テラーノベル
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店につき、個室に案内される。
タクシーに乗る前に店に電話しておいたから案内までとてもスムーズだった。
仁人は珍しそうにキョロキョロと個室のなかを見回していている。
ほんのり暗めの照明に、壁には絵画が飾ってある。BGMは落ち着いた音色で、デートにもぴったりな雰囲気のお店だ。
「…いい雰囲気のお店だね。」
「だろ?」
「よく来るの?」
「何度か来たことあるくらい。でも、料理の種類が多くてどれも美味しいし、いいとこだよ。その日の仕入状況とか季節でもメニュー変わったりするし。」
「へー、いいね。この感じ好き。」
リラックスしたようにそう言う仁人。
いつか連れてきたいとは思ってたんだけど、好みにあってたようでよかった。
それから2人でメニュー表をみながら吟味する。
夜も遅いし重めなものをガツンと1つというよりは、いくつか気になるものを頼むことにした。
「…とりあえずこれくらいか?」
「あ、あと俺ピーチフィズ飲む」
料理を一通り決めたあと、仁人がそう言う。
「えっ、めずらし。酒飲むの?」
「たまにはね。明日半日…ってか、夕方までオフだから。」
「あー、そうだったな。…じゃぁ、俺も飲もうかな。」
「あれ、勇斗は明日朝から仕事じゃなかった?」
「その予定だったんだけど、朝からのやつは先方のトラブルでリスケになったから昼からになったって今日マネから共有された。」
「ふーん。」
そんな話をしつつ、注文を済ませる。
料理も酒もすぐに届いて、2人で舌鼓を打つ。
「んっ!うまぁ!」
美味しそうにもぐもぐと食べてる仁人がめちゃくちゃ可愛い。ハムスターかよ。
思わずニコニコして見てしまう。
そんな俺の視線を感じたのか顔を上げて俺をみる。
「……なに。」
「いやぁ?美味しそうに食べて可愛いなって。」
「はぁ?」
なにいってんのこいつ、みたいな顔をしながらちびちびとお酒を飲む。
九州出身なのにお酒に弱くてすぐ赤くなっちゃうとこも可愛い。
まだ1杯しか飲んでないのにほんのりと頬が赤く色づき始めている。
あ~~~可愛い。
あの頬っぺた食べたい。
俺、酔ってるのかも。
………いや、まだ平常だな。
仁人が可愛すぎるだけだ。罪な男め。
そんなことを考えながらも仁人と2人の時間を楽しむ。
あれこれ下らないことを話したり、メンバーたちのことを話したり。いろいろ。
相変わらず合間にジャブのボケをいれてくるからそれに突っ込んだりね。
仁人と一緒にいる時間って本当に楽しい。
お酒を追加して3杯目を飲んでる仁人の顔は明確に赤く色づき、酔いが回って目がとろんとしてる。
かぁわいい……そして、色っぽい…。
美味しい料理に、美味しいお酒。
目の前には好きな子。
最高じゃない?
そんな楽しい時間はあっという間で、料理も食べ終わり、お酒も飲み終わったのでそろそろ帰宅しようということになったので、呼んだタクシーを店の前で待つ。
「おいしかった~」
仁人がそう言う。
「ほんとに。」
どの料理も美味しくて大満足だ。
「また来たいなぁ」
いつもよりふにゃふにゃした笑顔でそう言う仁人。発する言葉はちょっと舌足らずで、だいぶ酔っているらしい。
「うわ、可愛い…」
「…はぁ?」
やっべ。また心の声漏れた。
なんとなく明後日の方向を見てみるが、仁人がこちらをガン見してる気配がする。
「……勇斗さぁ」
そう声をかけられて仁人の方を見る。
酔いの醒めない赤らんだ顔にうるうると潤んだ瞳。目の毒かも。
こくり、と無意識に唾を飲んでしまう。
「…なに?」
「最近、俺にかわいいって言いすぎ」
「そう?」
「そう。今日もさぁ、楽屋でも収録でも今も…数えてないけど少なくても5回は言ってるよ~?」
…言われてみたら、そうかも。
意図して言ってるときもあるけど、最近無意識に漏れてしまうことがある。
やばい。あまりに愛しすぎて隠せなくなってきてるな俺。
「…そんな言ってる?笑」
とりあえずおどけて笑ってみせる。
そんな俺をじーっと見つめる仁人。
やめて、そんなきゅるきゅるした目でみないで、可愛い。
「勇斗って俺の顔ほんと好きだねぇ」
仁人がそう言ったかと思うと、俺にずいっと近づいてきた。
「ちょ、近い近い!!」
身長差があるから、仁人が俺を見上げる体勢なんだけど、顔と顔の距離が15cm程しかない。身体はほぼくっついてる。
「そんなに、かわいーの?」
コテンと首を少し傾げる。
破壊力えっっぐ。
「は!?」
「んはは!勇斗おもろい顔!」
なに、小悪魔!??
「ちょ、仁人さん?」
「ん~、ちゅーでもしとく?」
「はい?!!!」
「声でかっ、うそだってぇ(笑)」
「あ、…はい」
なにこの子、小悪魔通り越して悪魔?
もしかして俺が仁人のこと好きなの気付いてやってる?
「そんなに顔が好きならぁ、男の俺相手でも、ちゅーできちゃうのかなって思っただけ~」
できますけど!?
むしろしたいんですけど???
え、していい?
これキスしても、俺、悪くなくない?
煽ったの仁人だもん。
「じんと、」
「ん~?」
ぽやぽやした仁人に呼び掛ける。
体勢は仁人が近付いてきたままだから、俺がキスしようとしたらすぐできちゃう距離だ。
ああ、もう可愛い。
するりと頬を撫でる
「ふふ、くすぐったい」
「かわいい」
「また言ってる(笑)」
あと10cm
「んー、はやと、近くない?」
「そう…?」
あと5cm
唇が触れるまでもう少し…
と、その瞬間
「あ、タクシーきた。」
その声と共に仁人がパッと俺から離れて、タクシーの方に向かう。
…おい、…うそだろ……。
「ね~、はやと乗らないのぉ?」
「や、行く…いま行くよ…。」
なにもなかったように呼び掛けてくる仁人に、俺はキスのチャンスを逃したことに項垂れつつも、タクシーへ向かう。
いや、キスしちゃったら言い訳できないから…キスしなくて正解なんだけど。
振り回されて悔しい。
仁人は人の気も知らないで隣でご機嫌にニコニコしてる。
くそ…かわいいな!!
なにされてもかわいいわ。
……絶対にいつかキスしてやる。
そう思いながら、それぞれの家路に着くのだった。
End
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
余裕あるsnさんを想定して書き始めたはずが『hyt、天然小悪魔jnt振り回される』って感じの物語になりました。早く堂々とキスできる関係になれるといいね(?)
ここまで読んでくれてありがとうございました!
コメント
1件
おおお第2話、めっちゃ良かった!!😭💕 個室デートからの酒飲み仁人の小悪魔っぷりがエグすぎて…!「ちゅーでもしとく?」って顔近づけてきて、からのタクシー来てスルーは反則でしょ〜!!勇斗の「あと5cm…」からの「おい」ってなる感じ、胸がぎゅってなったわ😢✨ あと仁人の「勇斗って俺の顔ほんと好きだねぇ」って確信犯っぽいところがもう…〜〜〜!!(語彙力消失) tstsさん、甘酸っぱい空気感の描写が上手すぎてやばいです。次回も楽しみにしてます!!🌸
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