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翌朝。


薄いカーテン越しに春の光が差し込み、鳥の声が遠くでさえずっていた。


リリアンナはまぶたの裏に光を感じ、ゆっくりと目を開けた。


昨夜は妙に身体が熱っぽく、夢の中で何度も水の底へ沈むような心地だったのを覚えている。



ぼんやりとした頭で身じろぎした瞬間――。


ひやりとした感触が太ももに感じられて、背筋がぞくりとした。


原因を探ろうと恐る恐る掛け布団をめくったリリアンナは、息を呑んだ。


恐らくはお尻の下辺りになっていたとおぼしきシーツの一部が、あかく染まっている。


寝間着の臀部付近と、その下に着けていた白い下着ドロワーズにも、赤い痕が滲んでいた。


「……え?」


思わず手で触れそうになり、慌てて止める。

痛みはない。ただ、知らぬ間に――何かが、変わってしまったような。

胸の奥が、得体の知れない不安でいっぱいになる。


そこへ、控えめなノックの音がした。


「お嬢さま。お目覚めですか?」


ナディエルの声だった。


リリアンナは慌てて掛け布団を引き寄せると、今見たものをなんとか隠そうとする。別に悪いことではないと知識では分かっていても、とにかく恥ずかしかった。布団を引っ張った折にそばに置かれていた軟膏ラノワルムの小瓶を落としてしまい、カタンッと音がして、起きていることがバレてしまう。


「リリアンナお嬢様?」


いつもなら目が覚めればナディエルの問い掛けに何らかの返事をするはずのリリアンナが静かなことに違和感を覚えたんだろう。


そっと扉が開き、リリアンナの専属侍女ナディエルが、朝の支度のための盆を手に入ってきた。


「おはようございます」


そこまで告げて、ナディエルの表情が変わった。


「お嬢様?」


明らかにいつもと様子の違うリリアンナに、ナディエルの顔がサッと青褪める。


「もしかしてどこか具合が悪いのですか?」


ベッドに半身起こした状態でギュッと布団を握りしめるリリアンナに、ナディエルは慌てて盆を机に置くと、眉根を寄せてリリアンナに近付いた。


「……お嬢さま?」


それでもうつむいたまま何も言おうとしないリリアンナに、ナディエルが小首をかしげる。


ややして……リリアンナは観念したように小さな声でぼそぼそと話す。


「あ、あのね、目が覚めたら私……」


言いながらそっと布団をめくり上げたリリアンナに、ナディエルは瞳を見開いた。


「お嬢様、これはっ」


その声音には驚きと、少しの喜びが混ざっていた。


リリアンナは恥ずかしさで頬を染め、唇を噛んでうつむく。


「昨夜はなぜか胸が熱くて……それで今朝、目が覚めたら……。私、どうやら寝ている間に……その、みたいで……その……」


どうしたらいいか分からないという風に瞳を揺らせるリリアンナに、ナディエルが柔らかく微笑んだ。

ヤンデレ辺境伯は年の離れた養い子に恋着する

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コメント

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わー、大人になったんだね。

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