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私は衍信 離緒あまのりお

突然ですが、私……転校するらしいです!

理由はお母さんの働いている仕事場所が移り変わるから…でも本当は転校したくないなぁ…仲良い友達もあるから不安だなぁ…。

「離緒〜!車乗っちゃいなさい!」

「はーい」

明るく返事をして、荷物の詰められたキャリーバッグをコロコロと転がして歩いていく。

お母さんにキャリーバッグを渡して、車に乗り込むと窓の外から見える最後の景色を目にしっかり焼き付けた。

電柱によく止まっている鳩のポポ太や、野良猫のボス、クロドラが寝ていた日当たりのいい家の庭…。

流れそうになる涙をハンカチで拭き取っていると、お母さんが車に乗り込んできた。

「お母さんのせいでごめんね、でも都会に住むことになるから、きっと素敵な友達ができるよ!」

「そうかなぁ…でも、ちょっと楽しみかも」

私は自分のバッグからスマホを取り出して、友達と撮った写真を眺めながら目的地に向かって行った。

…なんか、さっき泣いたから眠いかも。

少しだけ、少しだけ寝よう…





「離緒!起きて!」

「クマとサンバ踊んないでよ〜…むにゃ…うーん…?」

「着いたわよ!早く車から降りて、部屋に向かうわよ!」

ハキハキと元気そうに話すお母さんと裏腹に、睡眠を邪魔されて私はイライラしていた。

お母さんに促されて車を降りると、全く見たことのない場所だった。

動画を見れる有名なアプリでしか見たことないような高いビル、右から左へ、左から右へと走っていく高級車たち…。

「ここ、どこ〜〜!!??」(160dB)

ドオォォォン___(衝撃波)


「あんたうるさいわよ!!!」

あっ…。実は私、声がデカいんです…っ。

小学生の時は『サイレンガール』って呼ばれる程の声量で、一度知り合いの鼓膜を破いてしまった事もある…あっ、自慢じゃないよ!?

「ごめんってお母さん!でもここ、本当にどこ…?」

「そういえば言ってなかったかしら?」

「言ってないよ!もー!!!」

「ここはね、金導街こんどうがいって言う街なのよ!今日からここに住むからね」

「え…?」

お母さんが指を指した先には、目を疑う程高くて、塗装も綺麗なマンション。

「ほら離緒!朝っぱらから着いたところ悪いけど、今日学校だから!」


…はぁ!!??


いやいやいや!!!引っ越し初日に学校!?


「嘘でしょ!?荷物とかどうするの!?」


聞いてないよ!お母さんしっかりしてよもうっ!


「言ってなかった?荷物は準備してあるわよ!

ほら靴もあるから行っておいで!」


お母さんがぐいぐい背中を押して、荷物と学校の靴を履くように促される。

…あれっ?制服は…?

前通っていた学校は制服があったけど…

「お母さん?制服は?」

「あぁ、これから行く学校は私服よ!」

どうしよう、聞いてない情報が多すぎて頭がパンクしそうだよ…!

えっと、とりあえず靴履かないとだよねっ

「とりあえず行ってくるね…?」

「えぇ!いってらっしゃい!」





【学校到着⭐︎】

学校についたけど…大きすぎない?

豪邸みたいな門をくぐった先はまるでお城みたいな学校。こんなところで、上手くやっていけるのかなぁ???

「とりあえず下駄箱……ひゃっ!」

目の前にはドレスを着ている、金髪の女の子が居た。ここの学校、もしかしてお嬢様とかの通う場所だったりする…?

「…あ、キミ大丈夫?転校生?」

「えっ!?あっ、はい…」

急に話しかけられて肩がびくっとはねる。

金髪の女の子が急に話しかけてきてびっくりした…!

「教室とか、わかる?教えようか?」

「教えてくれるの?ありがとう!」

ふんわりとした口調で話しかけてくる女の子は本当にお姫様みたいだった。

おっとりしたたれ目に、長くて綺麗なまつ毛。

まるでアニメに出てくるみたいな子…。

「こっちだよ、ここで靴を脱いだら勝手に入れてもらえるから…」

「えっ!?すごい…!!!」

こんなお嬢様学校みたいな場所に居ていいの!?

なんか綺麗な香りもするし…。

頭上にはシャンデリアがあって、聞いてみると全部本物のダイヤモンドで作られているらしい…。


そんなこんなで金髪の女の子と歩いていると、目の前から身長の高い人がやって来た。

「わっ、ぶつかる!」

トンッ…と顔が目の前の人にぶつかってしまう。

急いで離れると、彼は凄く怖い目で私を見ていた。

「ごっ、ごめんなさい!私が前を見ていなかったせいで…!」

バッと勢いよく頭を下げて謝罪する。

すると、男の人の方からクスッと笑い声が聞こえる。

「えっと…」

言葉に詰まっていると、彼の方から口を開いた。

「顔上げろよ、別に怒ってねぇよ…フフッ笑」

あからさまに笑っていて、ちょーっとイライラする。

「アンタ名前は?おもしれぇ奴の名前は知っておきたいからな。」

「あ…衍信離緒です!」

「俺は戸立花 牢とりつかろう

戸立花 牢…。なんかカッコいい名前だなぁ

「それで離緒って奴、あんた転校生?」

「あっ…はい…」

「だからそんなお嬢様と歩いてるのか…転校生ってずりぃな」

彼はちらっと金髪の子を見て小さく笑った。

この子の事が好きなのかな…?

「…牢、うるさい」

ぷくぅっと頬を膨らませるその様子は、まるで小さな子供みたいだった。

「そんで離緒、コイツの名前って聞いた?」

「えっ?聞いてないけど…戸立花さんは知ってるの?」

戸立花さんからの唐突な質問でびっくりしたけど、すぐに言葉を返す。

「コイツ、華表 莉里はなおもてりり。」

「華表…莉里ちゃん…?」

「うん。呼び方は何でもいいよ。」

華表ってどこかで聞いたような…まぁいっか!

そんな風に話しているとスピーカーから

キーンコーンカーンコーン!!!!

とチャイムが鳴る。

莉里ちゃんはゆっくり歩いてるけど…急がないと!

「戸立花さん!なんか…ありがとうございました!」

莉里ちゃんの名前を教えてもらったし、感謝くらいしないとね。

走っている時ふと後ろを見ると、目を見開いて固まっている戸立花さんがいて、少し笑ってしまった。


「みんな席につけ〜、今日は転校生が来たからな、歓迎してやれよ~」

何とかしてクラスを見つけた私は、ドアの前で待機していた。

教室内はザワザワしていて、凄く緊張する…。

「じゃあ、入ってこい」

先生に声を掛けられて、教室の扉を開ける。

教室内には見たことない人が殆どで、中には筆箱だけ置いていて本人は居ない席もあった。

緊張していつもの癖でキュッと手を握ってしまう。

「じゃあ簡単な自己紹介を」

「はっ、はい! えっと、衍信離緒って言います。好きな事は工作で____」

淡々と自己紹介をして、最後にペコリと頭を下げて「よろしくお願いします」と言った。

周りからは『転校生可愛い!』『工作って何するのかなぁ!気になる!』と声が上がっていた。

先生は、ハァと小さくため息をつくと、私の方を向いて席を教えてくれた。

私は鞄を持って席に向かい、ストンっと座った。

最初はどうなるかと思ったけど、普通そうで良かった!!!

でもこの時の私はまだ知らない…このクラスに居ないたった1人の生徒がヤバいやつだと言うことを…!!!

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