人は生きてる内に何回も絶体絶命的状況に会うことがある。私も同じく何度もそれを体験した
今の私の状況は非常に危険である。殺連本部を襲撃した有月 憬の腕の中にいる。姫様抱っこではなく脇に抱えられてる。傍から見れば私は人質だ。だけどそれより危険なのは目の前に篁さんが居ることだ。あの人は殺連の亡霊とも言われるほどの実力を持ってる。篁さんが刀を抜けば私もサイコロステーキの様になってしまう。と言っても篁さんに命乞いをしたら有月憬に殺されてしまう。どちらを取っても死んでしまう運命。喋ったら周りから何故その男を殺さない?!と言われてしまいそうだが喋っても喋らなくてもどっちにしろ私は弱い。
心拍数だけが上がっていく。それは有月 憬も同じだ。ほんの少しだが篁さんを見てから動揺した。一般人でもましてや殺し屋でも見逃してしまいそうな小さな動揺。それに私は気づいた。もちろん脇に抱えられてるからわかりやすいのもあるが昔から人の微弱な反応や小さな変化に気づきやすかったのもある。まっそんな小さな変化に気づいても目の前にいる篁さんを
どうにかしない限り私もこいつも死ぬ。
「あのさ、私を下ろした方が戦いやすくない?」
「下ろしてもいいけど逃げない?」
逃げるに決まってるのにそんな質問をしてくるあたり相当捻くれてる。この男がどれほど強いかは知らないがアルカマルではいつも結果が上位に入る様な人だ。数分は持ちこたえるだろう
その時に楽ともう1人の男が戻ってきた。
「逃げて無かったんすねそいつ」
「俺から逃げれないよ」
一緒に来た男の名前は宇田。何度か任務を割り振ったの記憶にある。まさかここと繋がって居たとは思わなかった。そうして3対1の戦いが始まった。私はもちろん腕に抱えられたままだから有月 憬を2人がフォローしながら戦ってる。
そんな状況で篁さんに勝てる訳が無く楽は耳と
片腕を切られてしまった。楽は切られた腕さえも武器にして篁さんに向けて蹴った。それを見て どこが失敗作なんだろうなーと有月 憬の腕の中から眺める。これじゃ勝てないと思ったのか 宇田さんが篁さんを巻き込み自爆した。そこから出た煙に溶け込み本部を後にした。
「本当に私を入れつもり?」
「楽が言うのは珍しいからね」
そう言う有月 憬の後ろで片手を持ち
「片手って歩きにくいっすね」と場違いな事を
楽が言う。
本当にアジトに連れてこられてしまった。
有月 憬は少し前に用事があると行って私を楽に任せてどっか行ってしまっ た。
アジトと言っても廃墟みたいな感じで汚かった
中に入ると
「なんですかその怪我と お方は?!」と
鹿?トナカイ?の仮面をした男が叫んだ。
「今日から俺らの仲間」と楽が言う
「ボスは認めてるのですか?」
「ボスがここまで連れてきたぜ」
「なんと!!」
仮面の男は相当有月 憬に依存してるらしい
「あなたには何ができるのですか?」
少し辛辣が回りくどい言い方じゃないのは個人的に話がしやすい
「ハッキングとか情報収集」
それを聞いて仮面の男は私を武闘派では無いことを理解したらしく自己紹介を始めた
「私は鹿島と言います。あなたは?」
「月って言うから好きに呼んで」
そうですかと喋りながら楽の手当をしてる。
鹿島はすごくて切れていたはずの楽の腕をすぐ縫った。どうやったかは分からないが血管と神経も縫い合わせていた。それも10分足らずて終わって鹿島は奥に行ってしまった。
そこに私と楽が取り残されて楽は汚い木箱の上のホコリを払ったあとにそこに座りポケットからゲーム機を出しやり始めた。切られた腕の指も普通に動いていて切られた事が嘘みたいに思えてきた。暇だった私は楽の近くに行きゲームを覗き込んだ
「お前緊張しないのか?」と楽が私に問いかける
「そりゃ緊張してるよ、」そう私が言うと楽はポケットからもう1つゲーム機を出し私に差し出してきた。え?と間抜けな声を出してる私に
楽は
「違った?」とでかい図体に合わないどこか子供っぽい感じで言ってきた。
「いや、逆にいいの?」
「ん、鹿島さんもボスもゲームしないしもう
1機あるからやろうぜ」と言ってきた。
そのゲーム機を受け取り楽の隣にある木箱に私も腰を下ろした。楽とやるゲームはバトルゲームでお互いキャラクターを選び先に3勝した方が勝つと言う至って単純なゲームだ。
私もゲームそこそこ上手い方だがさすがに 実践ができる楽には勝てず2勝3敗で負けてしまった
そこからも2人で有月 憬が戻るまでゲームをした。
コメント
5件