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放課後の帰り道、ゾムと別れたあと。
シャオロンはひとり、歩きながら昔のことを思い出していた。
──中学1年。
ゾムは今と違って、もう少し尖ってた。
冷めてるようで、人付き合いに関してはどこか一線を引いてるようなところがあった。
けど、ロボロの話になると、表情が少しだけ柔らかくなってたのを、シャオロンは見逃さなかった。
「……あいつと会うと、なんか、普通でいられる」
そう言った日の帰り道。
小雨が降ってて、傘を半分貸しながら、ゾムはふとそんな言葉を漏らした。
「普通って、何なん?」
シャオロンが返すと、ゾムはちょっとだけ笑って、
「なんでもないことを、なんでもなく話せるってことや」
あの時のゾムは、まだ今ほど傷ついていなかった。
記憶を失われる前の、“大切な何かがまだ壊れてなかった”頃のゾムやった。
……変わってへんよな、お前
ずっとロボロのことを想ってる。
思い出してくれなくても、離れたくなくて、それでも隣にいたいと思ってる。
シャオロンは、そんなゾムの“変わらなさ”に、
嬉しさと、少しの痛みを感じていた。