テラーノベル
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「……終わった。ついに、歴史が動いちゃったね、若井」
「涼ちゃん、今の見た? 元貴のあの、世界を手に入れたみたいなドヤ顔」
僕たちは、デザートのシャーベットを口に運ぶのも忘れて、目の前の「激甘」な光景に呆然としていた。
元貴がポケットから箱を取り出した瞬間、レストランの空気が一気に変わったのを感じた。あんなに必死で、あんなに余裕のなさそうな大森元貴、ライブのMCでも見たことない。
「『なめないでよ?』だってさ。どの口が言ってるんだろうね。この3年間、らんちゃんに虫がつかないように、僕らを使ってまでガードさせてたのは誰だよって話でしょ」
「本当だよ。僕ら、ただの賑やかしじゃなくて、元貴の『理性のストッパー』兼『カモフラージュ』として呼ばれてたんだね……」
らんちゃんが「私も好きです」と言った瞬間、元貴の顔が目に見えてふにゃふにゃに緩んだ。
普段、数万人を熱狂させるカリスマの面影はどこへやら。今はただ、初恋が実った中学生みたいな顔をして、らんちゃんの指に指輪をはめている。
「見てよ、あの指輪。ぴったりすぎて怖いんだけど。いつサイズ測ったの?」
「元貴のことだから、寝てる隙に測ったか、持ってるペンとかから割り出したんじゃない? 執念がすごすぎるもん」
らんちゃんは驚きながらも、本当に幸せそうに笑っている。
お互い、ずっと前から想い合っていたのは知っていたけれど、こうして「解禁」された瞬間の破壊力は凄まじい。
「……若井、明日からの現場、覚悟しといたほうがいいよ。今の元貴の様子じゃ、スタジオでも堂々とノロケてくるだろうし」
「勘弁してよ。らんちゃんもらんちゃんで、元貴に感化されて『元貴さんのために頑張ります!』とか言い出しそうだし。僕たちの居場所、どんどん狭くなるね」
幸せいっぱいの二人を横目に、僕たちは顔を見合わせて深いため息をついた。
でも、その顔はどこか晴れやかだった。
3年間、ずっと喉に刺さったトゲみたいに気になっていた二人の関係が、ようやく一番いい形で着地したのだから。
「ま、お祝いだ。今日は元貴の奢りだし、一番高いワイン……は、らんちゃんが二十歳になったお祝いに、みんなで少しだけ楽しもうか」
ラブラブな二人の世界を邪魔しないように、僕たちはこっそりと、でも心からの祝福を込めて、グラスを小さく鳴らした。
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コメント
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若井さん、お藤さん、笑 このふたりも、これからももっくん達を見守ってて欲しいですね😍
🌹はなみせ🍏