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お湯
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おこめ。@さぶ
46
💎。視点
朝、目を覚ましても、声は戻っていなかった。
僕は枕元のメモ帳を開き、試しに口を動かす。
💎「ッッ…、」
やっぱり、空気が漏れるだけだった。
隣の椅子には、いふくんが座っていた。
スマホを見ているふりをして、僕のほうを一度も見ない。
昨日の言葉が、まだ頭に残っていた。
”自業自得やん。”
僕はメモ帳に『おはよう』と書いて、いふくんへ向けた。
いふくんは一度だけ文字を見た。
🤪「……ん。」
返事は、それだけだった。
いつもなら、ほとけ、朝からうるさいと言われる。
今日は何も言われなかった。
少し寂しかったけれど、僕から話しかけることもできなかった。
しばらくして、病室の扉が開く。
🍣「おはよう、いむ。」
ないちゃんが入ってきた。その後ろには、りうちゃん、初兎ちゃん、アニキがいる。
🍣「声、まだ出ない?」
僕は頷く。
🍣「そっか……。」
ないちゃんが、苦しそうに笑う。
りうちゃんはベッドの横に座り、僕の顔をじっと見た。
🐤「いむ、ちゃんと眠れた?」
💎『あまり』
🐤「やっぱり、声のこと考えちゃうよね。」
💎『原因が分からないのが怖い』
初兎ちゃんが、ゆっくり頷いた。
🐇「分からへんままって、不安やもんな。」
🦁「でも、検査は続けてもらえるんやろ?」
アニキが言う。
僕は 頷いた。
いふくんは、ずっと黙っていた。
話に入ろうとはしない。
僕がメモ帳に文字を書く時も、みんなが心配そうに話している時も、スマホの画面だけを見ている。
🍣「まろ。」
ないちゃんが呼びかけた。
いふくんが顔を上げる。
🍣「今日の収録、予定通り進めることになったよ。いむのパートは空けておくけど。」
🤪「ん。」
🍣「まろも来る?」
🤪「行く。」
それだけ答えて、いふくんはまた黙った。
僕はメモ帳に書く。
💎『僕がいなくても活動、大丈夫にみえる。』
ないちゃんが、すぐに首を横に振る。
🍣「その言い方は、やめて。」
💎『でも、収録はできるんでしょ?』
🍣「できる部分を進めるだけ。いむが必要ないわけじゃないよ。」
💎『同じじゃない?』
🍣「全然違うから、!」
ないちゃんの声が、少し強くなった。
🍣「いむが戻ってくる場所を残すために進めるんだよ。」
僕は返事を書けなかった。
いふくんが、一度だけこちらを見た。
でも、目が合う前に視線を逸らされた。
その時、医師が病室へ入ってきた。
👤「皆さん、お話しても大丈夫ですか?」
医師は手元の資料を確認しながら、ゆっくり説明を始める。
👤「喉の出血は止まっています。声帯周辺の腫れも、昨日よりは落ち着いています。」
ないちゃんが尋ねる。
🍣「声は、まだもどりませんか、?」
👤「はい。ただ、声帯が完全に動かなくなっているわけではありません。現時点では、失声の原因を特定できていません。」
…わからないのが一番怖いのに。
👤「喉の傷だけでは説明しきれない部分もあります。疲労や強い緊張など、複数の要因が重なっている可能性もありますが、断定はできません。」
初兎ちゃんが、不安そうに聞いた。
🐇「じゃあ、まだ声が戻るかどうかも……」
👤「いつ戻るかは、今の段階では分かりません。ただし、状態は安定しています。出血も落ち着いているので、声を出さないことを守れるなら、本日退院しても構いません。」
僕はメモ帳に書いた。
💎『声が出なくても、退院できるんですか?』
👤「はい。ただし、いくつか約束があります。」
医師は指を立てながら説明した。
👤「発声は禁止です。歌うことも、無理に声を出すこともやめてください。喉に違和感が強くなったり、また血が出たりした場合は、すぐに病院へ戻ってきてください。」
僕はゆっくり頷いた。
👤「声が戻る可能性を残すためにも、しっかり休んでください。」
声を出さないことが治療。
その言葉を、僕は何度も頭の中で繰り返した。
診察が終わると、みんなが退院の準備を始めた。
りうちゃんが荷物をまとめ、初兎ちゃんが忘れ物がないか確認する。ないちゃんは薬や次の診察日を整理し、アニキは僕が無理に動かないように見ていた。
いふくんは、窓際に立ったままだった。
🍣「まろ、そこにいるならこれ持って。」
ないちゃんが袋を渡す。
🤪「ん。」
いふくんは短く返事をして、荷物を受け取った。
それ以上は、何も言わなかった。
僕はメモ帳に『ありがとう』と書いた。
みんなに見せる。
🐇「支え合うんが仲間やん?」
初兎ちゃんが笑う。
🦁「帰ったら、ちゃんと寝るんやで。」
アニキが言った。
病院を出る直前、スマホが震えた。
また、メッセージが届いている。
『退院できてよかったですね』
僕の指が止まった。
なんでこのことを?
続けて、もう一通。
『でも、声が出ないなら、帰っても何も変わりませんよ』
怖くなって電源を消そうとしたとき、さらに文章が届いた。
『みんな、あなたがいない状態に慣れていくでしょうね』
僕は慌ててスマホを伏せた。
🍣「いむ?」
ないちゃんに呼ばれて、僕は顔を上げる。
何でもないと伝えたくて、笑おうとした。
けれど、うまく笑えなかった。
いふくんが、少し離れた場所に立っている。
僕とは目を合わせない。
病室で最後に言葉を交わしたのも、いふくんではなかった。
今も、何も言わない。
僕はその沈黙を、嫌われた証拠のように感じてしまった。
声が出ないまま、僕は病院を出た。
外の空気は冷たかった。
帰る場所はある。
待ってくれる人もいる。
それなのに、僕の中にはずっと、知らない誰かの言葉が残っていた。
やみやみもりもりしていこうぜ👊😎
コメント
3件
初コメ失礼します! この作品すきすぎます❤ これからも無理せず頑張ってください!