テラーノベル
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初ノベルでございます!!!
今回はアルアサ?って感じで甘い青春を 書いてみました!
それではどーぞー
「……なんでまたお前がいるんだ」
紅茶を淹れながら、イギリスは呆れたようにため息をついた。
「なんでって、ヒーローはどこにでも現れるものだからね!」
ドアを勢いよく開けて入ってきたアメリカは、いつもの調子で笑う。
「ノックくらいしろと言っているだろうが!」
「いいじゃんいいじゃん、減るもんじゃないし!」
勝手に椅子に座り、テーブルの上のスコーンをひとつ手に取る。
「それは俺のだ!」
「え?俺の分じゃないのか?」
きょとんとした顔で言うアメリカに、イギリスは言葉を詰まらせた。
(……こいつ、本当に分かってないのか)
用意してあるに決まっている。毎回、こいつが来るたびに少し多めに焼いているのだから。
「……違う。だが、もう食べたならいい」
「やっぱり優しいね、イギリス!」
にかっと笑うその顔に、イギリスは思わず目を逸らした。
「うるさい、ばか……」
心臓が、少しだけうるさい。
気づかれてはいけない。こんな気持ち。
「なあなあ、今日さ」
「なんだ」
「映画観に行くんだぞ!」
「は?」
突拍子もない提案に、イギリスは眉をひそめる。
「なんで俺が……」
「いいじゃん!ヒーローが誘ってるんだぞ!」
胸を張るアメリカに、イギリスはじっと睨みつける。
(断る理由はいくらでもある。仕事もあるし、面倒だし……)
でも。
「……どんな映画だ」
気づけば、そんなことを聞いていた。
「えっとね、ヒーローが世界を救うやつ!」
「お前と同じじゃないか」
「だろ?絶対面白いって!」
無邪気に笑うその顔に、イギリスはまた視線を逸らす。
(……本当に、ずるい)
「……仕方ない。今回だけだ」
「やったー!」
子どものように喜ぶアメリカを見て、イギリスは小さく息をついた。
映画館では、アメリカは終始大はしゃぎだった。
「今の見たかい!?すごい爆発!」
「静かにしろ、周りの迷惑だ」
小声で注意しながらも、イギリスの意識は別のところにあった。
隣。
ほんの少し近い距離。
腕が触れそうで、触れない。
(……近い)
意識するなと思うほど、気になってしまう。
そのとき。
「なあイギリス」
「な、なんだ」
「ポップコーン食べるかい?」
差し出されたカップに、イギリスは一瞬固まる。
「……自分で食べろ」
「えーいいじゃん、一緒に食べようよ!」
ぐいっと近づけられて、仕方なくひとつ摘まむ。
指が、少しだけ触れた。
「……っ!」
思わず手を引くイギリスに、アメリカは不思議そうな顔をする。
「どうしたんだい?」
「なんでもない!」
声が少し上ずる。
(こんなことで動揺するな……!)
一方のアメリカは、まったく気にしていない様子でまたスクリーンに目を向けていた。
(……本当に、鈍感なやつだ)
少しだけ、ほんの少しだけ。
その鈍感さが恨めしい。
でも同時に——
「楽しいね!」
そう言って笑うアメリカを見て。
「……ああ」
イギリスは小さく頷いた。
(……それでも、嫌いになれない)
むしろ——
(だから困るんだ)
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