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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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ー午後の授業、レアン寮一年のクラスー

午後の授業を受けながら、先程の先輩達の事を思い出した


(なぜ僕を仲間にしようとしたんだろう…)


いくら考えてもわからない、ワースやアビスの仲間が、図書室で会ったアンサーと言う先輩が、なぜ世界の不満を聞いてくるのか


そんな事をボーっと考えながらペンを持つ手を動かす


(利用されるかもしれないのに、馬鹿らし)


そう考えたはずなのに心のどこか片隅にはなぜか「仲間になりたい」なんて思いがあったのかもしれない


ー放課後、校庭ー

僕は校庭で魔法を打ち続けていた、叶わない努力があるとわかるのに努力をし続けるのは馬鹿かもしれない、でももし叶うのならば…


(この魔法を打ち破る魔法を手に入れたい)


岩に腰掛ける僕に近づく足音がした、軽々しいその足音は落ち葉を踏む音だった


「こんにちはなの!一年生の貴方!」


話しかけてきたのは桃色の髪でツインテールの女の人だった


「さっきの魔法!よーく見てたの!貴方凄いの!」

「…どうも」


元気な声で僕を褒めた彼女の目は急に真剣な眼差しになった、彼女は深呼吸をして僕に近づいた、僕は前に立つ彼女の顔を見上げた


「世界への不満、あるでしょ?私達の仲間にならない?」

「いえ、遠慮します」


そう言って僕は席を外そうと立ち上がると手を引っ張られた


「なんでなの!こんな女の子に仲間にならうなんて言われたら誰だってオッケーするのが普通なの!なんで断るの!」

「…え、嫌だからです」

「そうじゃないの!」


なぜ先輩にはまともな人が居ないのだろう、そしてそのまともじゃない人がずっと勧誘してくるのはなぜだろう、1人の方がずっと楽なのに苦しい方へ行く方が馬鹿だろうに、僕は手を振り払い逃げるように走った


「ラブ・キュート!私の名前なのー!名前教えたからそっちも教えろなのー!」


暴論だ、そんな事思いながら立ち止まり、振り返った


「…マイロ・ジェーニアス」


叫ばずに、でも普段より大きい声で言った、彼女は遠くから見ても笑顔で手を降っていた


(こんな奴に…おかしい人)


そんな事思いながら僕は走らずに歩いて学校の入り口に歩いていった


ーレアン寮、マイロの寮ー

帰ると同室の彼が彼の椅子に座りながら本を読んでいた、こちらを見ると本を閉じて僕の目を見た


「おかえりなさい、」

「…ただいま」


誰かのおかえりを聞くのは久しぶりだ、しかもわざわざ今読んでいる本を閉じてまで言われるなんて何年振りだろう


僕は自分のベットに座り込んで先程図書室で借りた本を開いた、どちらも何も話さず、本に目を向けていたのに、なぜかとても居心地がよかった


「…少しよろしいですか?」

「どうしたの?」


しばらくしたら彼が何かを思い出したように僕に話しかけてきた、僕は本にしおり挟んで彼の目を見た


「先程先輩がマイロを呼んでいましたよ、その時には居なかったので居ないと答えましたが」

「…どんな人?」

「…図体が大きくて敬語を使う先輩でしたよ」

「わかった、ありがと」


先輩…ずっと話しかけてくる先輩の仲間だろうか、なぜこんなに僕に執着するのかは分からないが


「…よかったら一緒に食事、行きません?」

「いいよ、」


(仲間はあれでも、友達ぐらいなら…)

そんなことを不意に考えて、『いいよ』と返事をしてしまった、彼なら多少の迷惑を掛けても許されると思ってしまった


ー数日後の昼休み、廊下ー

彼の教室に行こうと廊下を歩く、お昼だから人が多い、彼の教室に着くと彼と彼の友達の話し声がした、話しかけようと近づいたら彼らの話してる内容が聞こえてきた


「お前のルームメイト、あれだろ?」

「…あれとは?」

「”呪われた子!”良くあんな奴と一緒に居れるよな!」

「…彼は呪われてなんか居ませんよ、呪うも何も彼は優しいのだから」


彼の友達2人が彼にそう言っているのを聞いてしまった、でも彼が僕の事を優しいと言ってくれたのは嬉しかった、


「…お前口答えすんの?お前は俺らと一緒にあいつバカにしとけばいいの」

「なぜバカにする必要があるのですか?」

「…!てっめぇ…俺らに歯向かうのかよ!」


彼の友達だと思った奴が彼に殴り掛かった、その瞬間僕は考えるよりも先に走って彼の前に立って庇おうと両手を広げる、殴り掛かろうとした奴は手を止めた


「…そいつ庇って何になるんだよ、”呪われた子”」

「その呼び名で呼ぶな、ゴミが」


僕は杖を振るい隣で見ていて笑っていた奴に岩の手でぶん殴った


「これがお前らが呪われたと笑った僕の力だ、お前らは呪いには勝てないんだね」


変わらない表情で彼らの睨みつけるとそそくさと逃げていった、後ろを向くと涙目になっている彼が居た


「…ねぇ…マイロ、ごめ…」

「…ごめん、もう関わらないで」


そう言って僕は歩いた、後ろから僕の名を呼ぶ声がする、本当は今すぐに振り返って謝りたい


(ごめんね、こんなの多少の迷惑なんかじゃない)


彼の声を無視するのが辛かった、お願いだから引き止めないで、涙が溢れてしまうから


ーマイロの寮ー

(…こんな呼び名、無かったらきっと…、)


帰ってからもずっとこんな事を考えてしまった、自分しか居ない寮の隅で変わらない表情で涙を流す、もう後戻り出来ない、そんな事はわかってる


彼はきっともう『おかえり』なんて言ってくれない、今帰ってきても『ただいま』も言わないだろう


コンコンとドアを叩く音がした、僕は戸惑いながらも取っ手に手をかける


「よぉ、前は急だったから改めて聞きに来たぞ」


ドアを開くと先日の茶髪のヤンチャそうな先輩、ワースが立っていた、先程まで涙が溢れていたから気まずくて下を向いた


「もう一回だけ聞く、仲間に…」

「ならない」


僕は下を俯いたまま言った


「そうか、悪かった…」

「でも…!」


僕は食い気味にワースの言葉を遮ってワースの目を見つめた、目元は今赤くなっているだろう、ワースは真剣な眼差しだった


「…僕は貴方達を利用する、目的を達成するまで貴方の仲間になる」


ワースは僕の声を聞くとニッと笑った


「…ようこそ、七魔牙へ」


EP2 利用

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