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#うりさん
ろのみ🩵🫧
43
19
#年上彼氏
おうか

252
あの温泉に行ってから、湊との距離が少し近づいたように感じた。家も、職場も遠くなって、もうあのコンビニに行っても湊はいないけれど……たまに、スムージーを飲みながら歩いている眼鏡のイケメンは見かけたりする。
目が合うと、舌を出したり、顔の横でVサインを出したり。
とてもじゃないが、本職が会社員だとは思えない。だけど、妙に、和む。
「部長、まだ結婚しないんですかぁ? ひょっとして、振られたとかぁ? ……気晴らしに、付き合いますよーぅ」
追っ払っても追っ払っても、このテのタイプが入社してくる謎。
「すこぶる、順調だ」
「本当ですか? どんな人ー? 本当にいるのー? 実在の人物?
何だ、実在って。
「内側から、美人」
それだけ言って去った。こいつらが、帰る時間に湊待たせとこうか。ま、止めとこう。見せるのも惜しい。
今日も、湊のSNSをチェックする。
彼女が仕事で任されてる部分だ。会社アカウント。綺麗だな。色彩感覚とでもいうのか。
まぁ、時々写り込む“LEON”が気になっているのも、確か。
湊が担当してる記事は湊の顔のアイコン。この小さな円の中にいる湊すら、愛しい。
癒し……だな。
だけど、不特定多数が見るSNSに顔を出す。大丈夫か。それにしても、可愛い。
俺の癖は相変わらず。見て、分析する。
湊は、ケーキはスポンジよりタルト派。だけどスポンジも食べたいのでそっちは俺が頼む。
生クリームより、カスタード。でも、コーヒーに生クリームのってるやつは好き。
パスタはいつもトマトソース。時々冒険しても、すぐに戻る。
盛り付けは得意。綺麗に切るのも得意。物凄く集中してて楽しそう。味付けは苦手。これは、俺が担当する。
掃除や部屋のレイアウトは異常に上手い。
割りと低俗な下ネタで笑う。なのに、リアルのは赤くなる。
キスが下手。これは、萌えるからよし。
好き勝手に抱かれるのも……好き。声を我慢して涙目で唇を噛む。この顔は最強。
ジャムおじさんとバタ子さん、俺達は同じ関係だと言う。これは、よく分からない。
携帯のロック画面は俺の隠し撮り。なぜ、正面でないのかは謎。
紅茶よりコーヒー。
カレーには福神漬け時々らっきょう。
長風呂
歌う歌が古い。そして、音痴。
ハンカチよりハンカチタオル。これは、泣き虫だから。
物凄くよく噛んで食べる。熱い物と辛い物はゆっくりしか食べられない。
よく食物連鎖という。出世魚が好き。サラダはいつも海藻とじゃこ。
自分の容姿に自信がない。唯一、手は気に入っている。
くるぶしが、どの部分か分かっていない。
富士山の“さん”の部分を敬称だと思っている。
9時以降は眠たくて無口。
夜中目覚めたら、怖いから、俺も起こそうとする。
面食い。正統派のベタなイケメンが好き。戦隊で例えると、断固レッド。
1ヶ月に1回は、吉良くん元気?と、聞く。ちょっと気に入らない。
麗佳とライン友達。
今の仕事が好き。
イタリアが好き。
サグラダ・ファミリアを桜田ファミリアだと思っている。スペイン在住の桜田さんが何世代にも股がって建設してるとでも?
新しい職場の所長がイケメンで、嬉しそう。これも、ちょっと嫌。
前髪を切ってから、若く見られることに浮かれてる。
最近、職場近くのカフェ店員から告白された。返事はしてない。早くしろ。
押しに弱い。だから、早く断れ。
お人好し。だから、早く断れよ。
モテる事を自覚してきた。
彼氏がいることを自分から言わない。聞かれたら、答える。だから、さっさと指輪でもさせときたい。
最近2キロ体重が増えた。また少し色気が出た。
俺の名前を7回に1回は孝之という。
エンドルフィンのことをイルカだと思っている。エンの部分はスルー。
俺の戸籍謄本を大事に持っている。独身証明書も然り。
かなり……俺の事が好き。でも、言わない。脳内にイルカが出現した時にたまに言う。というか、言わせる。
癖は癖で……役にも立つ。ただ、分からないことは聞くようにしている。すぐに、その場で。
そして、俺の方は時構わず、気持ちは伝えるように。
彼女が真っ直ぐに笑顔を向けてくれるように。
あれから、湊はイタリアだけでなく、度々海外へ行っては、沢山の写真を俺に見せてくれる。ずっと、したかった仕事だと楽しそうに毎日を過ごしている。相変わらず、俺の方も忙しかった。以前にも増して。
だけど、時間があれば直ぐに会いに行った。彼女も来てくれた。
同じような毎日を過ごしていたけれど
以前と違うのは、俺のマンションの開かずの間が綺麗になったこと。
湊からも連絡があるということ。
俺から誘っても、断られる日があること。
俺も、湊の家に泊まるようになったこと。
俺を部長と呼ぶ回数が減ったこと。
にっこり笑わずに、大口を開けて笑うようになったこと。
俺が愛を語っても、嬉しそうに笑うようになったこと。
愛されることに……慣れてきたこと。
それに、朝になっても彼女は帰らないこと。
朝だけでなく、昼も一緒に過ごせること。
最近、少しふっくらした彼女は、丸みを帯びて、より一層色気が出てきた。きっと、エンドルフィンがいい仕事をしているのだろう。
服も、セクシーな物が増えた。これは海外に行く事の影響だろうか。
「そろそろ、一緒に住まないか?」
「うん、考えとく」
このやり取りも、もはや定番。
「家でも……建てるかぁ」
「中のデザインは私が!」
食い付いてきた。好きなんだな。
「……うん」
「そのうち……」
そう言って俯く。まだ、駄目か。
「……そろそろ、一緒に住まないか?」
もう一度繰り返す。
「……囲って下さい」
「……湊~」
俺達はよく、俺の言葉を“既婚変換”“未婚変換”して遊んだ。
だけど、そろそろ……見た目通りの妻帯者になってもいいんじゃないかと、本気で思っている。
なのに、その妻が帯されてくれない。諦めるつもりはない。俺は結構しつこい。
彼女が、その気になるまで。
夜をこえて朝になっても
朝が昼になっても
彼女は俺の隣にいる。
そして、それは何度も繰り返される。
何度も、何度も。
数えられないほど。
毎日
夜をこえて
朝が来ても
俺の隣に彼女がいる。そんな日が来ることを。
綺麗な瞳に、俺への愛を湛えて。
……そんな、朝を想う。
ずっと……彼女と共にいる朝を。
コメント
1件
おお……44話、エピローグside S。これはもう、ずっと読んでいたい“彼”の視点の宝物みたいな回でしたね。湊さんの細かい癖や好みを一つひとつ「分析」して愛おしむ様子が、もう完全に彼の“癖”そのもの。特に「キスが下手。これは萌えるからよし」には声出して笑いました。彼の“既婚変換”遊び、ずっと見ていたい。この幸せな空気感、たまりません。