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なん……だと。どうしてあの人がここに……。も、もしかして、バレたのか?

いや、そんなはずはない……。けど、もしそうだとしたらどうする?

俺の部屋に幼女が三人もいることが既にバレているとしたら、俺はここから追い出されるかもしれない。

待て待て待て。とりあえず一旦、落ち着こう。

えーっと、たしか俺は四人目の子が来たと思ったから、一瞬だけ扉を開けた。

しかし、そこには、このアパートの管理人さんが立っていた……。

あー、ダメだ。やっぱり、管理人さんがここに来た理由なんて、分かるわけがない。

というか、管理人さんのことをよく知らない俺が管理人さんの心理なんて分かるわけないだろ……。

え、えーっと、とりあえず、謝罪か?

いや、でも。


「この、ロリコン!」


とか言われながら、宇宙まで吹っ飛ばされるかもしれないからな……。

ここの住人、よく生きてこられたな……。ん? というか、ここって俺以外に誰が住んでるんだ?

や、やばい……なんか怖くなってきた……。

俺がもたもたしていると。


「ナオトー」


「…………」


「ねえ、ナオトー」


「………………」


「ナオトってば!!」


「うおっ! な、なんだミノリか。おどかすなよ」


「はぁ? 何度も呼んでるのに全然反応しない、あんたがいけないんでしょ?」


ミノリに怒られた。どうやら考えることに集中しすぎていたようだ。


「わ、悪かったよ。けど、許してくれ。俺もわざとやったわけじゃないんだ」


「……ま、まあ、あたしも鬼じゃないから、今回は許してあげるわ」


「ありがとう、ミノリ」


「……それで?」


「ん?」


「ん? じゃないわよ! さっきからずっと見てたけど、あんた……顔が真っ青よ?」


「そ、そうか?」


「ええ、そうよ。そのせいでマナミとシオリが、どうやったらあんたを元気付けられるか必死に考えすぎて、オーバーヒートしちゃったんだから」


それを聞いて、俺は二人の方を見た。

そこには、目を回しながら仰向けに倒れている二人の姿があった。

俺は二人に迷惑をかけてしまったことを悔むと、覚悟を決めた。


「ミノリ、あとで二人が起きたら『俺に任せておけ』と伝えておいてくれ」


「ふーん。あんたにしては、切り替えが早いわね。何か変な物でも食べたの?」


「こんな時でも、容赦ないな……。まあ、そういうことだから、ちょっと行ってくる」


「……ナオト」


「ん? なんだ?」


「ううん、あとでいいわ」


「……そうか」


「……うん」


「じゃあ、行ってくる」


「うん、いってらっしゃい」


その後、俺は……ゆっくりと扉を開けた。

____俺はゆっくりと扉を開けて、外に出ると扉をゆっくりと閉めた。

そして、しばらくの間、管理人さんの様子を伺っていた。

それにしても……きれいだな。ついついそう思ってしまうほど、ここの管理人である『橋本 かな子』さんは美人だ。

いつもニコニコしてるし、なんかいいにおいするし、黒髪ポニーテールだし……って、それは関係ないか。

おそらく、年齢は二十代前半だと思う。

根拠は、お母さんというより近所の優しいお姉さんという感じがするからだ。

おっと、俺としたことが、ついマジマジと見てしまっていたな。さて、そろそろ用件を訊くとしようか。


「あ、あのー、管理人さん。俺に何か用ですか?」


「…………」


「えっと、もしかして、先月の家賃をちゃんと支払ってなかったから、それを取り立てに来た……とかですか?」


「…………」


「あのー? 管理人さん、聞いてますかー?」


「……中に」


「え?」


「ナオトさんの部屋の中に入れてもらっていいですか?」


どうやら俺はここでゲームオーバーのようだ。これから、刑務所で毎日働かせられるんだろうな……。

あー、ヤバい吐き気がしてきた。

俺がこれから自分の身に起こる恐れがあることを想像していると。


「ナオトさん」


急に名前を呼ばれた。俺は、ハッと我に返ると返事をした。


「は、はい! なんでしょうか!」


「今すぐ、部屋の中に入れてください」


「ど、どうしてですか?」


「どうしてって、中にいるんですよね? 三人ほど」


「ま、まあ、それはそうなんですけど……」


どうして正確な数が分かるんだよ!


