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アメリカ×ロシア
ちょっとショッキングです。
地雷の方はブラウザバック推奨!
君がいじめられているということは、知っていた。
というか、クラスの者ならだれでも知っている。それはクラスメイトがいる居ないに関係なく、先生や他人が居ない限りいつどこでも行われるからだ。
俺の通う学校には問題児が沢山いる。それは近所でも有名なことで、ここに入学する者ならだれでも把握しているところだ。でも、決して偏差値が低い訳ではない。テストの点数や難易度”は”高いのだ。簡潔に言ってみれば、「頭のいい狂ったやつら」の入る高校だ。頭はいいものの考えがぶっとんで居たり頭の良さ故に周りに馴染めない者が多く入学してくる。
だからこそ悪質ないじめが起こるのだ。
みんな、この学校は問題児しかいないことを知っていて、いじめを止めることは”無謀な正義”や”表面だけの正義”だとわかっていて、無意味だと知っているから、誰もいじめに加担しようとしないし止めようともしない。加害者は気持ちよくなって、被害者はとことん不幸に陥る。それがこの学校の仕組みなのだ。
”傍観者”が一番良い立ち位置であるので、みんな傍観者になる。傍観者から降りたくないので、みんな傍観者になる。
どんなに馬鹿なことだろう、みんな思っている。でも変えられない。実行する気力がわかないのだ。
俺は生徒証を取り出した。「アメリカ」と細めの明朝体で書かれている。傍観者は皆、この生徒証が嫌いだった。…嫌いだった、というか、美術館などでも”出したくなかった”。
「…」
被害者に選ばれてしまった、それは可哀想な可哀想な男の子。
彼の名をロシアと言った。
放課後。
100円ショップで彼の姿を見た。
俺はなんだか知らないが彼の行く先が気になったので、さりげなく彼の後ろをついて行った。俺はノートを買うために100円ショップに来ていた。
彼は疲弊した表情で猫背のまま迷うことなく歩いていく。売れなくて安くなったぬいぐるみや玩具、ネットで話題になっている文房具や可愛い柄の手帳、そのすべてに目もくれず彼は店の奥へと歩いて行った。
と思ったら、とある場所で立ち止まった。俺は来たことが無いコーナーだった。何を求めているのだろう?俺はロシアを盗み見た。
彼は安っぽい縄を真っ黒な目で見定めていた。
丈夫であるかを確認するように、袋越しに縄を軽くつかんで、そのまま手に取った。
俺はその場から去った。
俺にはまだ早い世界に感じた。俺は特に意味もなく唾を飲み込んだ。買う予定の無かった日記帳と缶のコーラを何故だか手に取って、俺はレジに向かった。
あいつ。
俺は、あいつが自殺して、近所に学校についての噂が立って俺の風評にも支障が出ることを不安に思っていた。普通の人は彼の評判をするのだろう。俺もまたクズ野郎だった。
俺は100円ショップの近くで適当にスマホを見ながらとどまっていた。ロシアがビニール袋を手に持って店から出てくる。俺はそのタイミングを見計らって、”偶然歩いてきましたよ”という風な雰囲気を醸し出しながら100円ショップの前を通り過ぎようとした。俺は方向を変えて、ロシアの方へ歩き始めた。
ロシアが俺を見る。目で「なんだよ」と訴えられている。声はかけられなかった。俺は「ん」と缶コーラをロシアに差し出した。
「…すまん」
何の意味を込めたか、何も伝わらないような言葉を取り敢えず言ってみる。ロシアは不思議そうに俺の顔とコーラを二度見した。隈や顔の傷やらが見るに堪えないのでなるべくこちらを覗かないでほしいのだが。ロシアは爪の割れて絆創膏だらけの手で缶コーラを手に取った。
「…ありがとう」
聞こえるか聞こえないか、震えるような声が聞こえた。俺はまた「ん」とだけ言ってまた歩き始めた。ロシアは高身長の為歩くのが早いイメージだが、その足取りはやけに重く、歩くスピードは亀かと思うくらいゆっくりだった。可愛そうなヤツ。俺は心の中で再度そう思った。
