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「友達でいいよ」
蓮がそう言った瞬間。
「へえ」
背後から、声がした。
三人が振り向く。
ドームの入口の壁にもたれかかるように、一人の少女が立っていた。
長い黒髪。
落ち着いた雰囲気。
同じくらいの年に見える。
「蓮がそんなこと言うなんて珍しい」
「……いつからいた?」
蓮が少しだけ眉をひそめる。
「最初から」
「聞いてたの?」
「うん」
さらっと答える。
陽葵はきょとんとする。
「えっと……」
少女はまっすぐ陽葵を見る。
じっと、観察するように。
「あなたが朝比奈陽葵?」
「はい!」
「三属性」
「らしいです!」
元気な返事に、少女は少し驚く。
「……本当に変わった人」
でも嫌そうではない。
むしろ少し興味があるようだった。
「私は白雪凛(しらゆき りん)」
「入学予定」
「氷属性」
短く自己紹介。
陽葵の目がキラキラする。
「氷! 私も氷あります!」
「知ってる」
「おお!」
凛は少しだけ微笑む。
ほんの少しだけ。
「でも私は一つだけ」
「その代わり」
指先を軽く動かす。
その瞬間。
空気が一気に冷えた。
ドームの床に、綺麗な氷の模様が広がる。
結晶のような形。
「……きれい」
陽葵が思わずつぶやく。
蓮が言う。
「凛は氷の精度が異常」
「出力より制御型」
凛は肩をすくめる。
「壊すのは苦手」
陽葵が言う。
「じゃあ私と逆だ!」
「……たぶん」
凛は陽葵を見つめる。
少しの沈黙。
それから言う。
「あなた」
「無茶する人?」
陽葵が固まる。
「え、なんでわかるんですか」
「顔」
「顔!?」
蓮が横で笑う。
「凛、人を見るの得意なんだよ」
凛は静かに言う。
「三属性は強い」
「でも」
少しだけ真剣な目になる。
「無茶したらすぐ壊れる」
陽葵は一瞬考えて――
にこっと笑う。
「じゃあ止めてください!」
「え?」
「私、たぶん止まらないので!」
あまりにまっすぐな言葉に、凛が目を丸くする。
蓮も少し驚く。
でも凛は、小さく笑った。
「……変な人」
そして言う。
「いいよ」
「止める」
こうして。
朝比奈陽葵
蒼井蓮
白雪凛
三人は、まだ知らない。
この出会いが。
やがて学園を揺るがすチームになることを。