テラーノベル
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デザートのお皿が下げられ、コーヒーの香りが漂い始めた頃。僕の心臓は、これまでのどのライブの開演前よりも激しくビートを刻んでいた。
左の胸ポケットには、数ヶ月前から用意していた小さな箱。
隣には、僕がこの数年、心血を注いで「僕の特別」として育て上げ、守り抜いてきた、20歳になったばかりのらんちゃん。
「……らんちゃん」
声を出すと、自分でも驚くほど落ち着いた、でも熱のこもった響きになった。
若井と涼ちゃんが息を呑む気配がしたけれど、今の僕には彼女しか見えていない。
内ポケットからジュエリーボックスを取り出し、ゆっくりと開く。中には、彼女の細い指に似合うよう、何度も店に通って選び抜いたプラチナのリング。
「らんちゃん。初めて会った時から、ずっと、ずっと好きでした。誕生日おめでとう。もしよければ、僕と付き合ってください」
プロデューサーとしての仮面も、先輩としての余裕も、全部脱ぎ捨てた。ただの一人の男として、3年分の「我慢」と「独占欲」をその一言に込めた。
らんちゃんは一瞬、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしたけれど、次の瞬間、世界で一番綺麗な笑顔を見せてくれた。
「……やっと言えます。元貴さん、私も好きです。ずっと昔から」
その言葉を聞いた瞬間、全身の力が抜けるような、でも魂が震えるような歓喜が込み上げた。
「……やった。やったぞ……!」
震える手で、彼女の左手の薬指に指輪を滑らせる。
サイズは完璧だ。どれだけ彼女のことを見てきたと思ってるんだ。
「なめないでよ? 君が想像してるより、僕の愛は重いし、ずっと我慢してたんだから。これからは毎日、全力で伝えていくからね」
若井たちの前だっていうのに、僕は彼女の手を離すことができなかった。
今日からは、もう「また明日」で別れるだけの関係じゃない。
僕の人生というスコアの中に、彼女という唯一無二の旋律を、一生離さないように書き込んだ瞬間だった。
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コメント
2件
やったねもっくんおめでとう!!! これから2人がどうなっていくのか...楽しみです☺️
もっくんサイドも! 神作ありがとうございます!
🌹はなみせ🍏