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三人で話していると。
ドームの奥の扉が、静かに開いた。
コツ、コツ、と靴音。
現れたのは――
あの男だった。
陽葵を推薦した人物。
陽葵がぱっと手を振る。
「こんにちは!」
蓮が小さくつぶやく。
「……敬語使えよ」
「えっ!?」
凛が小声で言う。
「陽葵」
「その人」
「理事長」
「……え?」
空気が一瞬止まる。
陽葵はゆっくり振り返る。
「……理事長?」
男は静かに頷く。
「そうだ」
「私はこの学園の理事長」
一拍置いて。
「黒崎 悠真(くろさき ゆうま)」
陽葵の思考が止まる。
「……え」
「ええええ!?」
ドームに声が響く。
「理事長だったんですか!?」
「言っていない」
「聞いてないです!!」
蓮がため息をつく。
「まあ、そうなるよな」
凛は落ち着いている。
「黒崎理事長は」
「この国で最も強い能力者の一人」
陽葵の目がさらに丸くなる。
「最強!?」
黒崎は淡々としている。
「その言い方は好きではない」
「ただ長く生きているだけだ」
蓮が言う。
「謙遜」
凛も続ける。
「能力者ランキング、長年一位」
陽葵が固まる。
「……え?」
黒崎は少しだけ視線を逸らす。
「昔の話だ」
陽葵がぽつり。
「私……」
「めちゃくちゃすごい人に話しかけてた……」
「普通に」
「うん」
蓮がうなずく。
凛も言う。
「普通に」
陽葵は頭を抱える。
「うわあああ!!」
黒崎は少しだけ笑う。
ほんの一瞬だけ。
それから真面目な顔に戻る。
「今日は三人に伝えることがある」
空気が変わる。
「君たちは」
「入学後、同じチームになる可能性が高い」
陽葵が言う。
「チーム!」
蓮は腕を組む。
「まあ予想はしてた」
凛も頷く。
「属性バランスがいい」
黒崎は続ける。
「ただし」
「この学園は普通の学校ではない」
少しの沈黙。
「命の危険もある」
陽葵の顔が真剣になる。
でも。
「それでも」
黒崎は陽葵を見る。
「来るか?」
陽葵は少し考えて。
にこっと笑う。
「行きます」
迷いなく。
「守れるなら」
「強くなれるなら」
「やります」
黒崎は静かに頷く。
「そうか」
そして小さく言う。
「やはり」
「君を選んで正解だった」
その言葉の意味を。
まだ、陽葵は知らない。