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この世界には魔物と呼ばれる生命体が存在する。動植物に類似した姿を持つものから人と変わらぬ姿を持つものまで多岐にわたる。

これらの存在は本来の生態系から逸脱しており、いつどのように生まれたのかは分かっていない。

一説によれば千年前、伝説の勇者に倒された魔王が死の間際に自らの魔力を解き放ち世界にばら蒔いた異界の生物であるとも言う。

由来はどうあれ、これらの魔物は普段自然の中で他の動植物と変わらぬ生活を営んでおり共存関係が成り立っている。

だが魔物には共通点があり、人間を見付けると相手が老若男女問わずに襲い掛かる習性があることである。

この習性により街の外へ出ることは極めて危険で、旅人や行商人を守る代わりに報酬を貰いそれで生計を立てる人間も現れた。これが傭兵や冒険者の成り立ちである。

現代では魔物も人間の生活圏からはある程度駆逐されているが、時おり発見されては人間社会を惑わせていた。

そんな魔物が大群を成している場所がある。これをダンジョンと呼ぶ。ダンジョンは様々な場所に存在するが、共通点は全て古代の遺跡と思われるものであること。

大抵の場合ダンジョン内部から魔物が出てくることは無いが、稀に大挙して溢れ出すことがあり軍が動員されて制圧を行うこともある。

さて、魔物や様々なトラップが存在するダンジョンではあるが、冒険者達にとっては重要な場所である。

内部には危険もあるが同時に古代の財宝や失われた技術、極めて有用なアイテムなどが眠っていることが多く、これらを手に入れれば億万長者も夢ではない。事実ダンジョン探索で財を成した元冒険者の富豪も存在する。

もちろん危険は高く、血気盛んな冒険者のパーティーがダンジョンに挑み誰一人として生還しないなどの話は珍しくもない。そんなダンジョンが農園のすぐ近くで発見されたのである。

ごきげんよう、シャーリィ=アーキハクトです。ルイと農園周辺を調査していたらダンジョンの入り口を見付けてしまいました。

扱いには困りますが、先ずは魔物が出てきた場合に備える必要がありますね。よって私はすぐにマクベスさんに事の次第をお知らせしました。その結果。

「陣地構築急げ!いつ魔物が出てくるか分からんぞ!」

ダンジョン入り口周囲を塹壕と鉄条網、そして高い壁で囲み万が一魔物が出てきても迎撃できるように陣地構築を行っています。街の建設も一時中断、ドワーフ部隊も総動員して急ピッチで行われています。

「よもやダンジョンがこの周囲にあるとは。いや、未だ見付からぬダンジョンが帝国に存在するとは思いませんでした。まして、街からこんなにも近い場所に」

ダンジョンを見ながらセレスティンと話をします。

「珍しいことなのですか?」

「これまでに発見されたダンジョンは冒険者ギルドが厳重に管理しておりますし、今から五十年前。私が若い頃に全ての街周辺で大規模な調査も行われております」

確かに、街の近くにダンジョンがあったら大変です。まあ、ダンジョンからの儲けを期待してダンジョンの近くに冒険者の街を作ることはあるみたいですが、それは最初から備えている街。例外です。

「それ以来新しいダンジョンの発見は数ヵ所のみ。それを探し当てるとは、流石はお嬢様。類い稀なる幸運の持ち主でございます」

そう、ダンジョン発見は危険もありますがチャンスでもあります。中で財宝や貴重なアイテムが手に入る可能性もあるのですから。

「新しく発見したダンジョンは誰が持ち主になるんですか?」

「基本的には発見した者が所有者となります。しかし同時に管理責任も負わされるので、大抵の場合冒険者ギルドに金銭で所有権を売却しますな」 

「発見する人も冒険者でしょうからね。管理なんて大変なことはしたくないと」

「冒険者ギルドが管理する場合、ダンジョン内部で得られた成果の何割かを納める必要があります。それを嫌ってダンジョンを発見しても秘匿して、富を独り占めしようとした者が居たとか」

「気持ちは分からないでもありませんが、どうなりました?」

「管理されていないダンジョンから魔物が溢れ出して周囲に甚大な被害を与えた。それが結末でございます」

「身の丈に合わない欲は身を滅ぼす。教訓ですね」

欲ばりはいけませんね。

「お嬢様は如何なさいますか?」

「今のお話を聞く限り冒険者ギルドに引き渡す方が良いのでしょうが、そうすれば部外者をたくさん呼び込むことになりますよね」

「それも素性の知れぬ者達を、でございます」

「うーん……手に負えない場合は冒険者ギルドに売却。そうでないならば私達『暁』が管理する。それでどうですか?」

「良い案かと。内部を調査してからでも遅くはありますまい。生息している魔物次第ですからな」

好奇心旺盛で縄張りを拡大する傾向がある魔物が住み着いているなら高確率でダンジョンから溢れ出てきます。

逆に縄張りに執着するタイプならば籠って出てこない筈。

それと、不思議なことにダンジョンの魔物はいくら討伐しても時間を経て復活するそうです。その理由は今も分かっていないと。

「では内部の調査が必要ですね」

「僭越ながら、爺めにお命じ下され。ご期待以上の成果を御前に」

「セレスティン、あなたはもう七十歳を越えているんですよ?あんまり無理をさせたくありません」

「有り難きお言葉。ですが、それならば何方を?」

「私が行きます。もちろん、ルイとベルを連れて少しずつ調査するつもりです」

「自ら危険に踏み込むその勇気はご立派です。奥様に良く似ていらっしゃる」

「無謀と叱りませんか?」

「叱られて諦めるようなお嬢様ではありますまい?」

「その通りです」

セレスティンにはお見通しでしたね。

「ですが、細心の注意と無理をなさらないように。日数をかけて少しずつ調査することを爺と約束してください。でなければ、シスター共々反対しますぞ?」

「あっ、シスターの説得があるんでした。約束しますから、シスターの説得に協力してくださいね」

「御意のままに」

忘れていましたよ、シスターと言う最大の難関を。撃たれて以来過保護に拍車が掛かっているんですよね。さてどうしたものか。

ダンジョン発見に伴う最大の難関を想い憂鬱となるシャーリィであった。

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