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「炎麗!飛雷は?」
「先に天樂様の所へ行った」…
「大丈夫だ飛雷なら…必ってくる」
でも、戻ってこなかったら?
そんなことを考えてしまう自分がいる。
実際は戻って来るかどうかもすらわからない俺は未来が見えるわけでもない。
でもなんとなく分かる
幼い頃、灯月館の門弟になった頃から俺は飛雷のことを見てきた、だから分かる
あいつは必ず戻ってくる。
俺等はあいつが戻ってくるのをただ待つだけだ。
「はぁ…はぁ…」
天樂の近くに封印されてる邪気はそこらの奴らとは格が違う、 人体に影響する効果もさっきの所の邪気よりももっと強い。命を落とす可能性もある
だから何だ、俺は…炎麗に必ず戻ってくるって約束した、だからこんなとこでへばってる時間など無い。
飛雷はそう考えた。
周りで物音がする、妖魔だろう。
今の状況だと飛雷は圧倒的不利だ。邪気の霧が濃すぎる、霧のせいで周りが見えない。戦闘になったとき相手の姿が見えなくなって不意をつかれ攻撃でもされたら飛雷の命は終わる。
「がはっげほ」
魔気の影響だ、今は逃げて天樂に会いに行くのが良いだろう。
右足に激痛が走った、飛雷が足を見た時には
既に遅かった。足全体から大量の血が流れ出ていた。おそらく妖魔に切り裂かれのだろう、飛雷は立つのも歩くのも精一杯だったもう逃げれない、戦うしか道は無いのだ
「もう逃げれないな…」
この戦いは圧倒的不利だ。周りが見えなくそして飛雷は負傷しているのだ、立つのも精一杯な程、 勝てる見込みが全くない。
飛雷は、死ぬのを恐れていなかった
昔、飛雷は母親に虐待されていた。父親は飛雷が生まれて間もない頃、病気で亡くなったのだ。お前のせいで父親が死んだと散々言われ、茶碗を投げられたことだってあった。
灯月堂に引き取られた頃から、どうせ自分も父親のようにいつか死ぬのだろうと思っていた。
でも今は違う。自分が死ぬのが怖いのだ、炎麗との約束を守れなかったことになる、自分が死んだせいで、炎麗も瑠姫もノアも死んでしまうかもしれない、そう思ってしまったのだ。
だからこそ生き残らなければならない。
後ろから物音がし、振り返ったその時
そこに立っていたのは見知らぬ男だった。
「結構しぶといんだな、あんた」
「さっきも足切断する勢いで切り裂いたのに」
黒いフードと霧のせいで顔が見えないが、相手は槍の様な武器を用いている、誰かはわからないがここ寂蛇龍穴に居るということ、魔気の影響がないように平然としていられる時点で普通の人間では無い。
「あぁそうか、祝福を持っているのか」
「てっきりあの黒髪のチビと一緒にいると思ったんだけどな?…」
(黒髪のチビ…誰のことだ?もしかしてノアか?)
「誰のことだか知らねえけど、ここから立ち去れ!」
「お前こそ、ここから立ち去るほうが良いんじゃないか?」
「お前の体、ここに入れば数分しか持たないぞ?お前のほうが立ち去ったほうが良いと、俺は思うけどな。」
相手の言う通りだ、魔気の影響を受けすぎたせいか、息苦しい。
「はぁ…可哀想だな、このまま少しずつ苦しみながら死んでいくなんて」
「お前っ…いい加減にし_」
そう飛雷が言いかけたその時、飛雷の首元に冷たい何かが触れた。
「光栄に思えよ?俺がお前を苦しませずに殺ってやるから」
(駄目だ、魔気の影響で頭がぼんやりしてきた。俺_ここで死ぬのかな)
そう思い、飛雷が目を閉じた時だった。
「貴様、私の領地で何をしている!」
「チッ邪魔が入ったか、じゃあな」
その男は霧と共に消えていった、来てくれたのは天樂だった。早く天樂を炎麗達の場所へ行かせなければ。
「飛雷!酷い傷じゃないか。今治してやる。」
―療草治泊―
血が止まっていく、今はそんなことを気にしてる場合じゃない。炎麗達の所に天樂様を行かせなくては
「天樂様…話は後です。炎麗達の所へ行ってください…」
「分かった、私に掴まっていろ」
『転送術―白―』
その時一面が光りに包まれた。
飛雷は気づいたら炎麗達が居る場所に戻っていた。
そう、天樂の仙術の一つ『転送術―白―』は、自分と対象の物を対象の場所へ転送できる仙術なのだ。
「お前達よく耐えてくれた、後は私に任せろ」
封印術式―零―
魔気や瘴気の霧がどんどん薄くなっていく。
天樂の術で封印したのだ、寂蛇龍穴最下層の地へ。
「飛雷、一人で立てるかい?」
「ありがとうございます。」
「飛雷!お前っ…その怪我どうしたんだ」
「ちょっと話すと長くなるんだけど…色々あってさ」
飛雷は、困ったように笑った。
「もう、笑うところじゃ無いよ。ほんっとうに心配したんだから…」
「ところでノアは…?」
「それが、まだ目覚めてなくて…今はあそこの木の下で休ませてるよ」
そう話して居ると、天樂が喋りかけてきた。
「炎麗、私に用事があるんだろう。」
「はい…そうです。飛雷、瑠姫お前等は先に戻っててくれ」
「分かりました。行きましょう飛雷」
「…分かった」
もうこの場には天樂、炎麗、ノアしかいない。
天樂と炎麗はノアが休んでいる木の下に行った。
「炎麗よ、その子供は誰だ?」
「彼の名前はノアです」
天樂は険悪な顔をした。
「ノアか、ずいぶんと子供にしては怨念が強いようだが…私の元に訪ねてきたのは其奴と関係があるのか?」
「はいそうです」
「ノアは記憶喪失でその記憶を天樂様に戻してもらうのが本来の目的です」
「本来の目的…ということは他の目的もあるのだな?」
炎麗は深く息を吸って言い放った
「ノアは魔龍の呪いを受けています」