時は流れ、深夜、俺は布団に包まって目を閉じた。
だが、なかなか眠れない。その理由は明白だった。俺の頭には何故だかロシアが居座っていた。
「(…あいつ、今頃首吊ってんのかな)」
軽い感じで考えているが、人の命が重いことは重々承知している。
俺はロシアの顔を再度思い浮かべた。アイツは首を吊るとき泣いているのだろうか、はたまた解放感で幸福の笑顔を浮かべているのだろうか?…いや、無表情で、淡々と縄に全てを預けていそうだ。
…俺は、あの、ロシアが、泣きながら首に縄をかけている姿を思い浮かべた。
苦しいけど、これを耐えたら。苦しい。痛い。だけど、これを耐えれば。そんな暗示を掛けながら縄に縋るが重さで縄がちぎれてしまう。ロシアはただ苦しんだだけだった。首の縄跡も後日学校で散々ネタにされることだろう。ちぎれた縄を手に泣き崩れるロシア。ああ、なんてかわいそう。
…俺は酷い高揚感に覆われた。顔が熱くなり胸が高鳴るのが判る。自然に口角が上がる。下半身がきゅーっと熱くなって、ズボンが膨らんでゆくのが判る。こんな感覚は初めてだ。これを性的興奮とでもいうのだろうか。俺は俺がトチ狂っていることを理解した。でも、本能に抗うことはできなかった。
ロシアが好きなわけじゃない。
ただ、可哀想で、苦しんでいるアイツが好き。
もっと理不尽に、可哀想に、苦しんでくれないだろうか。もういっそ生き地獄を味わわせてやれないだろうか。誰にもすがれないまま意味不明な不幸に苛まれて。死ねない理由も作ってやろう。そうすればアイツはどんなになってしまうんだろうか、そんなロシアをみて俺はどんなになってしまうんだろうか。
俺は感じたことのない快感を覚えた。それはオーガズムと呼んでも差し支えないほどに俺には心地よく感じた。これが俺なんだ。俺は思い描いたことのない俺を感じて俺に酷く失望した。でもそれに嫌悪感は全くなかった。俺は俺である権利がある。さんざん言われたことだ。俺は俺を認めた。
…ごめんな、ロシア。
俺は心の中で謝罪した。
俺の為にもっと可哀想になってくれ。
俺は暖かい布団の中で思考を巡らせた。
君がもっと可哀想になれるように、
君がもっと可哀想になって可愛くなれるように、
俺がお手伝いをしてあげるよ。
俺は身体を震わせた。
そしてそのまま夢の世界へと溶け込んだ。
またアメリカ殿を異常性癖キャラにしてしまった。
アメリカ推しの方ごめんなさい。
次は純愛書きます。(保証はない)
コメント
3件
「………すげぇな」 心の底からそう思って、気付けば口から出ていました。 まず彼らの通う❞学校❞の設定がとてもとてもとっっっても掘り下げられており、舞台を想像しやすかったです。 そしてロシアくん…被害者に「選ばれてしまった」。これは、傍観者じゃないと出てこない他人事のような表現ですね。アメリカさん、良い言葉使いますね。 ロシアくんはとてもノッポで目立つので、いつも無表情で感情が読めず、「暗い」「不気味」ということから槍を向けられる存在だったのかなぁと連想しました。 なんといってもアメさん…貴方、相当歪んでいますね。 まぁそんな学校に通っていれば、興奮するポイントが一般的なものとズレるのも仕方がないのかしら……否、アメさんは歪んでいました。 可哀想で可愛いロシアくんに、彼はこれからどうするんでしょうね。 どろっどろな作品ありがとうございます♡
待ってよ…ド性癖なんだけど😇主様こんな神作ありがとうございます!! マジでこういう系の作品タイプなんですよ!本当にありがとうございます!!
最低で最高過ぎる!!💗😻ほんとにやばい…!💖どタイプ過ぎます…!💕🥺アメリカの優しさがあってちょっと不器用な感じと可哀想で心も体もボロボロなのに興奮してて性癖歪んでるのちょー最高です…!😭💖アメリカの一方通行な感じも良いしロシアはそれに気付かず不幸なまま…!重々しいアメリカの感情が好きすぎるしその表現を残しているのにまとめるのが上手すぎます!!✨凄い…!!💖今日も頑張れそうです!ありがとう…!😇✨