胸腺学校時代
下手くそ
今日も訓練が終わった。
いつも通り部屋に戻り、先に戻っていたルームメイトをいじめる。
「早く脱落届け出しなよ」
『な…なんだとぉ?』
「どうせ、キミの力じゃすぐ脱落しちゃうんだから。今のうちにしといたほうがい~よ?」
『…ッ』
こうやって。
だいぶいじめた後は
ピンッッ!!
『キャンッ!!』
デコピンをする。
痛くてドタバタする此奴は、正直いうととても可愛い。
『ぐ…ッ…く…つ…ッ…くう、ぅ…ポロポロ』
「今の全然強くなかったけど?こんなので泣くの?」
すごく赤ちゃんだよね。
翌日
2段ベッドから足をおろし、上の段にいるルームメイトを起こそうとめんどくさいが階段を上った。
「ん?」
だが、ルームメイトの姿は無い。
「外で寝落ちしたのか…」
彼奴は夜中に起きて外でよく自主練をしている。寝落ちすることも多々ある。
今日は訓練がない。だから胸腺上皮細胞さんは部屋で仕事をしていてあまり外へ出ない。
「は~ッ、めんどくさいな」
仕方なく外へ足を運んだ。
「あれ?」
いつも練習している場所に彼が居ない。
別のところに居るのかと思い、グラウンドの隅から隅まで探した。
だが見つからない。
…脱走か?いや、彼奴は諦めが悪い人間だから脱走なんかありえない。
「一体どこへ…? 」
外に居ないのかと思い、校内を探した。でもやっぱり見つからない。
後探していないのは…。倉庫の中か。
「…世話の焼く奴だなほんと」
ボクは小走りで倉庫に向かった。
倉庫の扉を開ける。
「うわっ…ッすごい匂いするッ…。」
扉を開けると埃の匂いと嗅いだことの無いよく分からない異臭が混ざり、鼻がとてもツンとする。
そして微かに彼奴の匂いがする。ボクの鼻、壊れかけてるかも。
異臭がする中、ボクは彼奴を探した。
探っているとボクの目の前に、見た事のある黄色の髪の毛が見えた。
「は、?」
情けない声がボクの喉から出てきた。
ボクの目の前にいる彼奴は、服を着ていなく、顔には目から出てきたであろう水が付いていて、口からは透明な液体が出ていた。
よく見ると周りは白く濁った液体が少しだけあった。
「キミ!!」
彼の黄色の目は半開きで光がない。
ボクは急いで彼に服を着せた。
「反応が無い…」
医務室へ早く行かなければ。
猛ダッシュで倉庫を駆け抜けた。
医務室で事情を話し、ボクは部屋に戻るため廊下を歩いた。
「な~ッ?あのヘタレ、意外と良かったよなw」
ボクはその言葉が耳に入った途端、とてつもない怒りが湧いてきた。
気がつくとボクは、人間をぶん殴っていた。
「ッ!?てめぇ!?」
ハッとなり、急いでその場から離れた。
後ろからはボクを罵る声が聞こえてくる。でもそんなのに構っていたら、エネルギーが消えてしまうから放っておくことにした。
ボクつおい☆
「…」
彼奴のことが心配で、飯は喉を通さない。
…?なんでボク、彼奴の事しか考えられなくなっているのだろう…。
「あの子、起きたらしいですよ」
ブロンドの髪の彼女にそう聞かされた。
「ほんとか!?」
ボクは書いていた日誌を放り投げ、彼のいる場所へと足を急がせた。
はぁはぁと呼吸が荒くなるのが分かる。
勢いよく医務室の扉を開ける。
「彼は!!」
『…お前か…』
とても掠れた声で話す彼。
気がつくとボクは彼を抱きしめていた。彼はもう、身体を動かす元気はほぼ彼には無いようだ。
彼から離れると彼は手をグーパーさせ、まるでまだくっついていてくれと言っているようだ。
頭を軽く撫でると、手は引っ込んだ。
ふと彼の首元を見てみると、打撲をしたような跡があった。
彼はポカーンとしており、昨日のことは覚えていないようだった。
『そんなに、おれの身体みて、どうしたんだ?』
そう発する彼が、何故かとても可哀想に思えた。
…多分、あの連中に無理矢理挿れられたのだろう。中に出されていると思うから早く消毒をしてやりたい。…ってあ!?なんでボクこんなこと考えてんの!?
『何考えてんの、?』
「あ、えと、キミのことを早く消毒してやりたいな~って 」
「あ」
『え…と…、しょ、消毒…だと、? 』
クチガスベッタア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!
ボクとしたことが…ッ…。
「あ~あ!キミは昨日のこと覚えてないのか!? 」
『昨日のこと、?ん~…と…。』
顎に手を置いて考えている彼は…、とても可愛い。
『わかんない…、昨日のこと、何も覚えてない…。』
…記憶消されてるな。
仕方なくボクは、一から説明をした。すると彼はとてもショックだったのか目に水が溜まっていた。
ボクは彼の頭を撫で、励ました。
「あの」
低くも高くもない声が聞こえる。ブロンドの髪の彼女だ。
「大丈夫ですか?廊下に人集りできてますよ」
え!?なんでーッ!?!?
「なんでだよ!?」
「貴方が細胞さんを殴ったからではありませんか?」
oh……。
『…殴ったの?』
「あれは反射的に!!」
そう発した途端、胸腺上皮細胞さんが入って、ボクは事情聴取()を受けた。
ボクの隣にいる彼はあたふたしていた。
胸腺上皮細胞さんはボクから色々聞いてから部屋を出ていった。
数分後、とてつもなく大きい怒号が聞こえてきた。隣にいる彼は肩がビクンッとなりとてもビビっていた。
ツカレマシタ
コメント
2件
ヘルパー(未熟胸腺細胞)はいつも冷たいけどちゃんと相手のことを愛してる感じが最高です!!!