(っ!?)
もう間に合わないと思ったその時だった 周りの色が反転し周囲が動かなくなる
「時間が…止まった いや、ゆっくりになっているだけ?」
目の前を群青色の蝶が横切る そして腰の、ホルスターのハンドガンに止まる
その蝶からインクのようなものがあふれ、手が染まっていき体の主導権が奪われたのを感じる
(この蝶…まさか!)
その蝶はアストの体を介してハンドガンで鉈に残弾すべて撃ち込む
煙が上へのぼるのと共に体に感覚が戻り、色の反転も無くなる
レナが驚いた表情で後ろを確認する
「まさか…アストが…」
「ちっ ちが!今のは」
「凄いよアスト! 今のどうやったの?」
「…ごめん 自分でも分からない 何であんなこと出来たんだろう…」
「あとでシュドにでも聞いてみる?何か知ってそうだし」
再び走り出す
「そういえばレナ どうして来たの?」
「シュドに言われたんだよ 『もし30分以上経っても何も無かったらこの鞄持って追いかけて来い』って」
「その鞄の中身は?」
「さあ?自分も中覗いて見たけど変な機械?みたいのが入ってたよ」
森を抜け、さっきの場所に戻ってくる そこではカインが倒れ、シュドが2人の男女と対峙していた
「じゃあこの調子で残り2…いや、3人も…」
「待って、嫌な予感がする ここは私に任せて」
しばらく考えてから「りょーかい、リーダーのいやな予感はよく当たるからね~ あっ、武器はここ置いとくよ」と言い肩掛けバッグを置いていく
鞄の中から折り畳み式の槍を出し、慣れた手付きで組み立てていく
「…」
「何で黙って見てるの?この状態なら襲い放題なのに」
「準備中の相手を襲うほど落ちぶれてねえよ ってのは建て前で弾薬も武器も尽きちまったからな 何も出来ねぇよ」
「舐めてるの?その腰のナイフは飾りじゃないでしょ」
「別に良いだろ 個人の自由」
シュドの耳がピクリと動く
「でもまあ 悪い予感ってのは当たってるな」
「シュド!」
レナが鞄を投げる
「レナ!悪いがショットシェルを何発かくれないか」
「12ゲージで大丈夫?」
「ああ、ありがとう」
シュドが武器を組み立てる 紐を引くと槍のような武器からけたたましい音が鳴り響き、ブレードが上下に動く
「お互い準備出来たみたいだな」
「ええ、そうね」
コメント
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シュドの武器は生け垣バリカンの柄の部分が長くなった感じです