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フーシャ村。やっぱりここはのどかで落ち着くな。息がしやすいというか、自然と身体が癒される気がする。
マキノさんの経営する酒場に行くと、マキノさんがぱっと明るい笑顔を向けてくれた。
「ジェイデン! 久しぶりね、何年振り?」
「お久しぶりです、7年くらい……ですかね。マキノさんも変わりないようで」
俺はカウンター席に座り、注文をする。一応お酒はまだ飲めないので、マキノさんにお任せしてジュースを頼んだ。あと軽食も。マキノさんの料理を食べる。うん、安心する味だ……。おふくろの味とでも言えばいいのだろうか?
「そういえばルフィはどこに?」
「森の方にいると思うわ」
ルフィも修行とかしているんだろうな。あと数年で海に出るし、そのときにはもう海王類をシバけるくらいには強くなってるもんな。
俺はマキノさんと雑談をしながらサンドイッチの最後の一切れを口に放り込む。
「ご馳走です」
森の方でルフィを探してみようかな。俺は立ち上がり、勘定を済ませて外へ出る。
森の中は静かだった。ちらほらと動物はいるが、人影は見当たらない。
「ルフィはどこにいるんだろう?」
探し回っていると、ガサガサと草むらが揺れる音が聞こえてきた。音のする方へと歩いていくと、見覚えのある姿があった。最後に会った時よりも背が伸びて、筋肉もついているように見える。そして何より、麦わら帽子を被っていた。
「ルフィ!」
先に声を出したのは俺だった。彼は俺の声に気づき、こちらを振り返る。そして俺の顔を見て、嬉しそうに飛びついてくる。
「ジェイデン!!」
「むぐぐぐ」
顔に飛びつくな……。窒息する……。ぱしぱしとルフィの背中を軽く叩き、それから剥がす。
「ぷはっ。……大きくなったなぁ、ルフィ……」
「おう!! おれは海賊になりたいからな!」
「はは、ガープさんに叱られるぞ?」
「いいんだ。おれは海賊になるってもう決めたから」
「…そっか、まあそうだよなー。決めたら梃子でも動かなさそうなところあるもんな、ルフィは」
ルフィの頭をわしゃわしゃと撫でると、彼もまた擦り寄ってくる。犬みたいだなぁ。
「今度はどのくらいいるんだ?」
「ん? んー、しばらくはいるつもりだぞ」
その言葉に、ルフィが嬉しそうに笑う。俺もつられて笑った。
それから俺はルフィと遊んだり、話したりした。すっかりあの頃の泣き虫なルフィはいなくて、男らしさのようなものが感じられた。
日が暮れ始め、俺は自身の船へと戻った。今日は楽しかったし、久しぶりに会えてよかったな……。
「原作が始まるまで、あと5年くらいか……」
きっと始まってから、目まぐるしく世界が動いていく。俺は傍観者でいるつもりだけど、もしかしたら巻き込まれるかもしれない。でも物語が始まり、動くその日までは平和に暮らしていけたらいいな。
そんな呑気なことを思いながら、俺は眠りについた。