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「では、行って参る。」
「お気をつけて。」
先輩を送った後、俺は先輩が行ったことを確認して
左の部屋の戸を開けた。
すると、そこには階段があり
気になった俺は、恐る恐る階段を降りた。
降りるとまた一つ扉があり
開けたと思えば、刃物やら毒やら
色々と出てきた。水酸化ナトリウムなんて
沢山とある。硝酸、塩酸、なんなら一酸化炭素。
見渡すほど色々なものがある。
部屋はとても広いので進んでいけば
体の標本なんか置いてあった。
「何に使うのだろう?」
不思議に思い、近くにある棚を開けてみると
その疑問は一瞬にして消えた。
(8年前、龍宮城へ哪吒が来た。散々暴れていたが
親思いの息子である。とても悲しいことであるが
サーガラの弟に暴力を振るったとのことだ。
それにて今日、2010/04/5。哪吒には自害してもらう。)
(私がサーガラの真似をして自害させれば良きかな。)
恐ろしき文章を読んでゾッとした。
二枚目もあるものだから、読んでみると
少し複雑な気持ちになった。
(サーガラが暗殺されるそうだ。誰なのか分からないし
死にものぐるいで探しても居ない。
こうしてる間に死なれたら困る。)
(生き返すためには、肉体契約をしたければならない。)
(やり方は、死者の皮を剥ぐ→生者がそれを着る。
生者が死者に肉体を渡して
死者の肉体を頂いたこととなる。
入れ替わることを縛りとした契約だ。)
それを見た瞬間ハッとして
後ろを向くと、先輩に拳銃を向けられた。
「この泥棒猫が。」
「勝手に入るまでは良かったが
紙まで読むとはな。」
眉間にしわを寄せると引き金に力を入れた。
俺は両手を上げて声を上げる。
「サーガラの犯人見つけますから
よしてくださいよ…!」
咄嗟にそう言うと
先輩は銃を下ろした。
「どう見つけるんだ?」
「…あー、サーガラに変装して
渋谷の真ん中に立っておくとか?」
「お前が殺されるぞ?」
「…俺も竜ですし撃退できますよ。
……分かんないけど。」
自信のなさに身を引いてしまった。
だが、その前に先輩はこう口ずさんだ。
「お前はやらなくて良い。
…大体会ったこともないだろうに。」
「…そうかもしれませんね。」
「けど、心配なんですよ。貴方もサーガラも。
医者としてやらなきゃ意味ないし。」
眉を八の字にして俺は下を向いた。
どうすればよいのかと思考を巡らせたが
しっくりとくる答えは出ない。
この数秒の間、俺は苦しんだ。
「お人好しか。
けれども、やってみる価値はあるな。」
「海岸で変装すれば来るかもしれぬ。」
「…本当ですか?!」
「あぁ。以前、青い龍が海岸に行ったときに
ズタズタにされていたからな。」
「私が構えておいて、お前がやるのはどうだ。」
先輩の言葉に、俺は胸をなでおろし
やっと恩返しが出来るなぁと心から安心した。
けれども心配なことがある。
「その〜翼は…」
「…術で消えるだろう。」
「あ、そっか。」
「左様。翼を出せ。やるなら早くやろう。」
「はい…」
俺は服の背から翼を出し、先輩に向けた。
先輩は手から白い煙のようなものを出すと
翼を包み込んでやがて消えてしまった。
消えたとしても、翼では生暖かい風の感覚や
先輩のヒンヤリとした爪の感覚を
感じている。見えないだけで
やはり翼があるのだろう。
その感覚が不思議でならなかった。
「それで、変装についてだ。
鳳凰の毛皮で出来た着物に王冠を被る。
そうしたら、体を青く染めてヒゲをつければ良し。」
「着物ならあるから、突き当りの部屋で着替えれば良い。」
先輩の言葉に従い
着物を着ると、王冠を被り
体を群青色に着色した。髭については
綿を細くして鼻元に着ける。
それで見た目はサーガラになった。
多分、気が付かないだろう。
心配と期待を胸に、先輩の家から出た。
先輩は明らかに不安そうな顔をしている。
眉間にしわを寄せて、唇をキュッと結んでいた。
四本の手で夜叉刀、弓、鉄砲、毒蛇
を持ち唇を長い舌で舐めている。
毒蛇は先輩の使いらしい。頭は九ほどあって
それまた心配そうな顔をして
先輩と顔を見合わせている。俺も不安を煽られ
ギュッと手を握った。
嫌な汗がダラダラと頬から流れる。