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番外編102『注射が嫌な主様の話』
こんにちは、凄腕名探偵姫神麻里衣の妹
百合菜です。頭が良くて、美人で、運動も出来て数々の難事件を解決してきたお姉ちゃんですが、実は意外な弱点があります。
それは――。
『嫌ー!!』
屋敷に悲鳴が響き渡る。
『うおっ!なんだ?』
『主様またやってるんすね。』
『予防接種の時期だからね…この時期こっちの世界で流行り始めるウイルスから守るための注射なんだけど……』
『主様が注射苦手だったなんて…。』
2階の執事部屋で4人が談笑する。
一方その頃、3階執事部屋
『主様、すぐ終わりますから。』
『嫌ったら嫌!』
私はルカスの手を振りほどき3階執事部屋から逃げ出す。
『あらら……。』
『逃げちゃいましたね。どうするんですか?ルカス様。』
『本当なら優しくしてあげたいけど、ウイルスにかかったら大変だし……追いかけよっか。』
『ルカスのバカ!意地悪!』
(とにかくルカスから逃げないと…。)
『あ、お姉ちゃん、いい加減注射受けなよ。私もう終わったよ?』
『嫌なものは嫌。百合菜、ちょっと失礼。』
『え?わぁー!』
数分後。
『さて、どこに行ったかな…。』
『……。』
『おや、主様。そんな隅っこで何を?』
『な、なんでも、ない…』
『そうですか。麻里衣様見ませんでした? 』
『お姉ちゃんなら庭に行ったよ。』
『ありがとうございます。ところで、麻里衣様。こんな所で何してるんですか?』
『っ!!な、なんで……』
『全く、何年一緒にいると思ってるんですか。貴方達双子を見分けるなんて簡単です。』
『っ…。』
『主様、逃がしませんよ。』
『ら、ラムリ…』
『申し訳ございません、主様。これも主様のため……。』
ジリジリと3人が迫ってくる。
『っ…。私は諦めないっ。』
私は3人の間を抜けて外に出る。
『私に注射してもらいたいならつかまえてごらんなさい!』
ε≡≡\( ˙꒳˙)/シュタタタタ
『足速いな〜主様、捕まえるの困難かも…。』
『すぐバレるって言ったのに…』
カーテンの中から顔を出したのは百合菜様。
『入れ替わりなんてよく考えましたね。まぁお見通しでしたけど。』
『主様、もういい加減注射受けたら?』
『嫌。』
『はぁ、注射が嫌なんてお前いくつだ?』
『注射の針って怖いし、痛いもの。』
『やれやれ…こんなとこに隠れてもすぐ見つかるよ、ご主人サマ。』
クロウザーの羽織りの中に隠れる。
『いいから匿ってて。まさか別邸2階にいるのは思わないでしょ。』
一方その頃、別邸1階にて。
『……。』
『ハナマルくん。主様どこに行ったか知ってる?』
『主様か?主様ならここにはいないぞ。』
『えぇ。庭にいるのでは?』
ガチャっ。
『ふぅ、サッパリしました〜。あれ、ユーハンさん、ハナマルさん、どうしたんですか?ルカスさんまで……』
『『テディちゃん\さん…』』
『テディ君。庭に主様いた?』
『え?いないですよ。庭には俺とバスティンくんだけですから。』
『ということは……別邸2階にいるのか。ありがとう。』
『遅かったか……。』
『主様、申し訳ございません。力及ばず……。』
ガチャっ。
『ルカスさん、こんにちは。』
『こんにちは、ベレン君。主様、いるよね?』
『……。』
『分かりやすいね。そっぽを向くなんて。』
『シロシロ、主様は?』
『お前に教える義理はない。』
(早くあっち行って、ルカス。)
『……。』
バサッ。
『え!?』
クロウザーに羽織を奪われる。
『あ、見つけました♪』
『いやいや、ごめんねご主人サマ。俺はこれから部下とちょっとお仕事なんだ。』
クロウザーは帽子を被りベットから立ち上がる。
ガシッ!
『さて、もう逃がしませんよ。』
ルカスは私を俵担ぎにする。
『俵担ぎなんて酷いじゃないの〜!クロウザーのバカー!裏切り者ー!』
バタンッ。
『シロ、結局は優しいんだから。』
『ふん…。』
『クロクロ、お仕事ってホントなの?』
『もちろん嘘♪』
『クロウザーも酷いなぁ…。』
3階執事部屋
『やるなら一思いにやりなさい。』
(悟った顔してるなぁ…。)
『主様、すぐ終わりますから、そんなに睨まないでください。』
『(¬_¬ )』
『やれやれ…お姉ちゃん。』
同席した百合菜が私の頭を撫でる。
『百合菜…。』
『怖いことがあった時お姉ちゃんはいつもこうして安心させてくれたよね。』
『……。』
『注射が終わるまでこうしててあげるからさ。ね、だから頑張ろ?』
『…百合菜がそう言うなら…。』
(主様ちょろい…。)
プスッ。
『(・н・ )きゅっ。』
(かわい…。)
こうして、主様と執事の怒涛の1日は無事に終わった…と、思われていた。
次の日。
『ご主人サマ逃げないでよ。』
『もう注射は昨日したー!どこから持ってきたの!』
『あれ何してるの?』
『味をしめたクロウザーが注射器を持って追いかけ回してるみたいです。』
『お姉ちゃん注射器見るのも嫌になっちゃったんだ…。』
『昨日匿ってあげたからお代だよ。お代。』
『最終的に突き出したくせにー!』
『誰か止めてあげなよ。』
『いや〜しばらくそのままでいいんじゃないか?可愛いし。』
『ハナマルさん。主様が泣きそうですからもうやめましょう。』
おまけ
『……。』
主様はクロウザーをしばらく避けました。
『やれやれ、少しやりすぎたかな。』
めでたしめでたし…
コメント
1件
ああ〜この主様、注射嫌いなの可愛すぎる😭💕 ルカスに俵担ぎされて「酷い!」って叫んでるのに、百合菜に撫でられて一瞬でおとなしくなるギャップがエモすぎて鼻血出そうになったよ!!「(・н・ )きゅっ。」の顔文字も尊い…。 最後、クロウザーが味をしめて追いかけるオチも含めて、ほっこりした気持ちになれる番外編だった!ぷちさん、癒しをありがとうございます🌸✨