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「……めめ、もう寝るよ? 歯磨き終わった?」阿部亮平がリビングの電気を消しながら声をかけると、ソファで自分のスウェットを借りて丸まっていた目黒蓮が、のろのろと起き上がった。
サイズが少し小さいのか、手首や足首が覗いているのが妙に生々しい。
「あべちゃん……。先にベッド行ってて。すぐ行くから」
少し掠れた声で答え、目黒は洗面所へと消えていった。
数分後、阿部が先に潜り込んでいたベッドの端が、沈み込む。大きな体躯の目黒が、遠慮がちに、でも吸い寄せられるように阿部の背中にぴったりとくっついてきた。
「……狭くない?」
「ううん。これがいい」
目黒は阿部の腰に腕を回し、首筋に鼻先を押し付けた。外では「Snow Manの目黒蓮」として凛々しく立っている彼が、ここでは驚くほど幼い。
「めめ、今日は一段と甘えん坊だね」
「……だって、あべちゃんの家、落ち着くんだもん。あべちゃんの匂い、いっぱいするし」
布団の中で、目黒の手が阿部のパジャマの裾から入り込み、お腹のあたりを所在なげになぞる。その指先がわずかに震えていることに、阿部は気づいた。
「どうしたの? 怖い夢でも見た?」
「……逆。幸せすぎて、明日になったら夢なんじゃないかって、たまに不安になる」
目黒の独白は、静かな寝室にひっそりと溶け込んだ。
阿部はくるりと身を翻し、目黒と正面から向き合った。暗闇に慣れた目で、目黒の濡れたような瞳を見つめる。
「夢じゃないよ。ほら、温かいでしょ?」
阿部が目黒の両頬を包み込むと、目黒はその掌にすり寄るように顔を埋めた。
いつもは阿部を守るように振る舞う目黒だが、二人きりの夜だけは、阿部が彼を包み込む側になる。
「……あべちゃん、キスして」
強気な言葉とは裏腹に、目黒の視線は縋るように揺れている。
阿部はふっと微笑むと、自分から目黒の唇にソフトな口づけを落とした。一度、二度。
「んっ……ふ、あべちゃん……」
目黒の喉から、甘い吐息が漏れる。阿部の指が目黒の耳朶を優しく弄ると、目黒は身悶えするように背中を丸めた。
長い睫毛が震え、頬が熱を帯びていく。その「可愛らしい」反応に、阿部の心臓もまた、強く脈打った。
「めめ、可愛いね」
「……男に可愛いって、言わないでよ……」
反論しながらも、目黒は阿部の首に腕を回し、さらに深く自分を抱きしめるよう促してくる。
阿部は、自分だけが知っている「甘えたな目黒蓮」を独占している優越感に浸りながら、彼の額に優しく口づけをした。
「おやすみ、めめ。明日もちゃんと隣にいるからね」
「……ん。おやすみ、あべちゃん……」
安心しきったように目を閉じた目黒の寝顔は、世界中の誰に見せるよりも、阿部にとっては宝物のような輝きを放っていた。
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