「何か問題でも?」


「い、いえ、その……い、今はちょっと……」


「今すぐ、部屋の中に入ってもいいですよね?」


まずい、これは非常にまずい状況だ。

俺がここで、かな子さんを食い止められるのも、時間の問題だ。

どうする? 俺がそういうやつだということを認めるか?

いや、でもそれだと、あいつらと一緒に世界を救えなくなるから、ダメだよな。

けど、もしそうしなかったら……。

あー! もうー! 俺はいったい、どうすればいいんだよ! 俺が完全に混乱していると。


「……ナオトさん」


また名前を呼ばれた。もう、この人とも会えないかもしれないと思った俺は、大きな声で返事をした。


「はい! 何でしょうか!!」


「気持ちのいい返事ですね。さて、それでは、種明かしをしましょう」


「えっと、それはどういうことですか?」


「あのですね、私はここの管理人さんじゃないんですよ」


「え? そ、それは、いったいどういう意味ですか?」


「ふふふ……そのままの意味ですよ」


「お、俺が幼女三人と同棲していることを知って、『これは、まずいですねえー。お仕置きですー』とか言いながら、成敗しにきたんじゃないんですか?」


「はい、全然、違います。それに、これからは四人になりますよ?」


「え? それって、どういう……」


「まあ、立ち話もなんですから中で話しましょう」


「は、はあ」


俺はかな子さん(?)に言われるがまま、扉を開けた。どういうことだ? まるで状況が分からない。

目の前のこの女性が、かな子さんでないのなら、この人は一体、誰なんだ? そう考えているうちに、答えが出た。

なぜなら、かな子さん(?)が部屋に上がり、全員を集めて、こう言ったからだ。


「はじめまして! 私は変身能力を持った『スライム型モンスターチルドレン』です! どうぞよろしくお願いします!!」


「うん! よろしくね!」


「よ、よろしくお願いします」


「よろしくー」


「……え? えええええええええええええええ!!」


そう叫んだあと、俺は倒れた。だが、倒れる直前に俺の中に、二つの感情が流れ込んできた。それは『後悔』と『驚愕』だった……。



はぁ……またここか。

見果たす限り闇しかない不思議な空間……。しかも、ここにいる間はかなしばり状態になってしまう。まったく、いったい誰がこんな場所を作ったんだろうな……。

まあ、前に、ここに来た時は誰かに話しかけられた直後に戻れたから、今回も大丈夫だろう。

その直後、俺は、この場所を命名しようとした。

しかし……。


「『ダークネスパラダイス』……。いい名前だな」


俺が言う前に突然、声が聞こえた。

ど、どうして俺が考えたこの場所の名前を知ってるんだ?

