数日後、春の夕暮れ。
この頃になると、
元貴と滉斗が一緒にいることは、
すっかり学校中の“噂”になっていた。
でも、2人にとって、
そんなことはもうどうでもいいのかもしれない。
その日も、元貴は滉斗に誘われて、
校舎裏の静かな場所――
春の光が差し込むベンチに座っていた。
元貴『ここ、落ち着くから好きです』
そう元貴がつぶやくと、
滉斗は少しだけ遠くを見つめ、
いつもより静かな表情になった。
滉斗『元貴さ、』
唐突に、滉斗が口を開く。
滉斗『…俺、正直、どう伝えたらいいか…
ずっと悩んでた、でも、多分、
言わなきゃ、きっと後悔すると思って…』
元貴の胸が高鳴る。
滉斗は真っ直ぐ元貴を見つめた。
滉斗『…俺、元貴ことが好き、
最初は、守りたいって思っただけだった…
でも、一緒にいるうちに、
どんどん元貴に惹かれて…
今ではこんなに、、好き…///』
少しだけ早口になりながら、
けれど誠実に言葉を紡ぐ滉斗。
滉斗『元貴と過ごす放課後が一番落ち着くし、
楽しい、元貴が笑ったら、俺まで嬉しくなる。
誰よりも、特別だって思ってる――
これからも、そばにいたい、、
だから、
俺と…ちゃんと付き合ってほしい』
沈黙が訪れる。
でも、元貴の目に迷いはなかった。
元貴『…僕も、
先輩のことが、ずっと好きでした、//』
顔を真っ赤にしながら、
それでもまっすぐな声で答えた元貴。
元貴『守られるのも嬉しいけど、
僕も、先輩の力になりたい、
…僕でよければ、お願いします、///』
滉斗がフッと笑って、元貴の手をそっと握る。
滉斗『これからは、
もう噂になったって関係ない、
元貴のこと、堂々と特別って言いたいし…』
重なった手はとても温かく、
ふたりだけの世界の中で春風がそっと吹いた。
そして――
教室でも、音楽室でも、通学路でも。
ほんの少し堂々と手を振って、
時々は手を繋いで。
2人には、もう隠しごとはなかった。
告白を終えて、
正式に恋人同士になった元貴と滉斗。
翌日から、ふたりの雰囲気は少しだけ変わった。
通学路で並んで歩く距離が、
ほんの少し近くなった。
お昼休みや放課後には、滉斗が元貴を迎えに
元貴の教室まで来ることも珍しくなくなる。
それは瞬く間に、さらに大きな噂になった。
女子『やっぱりそうだったんだ…!』
女子『先輩、
元貴くんのこと本当に好きなんだ…』
女子『なんか見てるだけで癒されるー!』
女子『でもちょっと悔しい…!』
滉斗のファンだった女子たちは、
最初こそショックを受けつつも、
女子『元貴くん、真面目だし可愛いよね〜、』
女子『先輩に似合ってるかも』
と、すぐに新たな推しを見守るスタンスに。
一方、元貴のクラスでも騒ぎになった。
男子『地味だと思ってたけど、
先輩と付き合うなんてすごいな!?』
男子『先輩と一緒にいる元貴、
ちょっと明るくなった気がする』
男子『たまには恋バナ聞かせて~!』
男子たちからも冷やかし半分、
応援半分の声が上がる。
ある日、昼休みにみんなの前で滉斗が、
『元貴、こっち』と呼びかけて、
自然に並んで歩く。
その堂々とした様子に、
教室は一瞬静まり返ったあと、
『きゃー!』『尊い〜!!!』
『お似合い!』『もう隠してないじゃん!』
と、拍手や歓声が起こった。
滉斗は照れくさそうに元貴の肩をぽんと叩き、
『恥ずかしいことなんかないよね、俺たち、
これからもよろしくね!』
と、普段より柔らかな表情で宣言する。
そんな滉斗に、元貴もそっと微笑み返す。
それは、ふたりにとって大きな一歩だった。
もう噂や視線を気にして隠れることはない。
元貴『なんだか、
ちょっとだけ自分に自信持てた気がします、』
帰り道、元貴がそう呟くと、
滉斗は『そんなのお前の力だろ』と
優しく笑った。
甘くて優しいあの空間は、
もう2人だけじゃなく、それを見守る
温かい仲間たちの空間にもなっていった。
コメント
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いやもう何だこれらゔらゔすぎるでしょ…テストで死んでたのに一気に回復したわ
このカップルはどこまで尊いのかしら
二人ともお幸せに♡ よく頑張った若井!