⚠️こちらは第2話。第1話はがるぼさんのアカウントへ。
side kym.
窓の外の桜は、まるで砂時計みたいだ。
満開を迎えて散っていくまで、彼の命の長さを計っている。
いや、すでに決められているのを数えている?
『なに難しい顔してんの、大我』
部屋の中に視線を戻せば、相変わらず点滴や何やらに繋がれたままで、北斗が微笑んでいた。
「…北斗」
『笑顔だよって言ったのはそっちだろ?』
「そうだけど」
俺が見たいのは、北斗の笑顔なんだよ。
だから笑っててほしいだけなんだ。
君の涙の分は、全部俺が流すから。
『大我が恋人じゃないほかのひとはさ、どうしてんだろね』
「どういうこと?」
『だって、こんな完璧な恋人いないじゃん? 優しくて誠実で、こんなにも愛してくれて…あー、恥ずかしいからここまでにしとく』
って頬を赤らめながら言う彼は、愛しさの権化なのかもしれない。
『だから、俺の恋人になってくれてありがとな』
それ、この間も言われたのに。
「うん。俺も大好きだよ」
『知ってるよ』
ふわっ、と。
桜の花びらが舞うみたいに、笑った。
その笑顔をどこにも逃がしたくなくて、俺だけのものにしたくて、
彼をそっと抱きしめた。
『どーしたよ大我、寂しいの?』
「寂しいに決まってるだろ…」
『そうだよね、俺も寂しい』
その身体は、初めて抱きしめたときよりもずいぶんと細い。
寂しいけれど、この先に続く道は、
北斗を愛し続ける道しかない。
「ねぇ北斗」
『うん?』
「外の桜、一緒に見に行きたいね」
『そうだね、先生に相談してみよっか。行けたらいいけど』
桜が散るまでに、この胸の内のすべてを伝えられるだろうか。
コメント
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え、最高すぎるバトン頂きました🙏🏻 続き遅れるかもだけど頑張る💪🏻✨