テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
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■読まれる前の注意書き
・本作は「カントリーヒューマンズ(CountryHumans)」の二次創作(ファンフィクション)です。
・実際の歴史、国家、政治団体、宗教、および実在の人物とは一切関係ありません。
・かつて対立していた国々が、現代風の平和な世界線でひとつ屋根の下、あるいはご近所さんとして仲良く「ほのぼのとした日常」を送っているパラレルワールドを舞台にしています。
・キャラクターの口調や性格に独自の解釈(マイルド化)が含まれます。
・以上の点をご理解いただける方のみ、お進みください。
■第11話
題名:文明の利器は戦火の元? 四人のチャット大作戦
ジャンル:日常・スマホほのぼの
それは、日帝が全員分のスマートフォンを契約し、持ち帰ってきた日の夕方に始まった。「連絡用として非常に便利ですから」と、日帝が簡単な使い方を教えて回ると、四人だけのメッセージアプリのグループチャット、通称『茶飲み同盟』がさっそく作成された。
夕食前、それぞれ別々の部屋にいながら、初めての画面に悪戦苦闘する時間が流れる。
最初に静寂を破ったのは、居間でゴロゴロしていたイタ王だった。
『みんなー! これ見て! すっごく可愛い犬のスタンプ見つけたよ! [柴犬が踊っているスタンプ][猫が万歳しているスタンプ][ピザの絵文字]』
画面がうるさいほどのスタンプと絵文字で埋め尽くされる。通知のピコピコという音が屋敷中に響き渡った。
すると、自分の部屋で大真面目にスマホと向き合っていたナチから、恐ろしいほどの速度で長文の返信が投下された。
『イタリア、公共の、いやグループ内の通信回線を無意味な視覚的記号で埋め尽くすのは非合理的だ。通知音が三分おきに鳴ることで、私の読書効率が著しく低下している。スマートフォンの主たる目的は迅速かつ正確な情報伝達であり、貴様のような娯楽の垂れ流しは――』
画面いっぱいの文字の壁。説教である。
そこに、自室でウォッカを片手に画面を人差し指で突っついていたソ連が参入した。
『ナチ、お前は相変わらず堅苦しいな。もっとこう、ダイナミックにいこう。ところでこのアプリ、文字はどうやって大きくするんだ? あと、私のキーボードがさっきから英語しか打てん。Khorosho.』
ソ連のダイナミックすぎる誤字とロシア語の混ざったメッセージに、ナチが間髪入れずにツッコミを入れる。
設定画面を開け、シロクマ。言語入力を日本語かそれぞれの母国語に最適化しろ。それから文字サイズは「大」にすれば貴様の老眼でも見えるはずだ。あとイタリア、スタンプを連打するのをやめろ』
『えー! 楽しいのに! [怒っている猫のスタンプ]』
ピコピコ、ピコピコと、終わりなきチャットの応酬。スマホという文明の利器を手に入れた結果、かつての大国たちは画面の中で第三次世界大戦さながらの大喧嘩(ただし内容は子供の口喧嘩レベル)を始めてしまった。
その頃、台所でエプロン姿の日帝は、静かに自分のスマホの画面を見つめていた。
秒単位で増えていく通知。ナチの理詰め、ソ連の誤字、イタ王のスタンプテロ。
「やれやれ……。皆さん、すっかり夢中ですね」
日帝はふっと微笑むと、手元のカメラ機能でお皿をカシャリと撮影した。そして、その写真をグループチャットにぽんと放り込んだ。
『本日の夕食は、揚げたての唐揚げと、特製ジューシーハンバーグです。冷めないうちにどうぞ』
画面に映し出されたのは、カラリと揚がったキツネ色の唐揚げと、肉汁が今にも溢れそうな大きなハンバーグ。
その写真が投稿された瞬間、さっきまで凄まじい勢いで動いていたチャットが、ピタリと止まった。静寂が屋敷を包み込む。
一分後。
『今すぐ行く。』と、珍しく短文で合理的なナチのメッセージ。
『唐揚げ!!!!!』と、感嘆符だらけのイタ王。
『ハンバーグは我が連邦の胃袋がすべて没収する。』と、不穏な宣言をするソ連。
次の瞬間、廊下から「ドタドタドタ!」と激しい足音が響いてきた。
台所のドアが一斉に開き、三人が息を切らせて滑り込んでくる。手にはしっかりとスマホが握られていた。
「日帝! 唐揚げ! 僕の分たくさんある!?」
「イタリア、慌てるな。ハンバーグの配分は公平かつ厳格に行われるべきだ」
「何を言う、早い者勝ちだ!」
日帝はスマホをエプロンのポケットに仕舞い、いつものように穏やかに微笑んだ。
「はいはい、席に着いてください。食べる時は、スマホは置いて、みんなで美味しくいただきましょうね」
四人はそれぞれの端末をテーブルの端に並べ、手を合わせる。画面の中の言い争いはどこへやら、目の前の美味しいご飯を前に、やっぱりいつも通りの賑やかで温かい食卓が始まるのだった。
コメント
1件
第11話、めっちゃ面白かったです!スマホ導入で一気にキャラの個性が炸裂してて、特にナチの長文説教とソ連の「Khorosho.」混じりの誤字、イタ王のスタンプ連打…それぞれの性格がチャットひとつでここまで色濃く出るんだなと感心しました。最後は日帝の唐揚げ&ハンバーグの写真で一発解決→食卓の団欒、という流れも「ほのぼの」の王道でほっこり。文明の利器が生んだ喧騒も、結局はご飯の前では無力っていうオチがすごく温かかったです!