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蛍{hotaru}
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『いつもより甘く』
高校3年の10月頃。
「佳君…?ちょっといい…?」
「ん?どうした?」
放課後、教室で残っていると女子に声をかけられた。
2年生の時に同じクラスになった女子だった。
「これ…あげる…」
彼女の手にあったのは、俺の好きなチョコだった。
「ありがとう… どうしたの?急に」
彼女は下を向いて
「いや、そ…その…… 」
少し沈黙が流れた。
「ごめん、私行くね…!」
そう言うと彼女は走り去っていった。
「………」
俺はもらったチョコを眺めた。
「どうしたんだろう?」
理由は分からなかったが、
「…せっかく貰ったし」
俺は袋を開け、チョコを口に放り込んだ。
「…? いつもと少し味が違う気がする。気のせいか」
そのチョコはいつもより甘く感じた。
コメント
1件
「いつもより甘く」、読ませていただきました🍀 佳君にチョコを渡す彼女の、言いかけて走り去る切なさが胸に残ります。理由を探らずに受け取って食べる佳君の自然な優しさもいいですね。そして「いつもより甘い」と気づくラスト——あのチョコに込められた気持ちを思うと、読後も甘くてほろ苦い余韻が続きました。素敵なエピソードをありがとうございます🌷