テラーノベル
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「 ……ぁ”、? 」
目を覚ました。
そこは綺麗で、自分の部屋とは違うぐらいだった。
なぜここに居るのか、最初は脳が覚ましておらず思考が到達するのに時間がかかった。
ここにいる前のことを全て思い出した時と同時に
この国の頂点に君臨する総統だろうか、それらしき人物が現れた。
Mob『 やぁ、目覚めたかね? 』
「 …最悪な目覚めですよ 」
Mob『 最悪だなんて、此方としては褒め言葉でしかないな 笑 』
「 ……流石、狂っとりますわ 」
部屋の中を見渡すために視線だけ動かしていると、
先程のスラム街のような国民の姿とは違い、
国に入る前に見た国が栄えているような、贅沢をしているような、そんな雰囲気が漂う
「 …んで、俺をどないするつもりなんすか?笑 」
Mob『 こちらに来たということは、あの手紙の返事はYES…ということで承知の上ですが 』
「 流石ですわ〜…… 」
どうにかこの状態から抜け出したい。
てか勧誘してた相手をこんな扱いにするんか???普通…
今の俺の状態を説明しよう。
四肢と首は枷で固定され、身動きができない状態…
それに自分の愛用している大剣「粛清剣」も、黒いマフラーも
持っていた荷物全て取られてしまった。
その為どうにも動きづらい
Mob『 我々の要求はたったの2つ 』
「 ……なんや、さっさと言ってくださいません?笑 」
Mob『 まず1つ目、貴方が我々の軍に入ること。これは引き抜きの件でもありましたね 』
「 んで、もう一つはなんやねん 」
Mob『 もう一つは 』
どうせ情報とかそこら辺やろ。
そう生々しい考えをするんじゃなかったと何度も思う
Mob『 我々の実験の被検体になってほしいことです。 』
「 ……は、? 」
Mob『 どんな実験か気になるでしょう?笑 』
Mob『 みんなが大好きだと言う” 人体実験 ”ですよ笑 』
そう発言するこいつは何かを愛おしそうに、恋したかのように喜びを見せる。
その反応に俺は恐怖を感じた。
そいつの周りにいる部下の方を見ても、洗脳されているような感じで
満面の笑みを浮かべていた。
ホラー耐性がついてる俺だったから平常心を保てていたが、
htやったらかなりやばかっただろう
そいつらを一言で表すと
根っから狂いまくっている
どうなったらこうなるんや、少なくともリア狂の身内より狂ってやがる
心のなかでそう独り言を呟いていると、ゴーンと鐘が鳴る音がした。
学校とかでありそうなチャイムみたいなのが
Mob『 あぁ、そろそろ実験の時間か…… 』
Mob『 では、一旦眠ってもらいましょう 』
「 ッ?!来んなッ!! 」
被検体になりたくないから、必死に抵抗した。
ただ枷で自由に動くことも、抵抗することも難しく
どこから流れたのか知らない電気で強制的に眠らされた。
意識が遠のく前に見た俺の腕に変な薬のようなものが入った注射器が打てられたことには
気付かずに。
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『 内側から壊せ。 』
『 ですが、自我を失ってしまう可能性もありますよ?! 』
『 別にいい、後でいつもの薬を打てばなんとかなるだろ 』
『 確かにそれはありえますが… 』
『 さっさとしろ!!! 』
『 …分かりました。 』
この会話を耳に入れた途端、目が覚めた。
意識が戻り、辺りを見渡すと水槽のような場所に閉じ込められていた。
口元には何か…呼吸器みたいなのが付けられている。
それに先程まで着ていた服装も変わっていた。
これからどんな研究が行われるのか、不安しかない。
自分はどうなってしまうのかという疑問より、
我々国に戻った時、もしかしたらあの人に失望されるんじゃないか
捨てられるんじゃないか
その考えだけが頭によぎってしまう
怖い
こんな実験より、見捨てられるのが怖い。
あの時相談すれば良かった。
皆に、言ったら良かった。
そしたら何か変わったかもしれない。
……いや、どっちみち彼奴等に迷惑しかかけない
この、引き抜きの話をした時点で彼奴等が居なくなってしまうかもしれない。
なら、俺はどうだっていい
彼奴等が楽しく過ごしていれば
俺は命さえも、捨てることが出来る。
もう後戻りは出来ないと諦めて、俺はまた眠りへつく。
ごめんなさい。
その一言が届けば、良かったかもな。
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