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#夢主
そら
255
みゅう

68
二人が付き合い始めて数か月。
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その事実を知る者は二人しかいなかった。
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団長の エルヴィン・スミス 。
そして〇〇と同じく分隊長の ハンジ・ゾエ 。
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それ以外は誰も知らない。
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兵舎では今まで通りだった。
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「リヴァイ兵士長」
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「何だ」
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「次回の壁外調査の編成案です」
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「そこに置いてくれ」
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仕事の話しかしない。
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必要以上に近付かない。
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人前で二人きりにならない。
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徹底していた。
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そのため誰も疑わない。
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少なくとも。
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本人たちはそう思っていた。
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だが。
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周囲から見れば。
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リヴァイは明らかに変わっていた。
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「最近兵士長機嫌良くないか?」
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「思った」
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「前より怒鳴られなくなった」
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「いや怒鳴られるぞ」
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「でも昔ほどじゃない」
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兵士たちが首を傾げる。
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確かに怖い。
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相変わらず怖い。
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だが。
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何かが違う。
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雰囲気が柔らかい。
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表情が僅かに穏やかだ。
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何より。
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昔より人間らしい。
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その理由を知る者はほとんどいなかった。
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そして。
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変わらないものもあった。
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〇〇の人気だ。
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むしろ増していた。
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分隊長となり。
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壁外調査の功績も知られ。
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若い兵士たちの憧れはさらに強くなった。
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食堂。
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「分隊長!」
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「はい?」
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「今度休み空いてますか!」
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「あはは、ごめん」
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訓練場。
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「前から好きでした!」
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「ありがとう。でもごめんね」
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廊下。
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「花をどうぞ!」
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「え!? 私に?」
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断っても断っても。
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次から次へと来る。
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〇〇自身は困惑していた。
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「なんでだろう」
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「自覚ねぇのか」
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同期たちは呆れる。
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昔からそうだった。
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本人だけが気付いていない。
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そして。
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最近は兵団の外にまで広がっていた。
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調査兵団と取引のある商人。
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補給担当。
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工房職人。
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中には貴族関係者までいた。
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「分隊長殿」
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「?」
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「もしよろしければ今度お食事を」
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〇〇が困ったように笑う。
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「お気持ちは嬉しいんですけど」
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「ごめんなさい」
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丁寧に断る。
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いつも通り。
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だが。
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少し離れた場所。
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その光景を見ている男がいた。
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兵士長。
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リヴァイ。
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無表情。
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だが。
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内心は全然違う。
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またか。
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また増えた。
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今月何人目だ。
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兵士だけじゃない。
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商人まで来た。
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何なんだあいつらは。
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仕事しろ。
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頭の中では文句が止まらない。
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もちろん。
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〇〇は全部断っている。
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それは分かっている。
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信用している。
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誰よりも。
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それでも。
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少しだけ。
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不安だった。
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十五歳から好きだった。
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ようやく恋人になれた。
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幸せだった。
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幸せすぎるほど。
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だからこそ。
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失う想像をしてしまう。
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もし。
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もっと格好いい男が現れたら。
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もっと優しい男が現れたら。
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もっと普通の人生を与えられる男が現れたら。
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自分はどうだ。
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口は悪い。
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愛想もない。
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掃除ばかりしている。
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部下には怖がられる。
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恋人向きとは言えない。
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そんな考えがよぎる。
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すると。
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後ろから声がした。
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「兵士長」
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振り向く。
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〇〇だった。
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いつの間にか来ている。
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「何してるの?」
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「別に」
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即答。
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怪しすぎる。
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〇〇は首を傾げる。
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そして。
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ふと視線を横へ向けた。
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先ほどの商人が去っていく。
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それで察した。
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「あー」
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リヴァイの眉が寄る。
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嫌な予感。
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「もしかして」
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「違う」
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「まだ何も言ってないよ」
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「違う」
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「嫉妬?」
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沈黙。
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図星だった。
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あまりにも。
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〇〇は思わず吹き出した。
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「笑うな」
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「だって」
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肩を震わせる。
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リヴァイが不機嫌そうに目を細める。
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その姿が少し可愛く見えてしまった。
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もちろん言わない。
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絶対に。
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すると。
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リヴァイが小さく息を吐いた。
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そして。
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誰もいないことを確認して。
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そっと近付く。
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「……別に信用してねぇわけじゃない」
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低い声。
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「うん」
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「分かってる」
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〇〇は微笑む。
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本当に分かっていた。
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これは疑いではない。
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不安だ。
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長年片想いして。
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ようやく手に入れた幸せだから。
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失うのが怖い。
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それだけ。
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〇〇は少し考えて。
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そして。
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リヴァイの袖を軽く引っ張った。
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「私ね」
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「?」
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「十五歳の頃から」
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リヴァイが固まる。
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嫌な予感がした。
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「ずっと近くにいた人が好きなの」
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静かな声。
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「だから大丈夫」
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リヴァイは何も言えなかった。
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胸の奥が熱くなる。
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嬉しくて。
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どうしようもなく。
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そして。
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そんな二人を遠くから見ていた人物がいた。
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ハンジだった。
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隣にはエルヴィン。
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「見た?」
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「見た」
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「今の完全に恋人だった」
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「そうだな」
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「本人たちは隠してるつもりなんだよね」
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「恐らく」
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二人は顔を見合わせる。
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そして同時に笑った。
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誰にも知られていない秘密の恋。
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少なくとも。
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本人たちはそう思っているのだった。
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