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蕎麦七にて、神代はゆったりとした口調で話し始めていた。それとは対照的に、松下の拳は膝の上で固く握り締められ、表情も険しくなっていた。
「稲垣んトコの若い奴、あんたが殺らせたんじゃないの? 矢野だっけ? バッチリ防犯カメラに映ってましたよ。勿論、まだ誰も知らないけどさ、いつまでも知らぬ顔ではいられまい…それが我々の真意ですよ」
「だったら早いとこ逮捕状持って来たらいいだろ。それとも何か!? サツがヤクザ焚き付けんのか!どうなんだ!?」
「いやいや…会長、落ち着いて…」
神代は茶を啜った。
そして、あえて笑って言った。
「東京ジェノサイド…あれのお陰で警察も大勢姿を消しちまったから…矢野だってそうでしょ? ま、それがジェノサイドの前か後かなんてのはもうどうでも良いんだけどさ。いちばん知りたいのは、稲垣んトコに流れてるアレですよ!どっから来てるかが解らないんだよなあ…悪い様にはしないからさ。頼みますよ、会長!」
「揉み消してくれるんだな? 幾らだ? いつも通りでいいのか?」
「とりあえず、三本くらいで」
「わかってらい!5でいいな?」
松下の問いかけに、神田は笑って答えた。
「持ちつ持たれつってね。それで…元は何処から・・・?」
「中国マフィアだよ。池袋界隈から流れて来た連中だ、赤虎隊ってな、まだ若い連中だが裏は赤まみれだよ。公安は握ってんじゃないのか?最近じゃあ、地上げ屋じみた事してるらしいぜ、わかってんだろ!」
「さあ。ウチもタテ社会だからね。ま、何処も似た様なもんですね」
神代はそう言って立ち上がると、伝票を片手に微笑んだ。
「今日は個人的にご馳走させてよ。あ、それと、カネは次回で構わないから」
松下は、手で払いのける仕草をしながら、
「わかった。わかった!」
と、何度も吐き捨てる様に言った。