うーん、まあいいか。だけど、この声は、前に俺を救ってくれた……。


「その通り。私は確かにお前を助けた者だ。しかし、今回ばかりは、そうはいかないよ」


俺の考えていることがバレている……だと。

こいつ、いったい何者なんだ? それに、今回ばかりは、そうもいかないって……どういうことだ? 俺が混乱していると。


「落ち着け。私はお前を直接、助けることはできないが、お前が望むのなら、元の世界に帰してやらんこともないぞ」


その人にそう言われた。俺が望むのなら……か。

まあ、なるべく早く元の世界に帰らないと、あいつらが心配させっぱなしになるわけだからな。

よし、ここは、さっさと戻る方法を教えてもらおう。

俺はその人に元の世界に戻る方法を教えてもらうことにした。


「え、えーっと、その……元の世界に戻る方法を教えてほしいんだけど、あんたのことはなんて呼べばいいんだ?」


「うーん、そうだな……『パラネス』と呼ぶがいい」


「えっと、その名前の由来は?」


「由来? そんなの『ダークネスパラダイス』から、四文字抜き取っただけに決まっているだろう」


「おいおい! それよりもっとマシな名前にしろよ! というか、声から察するに、あんたは女だろ? 俺がアンタにもっといい名前を付けてやるから、今のは、なしだ!」


「……ショボン」


「ショボンって。そんなに落ち込まなくても……」


「寝る間も惜しんで一生懸命考えたのに……」


「う、嘘つけ! 今さっき考えただろ!」


「そんなに怒鳴らないでよ……グスン」


なんだ? このあたかも俺が悪いみたいな雰囲気は……。

というか、なんか子どもっぽくなってないか?

うーん、まあ、いいや。俺は、それについて深く考えるのをやめた。

さて、名前か。うーんと……よし、最近、名前を付ける機会が多かったおかげで、いい名前がすぐに思い浮かんだぞ。あとで、あいつらにお礼を言っておこう。

俺は、そいつが待ちくたびれる前に、自分が考えた名前を言うことにした。


「じゃあ、今からあんたの名前は『サナエ』だ。漢字で書くと『真の影』だ」


「ほう、サナエか。なかなかいい名前ではないか。うむ、気に入ったぞ。では、お礼に、ここから出してやろう」


「ありがとうございます」


ん? 今、こいつ『ここから出してやる』って言ったような……。まあ、いいか。


「では、始めるぞ」


サナエがそう言うと、俺の意識が徐々に遠のいていった。

なあんだ、なんだかんだ言っておきながら、今回も元の世界に戻してくれるのか。

俺の意識が完全に途切れる直前、俺には。


「できれば、ここにはもう来てほしくはないが、会いたくなったら、私の名を呼ぶといいぞ。では、さらばだ」


という声と。


「また会えるといいわね、ナオト」


という声が聞こえた気がした。

こうして俺は元の世界に無事、帰還できたのであった。

____俺が目を覚ますと、うちの天井が目に入った。それと同時にミノリたちが俺の周りで横になっていることに気がついた。

戻ってきたのはいいが、俺が目覚める少し前に起きてほしかったな。まあ、これはこれでいいんだけど……。

さてと、そろそろ起こすか。俺が全員のおなかをくすぐると、全員が。


『あ、あははははは!』


などと言いながら、目を覚ました。


「よう、調子はどうだ?」


俺がそう言うと、全員が眠そうに目をこすりながら。


「あ、うん、おはよう、ナオト」


「お、おはようございます。ナオトさん」


「あ、ナオ兄、おかえりなさい……」


「あ、お邪魔してまーす」


覇気のない口調でそう言った。

まったく……俺は大変な思いをしたというのに、こいつらは、のんびり昼寝なんかしてたのか。

寝る子は育つというが、肝心なところが育たないのはどうしてだろうな……。俺がそんなことを考えながら外を見ると、もう夕方だった。

俺が倒れたのが朝だったはずだから……七時間くらい向こうに行ってたってことか。

あそこに行くと、どうも一日が終わってしまうな。これから、サナエのところに行く時は気をつけよう。

えーっと、今日は……もう無理そうだな。

俺はみんなのやる気がないのを感じたため、みんなを寝かせてやることにした。

こいつらは、俺が向こうに行っている間、ずっと俺のそばにいてくれた。

それに、俺が向こうの世界から戻ってこられたのは、きっとこいつらのことを考えていたからだ。


「よし、今日はこれで解散しよう。みんな、おやすみ」


『おやすみなさーい』


そう言うと、みんなはまた眠ってしまった。

俺は、娘がいたらこんな感じなのかと思ったが、まあ、家族みたいなものだからこれくらいは当然だよな? とも思った。

まあ、とりあえず、今日は休もう。

そんな感じで俺はいろいろ済ませた後、みんなと一緒に眠りについた。

じゃあ、おやすみー。こうして、長い……俺にとっては短い一日が終わったのであった……。

ダンボール箱の中に入っていた〇〇とその同類たちと共に異世界を旅することになった件 〜ダン件〜

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