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《俺に絡むなよ》
「せーんぱい、せーんぱい。いっくんせんぱ〜い」
「反応無…っ」
「いっくん…」
「は!?だから俺は014だ…って言ってんだろ…。」
「びっくりした〜(笑)」
何故か893は俺に絡んでくる。
男子の吹奏楽部員が少ないからと言って俺にばっかり話しかけることないだろ。
あんなにフットワーク軽いんだから。
それにしても、いっくんと言われたときに感じた違和感は何だろう。
ゾワッとしたような。何でもいいか。
「も〜…ほんと反応ないんだから…」
「今…グリス…塗ってんの…!」
そういうと893は後ろから抱きついてくる。
本当に俺のどこがいいというのだろうか。
昔から影が薄いとか、それといった特徴がないと言われてきた。
こんだけ絡まれたこともない俺にとってこの対応は困る。
どう対応したらいいんだよ。
《放課後練習》
明日は本来部活がないのだが、練習したい人はしていいという日らしい。
練習する人は…、893。
他にもチラホラいる。まだ893と二人っきりじゃないだけマシだろう。
また絡んでくるに違いない。
「はぁ…明日、か。」
《何で》
「うぇ〜〜〜………」
やっと部活から帰ってきた。
疲れ果てている俺は速攻でベッドにダイブする。
「………あ、」
好きなゲーム実況者の動画を見ていると、
下にBLの広告が流れてきてしまった。
…………
今、母は風呂に入っている。結構長風呂だからしばらく大丈夫だろう。
父は好きなスポーツの番組を見ている。
じゃあ、いい、か。
やっぱ駄目に決まってるだろ。
はぁ、893に犯してもらえたらなぁ。
………なんで、今、何で?
そんな、そんなこと無い、筈。
《魅力》
「先輩も放課後練習するんですね〜。」
「どういう意味だよ、」
「だって家が大好きそうだからですよ(笑)」
否定できないのが悔しい。
「何処行きます〜?部長も副部長もいないですし。」
「待て、何で俺が893と一緒に練習する前提?」
「え?練習してくれるんじゃないの?」
「別に…まぁ…。」
「そんなわけ無いだろ」と言いかけたが飲み込んだ。
893はほんの少しだけ、口角を上げた。
俺は元々押しに弱い。
最近はちゃんと断ったりするように、気をつけていた。
なのに、893に見つめられると「だめ」とは言えなくなる。
何で言えなくなるんだ。
ただの後輩じゃないか。
「ん〜、じゃあ俺の教室行きます?近いし。」
「…いいんじゃない?」
結局は一緒に練習することになってしまった。
ただ、嫌な気はしなかった。