テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
その夜、少年は師と語り合った。
かつての日々に戻ったように、会えなかった時を埋めるかのように。
少年は、ただ、無邪気な”リア”に戻っていた。
風が吹き、木々がざわめいた。木漏れ日が差し込み、その緑の瞳は一瞬、光を宿す翡翠のように輝いた。
その光は怒りでも慈悲でもなく、静かにすべてを受け止める深い覚悟の色だった。
師匠のラフィエルは、ただ少年の胸の声を受け止めるように静かに頷いた。
別れ際、少年はラフィエルの前に立ち、胸の奥の違和感をゆっくり口にした。
「私は、悪魔を…ただ倒すだけが正義だとは思えません。」
師匠は言葉少なに、それでも深く理解するように頷いた。
二人は幼い頃から刷り込まれた信念、そして自分の胸の声を、言葉少なに語り合った。
少年はそのすべてを吐き出し、少しだけ吹っ切れた気持ちで師匠を見つめる。
「…もう、戻らないと。」
ラフィエルの目が一瞬だけ寂しげに細まり、呼び止めようと手を伸ばしたが、少年は微笑むしかなかった。
名残惜しさが胸を締め付ける。
もっと話していたい、もっと教えを受けていたい、そう思うほど、離れる現実は残酷だった。
「行きます…でも、ありがとう、師匠。」
その声にわずかな震えを含ませながら、少年はゆっくりと歩き出した。
振り返れば、ラフィエルはただ静かに立っていた。
二人の間に流れた時間と、言葉にならなかった思いだけが、心に深く残った。
そして、少年は神殿へと戻って行った。
月の明かりが、励ますように少年とラフィエルを優しく照らしていた。
夜の静寂は、その歩みに寄り添い、励ますように、森全体を柔らかく包み込んでいた。