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そこの方。その……茶色の液体が入った瓶を置きなさい。それが武器であろうとなかろうと、お嬢様の館を汚すことは許しません」
冷たい声と共に、咲夜は指の間に挟んでいたナイフを、何の躊躇もなく俺たちに向かって投げつけてきた。
「危ない! 魔理沙!」 霊夢が叫び、魔理沙が箒を盾にしようと身構える。 だが、咲夜のナイフはまるで意思を持っているかのように、霊夢と魔理沙を避け、狙い澄ましたかのように俺の顔めがけて飛んできた。
「ひぃっ!?」
肺が腐るかもしれない恐怖と、ナイフの殺意。その二つの死のプレッシャーが、俺の体に異常な反射神経をもたらした。
ヒュンッ!
俺はとっさに、まるで鍋のフタを避けるかのように顔を横に逸らした。 ナイフは俺の頬を掠め、チクリ、と一筋の熱い痛みが走る。
「……っ!? 馬鹿! なんで避けるのよアンタ!」 霊夢が驚いたように叫んだ。 魔理沙も「マジかよ、ただの人間が咲夜さんのナイフを避けるなんて……」と呆然としている。
俺の頬から、生暖かい血がツーッと一筋流れた。 だが、それよりも驚いたのは、咲夜の方だった。
「……ほう。ただの人間にしては、悪くない反射神経ですね」
咲夜は少しだけ目を見開き、そして再び、その指の間に無数のナイフを挟み直した。 今度は、先ほどよりも明らかに多い。
「ですが、次は避けられませんよ」
時が止まったかのような錯覚に陥る。 銀色のナイフが、まるで流星群のように、俺の全身めがけて一斉に放たれるのが見えた。
「(ダメだ、これは避けられない……!)」
もはや体を動かす余裕はない。 俺は思わず、持っていた『究極の白だし』の瓶を、盾のように目の前に突き出していた。
「ぎゃあああああああああああ!」
次の瞬間、館の中にキン、キン、キン、と金属がぶつかり合うような甲高い音が響き渡った。