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#聖女
桜井正宗@オートスキル1巻発売
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アトハ
153
#内政
黒おーじ
906
ゆゆ

101
403
額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太は自身に宿る〝巫の力〟、すなわち〝縁の力〟で、ドラゴン一体一体が放つブレスから伝わってくるそれぞれの想いを、反射結界を通じて汲み取り、黄金色に輝く短剣で〝鬼の力〟を自らの力へ変えてゆく。
「暗い闇だと思った。でも、太陽はまだ沈んでいない。月がのぼり、星あかりが導いてくれる」
桃太が相対する八岐大蛇・第七の首、吸血竜ドラゴンヴァンプの数は、およそ二〇〇体。
全長五メートルの空飛ぶ爬虫類が浴びせかけてくるブレスは、もはや鉄砲水のようだが、一本一本が違うものだと理解できる。
「今思えば、啓介さんとの戦いで貴重な経験を得られた」
日本支配の野心に溺れた四鳴啓介が、目障りだった桃太を始末しようと、第五階層〝シャクヤクの諸島〟のキャンプを襲った時――。
桃太は、ネムリキノコのガス攻撃から焔学園二年一組のクラスメイトを守るために、必殺技の〝生太刀・草薙〟を拡散させて毒の雲を吹き飛ばし、〝草薙・砲車雲〟を編み出す契機となった。
「だから逆に考えればいい。拡散させることができるなら、収斂させることもできるはずだ。――それは衝撃波でなくとも構わない。吸血竜ドラゴンヴァンプに変えられた俺の仲間たち、二〇〇人分のドラゴンブレスを受け取って、俺の力にする」
実のところ発想はあっても、桃太の力だけでは実現不可能だったろう。
しかし、八岐大蛇・第五の首、隠遁竜ファフニールこと、ファフ兄が宿る五馬乂の短剣と、矢上遥花が託してくれた〝夜叉の羽衣〟があれば、不可能を可能にかえられる。
「遠からんものは音に聞け、近くば寄って目にも見よ!」
左右の手に着けた〝夜叉の羽衣〟で、乱反射する〝鬼の力〟を集中させると、まるで孔雀の尾羽がごとく広がって、弓と弦を構成する。
そして、二〇〇体分のドラゴンブレスより抽出し、弓と弦の間で繰り返し反射されたエネルギーは、小さく小さく圧縮されて、一本の矢を形作った。
「これが、俺の新しい切り札っ」
その刹那。
桃太にスポットライトを浴びせるように、天から一条の光が降り注いだ。
「桃太君、貴方に〝太陽を映す鏡〟。浄化の力を託しますっ」
桃太は、光が発する謎の呼びかけに背を押されるように、太陽の如く輝く矢を弓へつがえ、引き絞った。
「〝生弓矢・草薙〟。いっけえええ!!」
そうして放たれた草薙の矢は、もっとも近くまで迫った吸血竜ドラゴンヴァンプの喉首を引き裂きながら頭部と心臓を破壊。
「「「GAAAAAAAA!?」」
一体を射貫いたらまた一体、更に一体と急所を撃ち抜いて……。
まるで一筆書きでもするかのように、次の標的、更に次の目標へと連続で射抜いてゆく。
「臨兵闘者皆陣烈在前――九字封印!」
桃太が九字を切ると、約二〇〇体にも及ぶ吸血竜ドラゴンヴァンプのゲル状の肉体を蒸発させる。
最後は、巨大な〝鬼の仮面〟へと変化して逃亡をはかったものの、耐えきれなかったか真っ二つに割れ、取り込んだ生贄を全員解放した。
「さ、サメエエ!?」
「リアリー!?」
「えええっ!?」
「た、助かったの!?」
コメント
1件
うわー、第403話、お疲れ様です!一気に読ませていただきました。 桃太が過去の啓介さんとの戦いを糧に「拡散」から「収斂」へと発想を転換するところ、ゾクゾクしました。自分の経験を無駄にしない、その姿勢が本当に格好いいです。そしてファフ兄の短剣と遥花さんの羽衣がここで活きてくるのも、積み重ねを感じさせてくれて胸熱でした。 「生弓矢・草薙」、新しい切り札の誕生シーンが美しくて……太陽の光が降り注ぐ演出も相まって、鳥肌立ちました。200体ものドラゴンブレスを圧縮して一本の矢にするなんて、想像を超える発想です。 九字封印で仲間たちを無事解放できたところ、本当に良かったです。「た、助かったの!?」という解放された人たちの混乱した反応に、戦いの壮絶さがにじみ出ていて、じんと来ました。 上野文さんの紡ぐバトルシーンは、力強さの中に温かさがあって、いつも心を掴まれます。次話も楽しみにしていますね🌷