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銀河が、私の手を引いて、ゆっくりとエントランスの大階段を下りていく。
ここに来るのは二度目になるけれど、まだ緊張が隠せない。
フロアを占めるように長いお店のソファーに腰を下ろしても、まだ胸がドキドキとして顔も上げられずにいる私に、
「ほら、これ飲めよ?」
と、銀河がお店のオリジナルカクテル「ムーンドロップ」を、スッと手渡してくれた。
「飲んで、少し緊張ほぐせって」
「うん…ありがと」
グラスから、よく冷えたカクテルをこくりと口の中へ流し込む。
銀河は、私の隣でバーボンをロックで飲んでいて、
グラスを持ち上げる度に、氷が揺れてぶつかり合う音がカラカラと小さく響いていた。
「……ねぇ、銀河? ……ロックって、強いの?」
男性にしては長くしなやかに伸びた指をグラスに添え、唇へと運ぶ仕草が、妙に色っぽくも見える。
「うん…?」
ごくっと咽喉を鳴らして一口を飲んで、銀河が私に目を向けると、
紫の不思議な色の瞳の中に、私の姿が映り込んだ──。