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今夜は、当店No.1の銀河が、
あなたを、エスコートします。
※チャラデレ系男子 × おとなしめ女子 シチュ
薄く色の抜けた長めの髪をなびかせ、銀河が私の手を引いて、ホストクラブの店内へと続くエントランスの大階段をゆっくりと下りていく──。
ここに来るのは二度目になるけれど、まだ緊張が隠せずにいた。
階段を降り切った先にある、広いお店のフロアを占めるように据え置かれた長ソファーに腰を下ろしても、まだ緊張でドキドキとして顔も上げられないでいる私に、
「……ほら、これ飲めよ?」
と、お店のホスト兼オーナーでもある三日月さんが出してくれたオリジナルのカクテル「スイートタイム」を、銀河が私の手に握らせてくれる。
「飲んで、緊張ほぐせって。そんなに固くならなくても、いいだろ…な?」
少しだけ間を置いて付け足された「…な?」という一言が、耳元をくすぐって彼の吐息がふっと吹きかかる。
それだけでも、胸の高鳴りがピークに達しそうにもなって、
「うん…ありがと」
とだけ口にすると、グラスからカクテルをこくっと喉へ流し込んだ……。
銀河は、私の隣でバーボンをロックで飲んでいて、
グラスを持ち上げる度に、氷が揺れてぶつかり合うカラン…という音が微かに聴こえていた。
彼と私しかいないふたりっきりの空間で、微かなその音色が耳に心地よく響く。
男性の割りに長くしなやかに伸びた指を、水滴の付いた冷えたグラスに添えて、薄い唇へと運ぶ手つきに、目が吸い寄せられて離せなくなる。
「…ねぇ、銀河?」
睫毛の長い横顔に思わず呼びかけて、「…うん?」と顔が向けられると、その先をどう続けていいのかがわからなくなって、
「……ロックって、強いの?」
と、頭に浮かんだ些細なことを尋ねた。
ごくっと咽喉を鳴らし一口を飲み込んで、銀河が私の顔を見つめると、
紫のミステリアスな色合いの瞳の中に、私の姿が映り込んだ。