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#ROBLOX
ゆゆゆゆ
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ゆゆゆゆ
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世界が燃えていた。
比喩ではない。
少なくともネットの中では。
SNS。
掲示板。
ニュースサイト。
配信者のコメント欄。
どこを見ても同じ話題だった。
大規模障害。
原因不明のサーバーダウン。
連鎖するシステム障害。
混乱。
怒号。
憶測。
パニック。
そして。
誰も知らない。
そのすべての中心にいるのが、たった二人だということを。
⸻
「見ろよ」
Noliが笑う。
モニターを指差しながら。
「世界終わってる」
「まだ終わってない」
セブンが訂正する。
「半分くらいだ」
「十分終わってるじゃないか」
Noliは声を上げて笑った。
部屋にはモニターが何枚も並んでいる。
どの画面も混乱で埋め尽くされていた。
緊急メンテナンス。
復旧作業。
怒りの投稿。
謝罪文。
炎上。
炎上。
炎上。
まるで巨大な花火だった。
二人が夜空へ放った。
世界規模の。
⸻
「最高記録更新だな」
セブンが呟く。
Noliは得意げに胸を張った。
「当然だよ」
「誰がいると思ってるの」
「自分で言うな」
「言う」
即答だった。
机の上には冷めたコーヒー。
大量のメモ。
開きっぱなしのログ。
何日もまともに寝ていない。
だが疲労より先に達成感があった。
二人で積み上げてきたもの。
試してきたこと。
失敗したこと。
全部が繋がった。
そして今。
過去最大規模の成功として目の前に転がっている。
Noliは椅子を回転させる。
子供みたいに。
上機嫌だった。
「ねえ」
「なんだ」
「次はもっとすごいことしよう」
セブンは苦笑する。
予想通りだった。
満足するわけがない。
Noliが。
こんなところで。
「例えば?」
すると。
Noliの目が輝いた。
待ってましたと言わんばかりに。
「もっと大きい舞台」
「もっと多い観客」
「もっと派手な演出」
両手を広げる。
いつもの癖だ。
舞台監督みたいに。
「世界中が止まるくらいのやつ」
「大きく出たな」
「本気だよ」
「知ってる」
Noliは笑う。
その顔は本当に楽しそうだった。
未来の話をしている時のNoliはいつもそうだ。
子供が宝の地図を広げているみたいに。
目を輝かせる。
「今度はさ」
彼は続ける。
「歴史に残ろう」
「十分残ってるだろ」
「違う」
首を振る。
「もっとだ」
「誰も忘れられないくらい」
「永遠に」
その言葉を聞いて。
セブンは少しだけ笑った。
馬鹿だなと思う。
大袈裟だなとも思う。
けれど。
嫌いじゃなかった。
そういうところ。
⸻
夜は更けていく。
モニターの光。
ファンの音。
キーボードの音。
いつもと同じ。
何も変わらない。
少なくとも。
その時の二人はそう思っていた。
⸻
「セブン」
しばらくして。
Noliが呼ぶ。
「ん?」
「楽しかったな」
珍しい言葉だった。
セブンは少し驚く。
Noliがこういうことを言う時は少ない。
大抵は次の計画の話しかしない。
だからこそ。
少しだけ特別に聞こえた。
「まだ終わってないだろ」
セブンが言う。
すると。
Noliは笑った。
柔らかく。
静かに。
「そうだね」
窓の外を見る。
夜明け前の街。
遠くで灯りが揺れている。
「まだ終わってない」
そう繰り返す。
まるで自分に言い聞かせるみたいに。
⸻
その夜。
二人は未来の話をした。
次の舞台。
次のショー。
次の観客。
まだ見ぬ景色。
まだ起きていない事件。
これから先の話を。
当たり前のように。
何時間も。
⸻
けれど。
翌日の朝。
セブンは玄関先で一人の赤ん坊を拾う。
小さな手。
小さな寝息。
世界を壊すことしか知らなかった男の人生を。
たった一日で変えてしまう存在。
クールキッド。
その出会いを境に。
未来は分岐する。
Noliの見ていた舞台と。
セブンが選ぶことになる道は。
二度と交わらなくなる。
⸻
だからこそ。
後になって振り返るたび。
セブンはあの夜を思い出す。
モニターに映る炎上。
楽しそうに未来を語るNoli。
「次はもっと大きな舞台を用意する」
という声。
それに頷いた自分。
何も知らずに。
何も気付かずに。
同じ未来を見ていた最後の夜。
それは。
二人で観た最後の景色であり。
きっと。
最も輝いていた景色だった。