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そのまま切ろうとした刹那、
「待ってくれ!」
いつにない切羽詰まった声が飛んで、私は通話を終了させようとしていた手を止めた。
「君がいい。他に相手がいないんだ」
続けられた一言に、心が衝き動かされる。
だけど、今までのこともあって、すぐには決断をし切れないでいると、「お願いだ、受け入れてくれないだろうか」と、再び頼み込まれた。
「……わかりました、行きます」
そこまで乞われては、さすがに拒めずに同意をすると、
「ありがとう、それではパーティーが始まる夕方前には、迎えに行くから」
彼はそうホッとしたようにも告げて、電話を切った。
「急に何だろうと思ったら、パーティーのお誘いだなんて……。あの人なら私じゃなくても、お相手なんていくらでも引く手あまたに思えるけれど」
通話を終了して暗くなった画面を見つめ、独り呟く。彼のクールなルックスがディスプレイに浮かび上がると、とてもモテないわけはないようにも思えた──。