この作品はいかがでしたか?
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次の日、俺はまたルフィと遊んでいたのだが、その傍らで体が鈍らないよう鍛錬をしていた。
ルフィは素振りをしている俺を不思議そうに見ている。
「ルフィ、そんなに見られるとちょっとやりずらいんだが……」
俺は苦笑いしながらそう言うと、ルフィが目を輝かせながら俺に近づいてきた。俺の刀、烏融をキラキラした目で見る。
「それ、前は持ってなかったよな?」
そう言いながらルフィは烏融を指差す。まあ北の海でエドモンドに貰ったものだしな。俺は烏融を鞘に納める。
「こいつ、面白い刀でな。俺が一日でも手入れをサボろうとすると、手入れしろって震えるんだ」
「震える?」
「あぁ。多分今も名前を呼んで撫ぜたら震えると思うぞ。なあ、烏融」
烏融の名を呼び、俺はその黒い鞘を撫でる。すると烏融がカタカタと音を立てて振動し始めた。ルフィが興味津々といった様子で烏融を見つめている。
俺はゆっくりと柄を握り締め、引き抜く。そしてそれを空に掲げ、太陽に反射させる。その名に相応しい濡羽色の刃をきらりと光らせた。喋りこそしないが、やはりこの刀には意思がある。
だが決して自分の意思だけで動く気はないらしい。あくまでも主である俺に寄り添ってくれる。きっとその前はエドモンドに寄り添っていた刀。
刀身が太陽の光を浴びて輝きを放つ。その様は妖艶で美しくもあり、どこか神秘的な雰囲気を醸し出していた。俺はふっと微笑み、それからルフィの方を見る。
「綺麗だろう?」
ルフィはその問いかけに大きく首を縦に振った。それから俺はルフィと遊びつつ、身体を鍛えていた。
しばらく経つと、ルフィの身体が少しばかり汗ばんでいることに気づく。俺はルフィを手招きして呼び寄せた。
「ちゃんと汗拭かないと風邪引くぞ」
俺はタオルを取り出してルフィの首筋や腕を優しく拭いてやる。ルフィはくすぐったがっていたが、大人しくされるがままになっていた。「自分でやる」とかは言わないんだな。甘えられてるってことでいいんだろうか?
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