せる気のないロボロさん。こちらも冗談だったがいじりたいため必死の俺。大の大人である幹部二人が子供のように軍内を駆け抜ける、まさに地獄絵図だった。そのうち食堂につくとほぼ全員そろっていた。まだ時間はあったし何人かいなかったため俺はロボロさんを追いかけ続ける。すると、なんやなんやと悪戯好きなメンバーがロボロさんを捕まえてニヤッと笑い
「ショッピ君、捕まえたけどどうしたん?」
と悪い声を出した。
「その面の下が気になって。」
そう言うとみんなが注目した。ロボロさんはもはやあきらめの境地にいるようで、ため息を吐いている。今まで誰も見たことがないというロボロさんの素顔がゾムさんの手によって明らかになった。
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