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私は普通の女子。別に得意なこともないし趣味もあまりないし本当に普通の人間だ。1つの事を除けば。その1つは前世の記憶があるということ。この世界の人間で前世の記憶がある人間は私以外居ないだろう。多分だけど。でも前世の記憶があるということを誰にも伝えられない。それがダメなところだ。伝えられたら私の人生はどう変わるのだろうか。信じてくれない人が多いのかもしれないけど信じてくれたらお金も入るだろうしクラスの人気者になるのかもしれない。楽しそうな人生だ。でもこれはあくまで想像だ。こんなにうまくいくかってね。上手くいったらいいんだけど。そう思っていたのが去年までの自分。今は社会人になって一人暮らしだから、自分の好きなことをしようと思っている。だから、小さい頃から目指している小説家を本気で目指してみようと思った。まずは小説をかいてみよう。今回書きたい小説のテーマは「前世の記憶」。これは私の実話なんだけど、フィクションとして小説にしてみたいと思った。そうしたら自分の思いを伝えられるし、自分が前世の記憶があることを知られることもないし、夢の小説家にもなれるからいいなと思った。そうはいっても実際にかくとなると大変だ。とりあえずバイトをして小説を少しずつでも書き進めよう。
今日は2月というのに4月並みの気温があるようで、すごく暖かい。この気温を感じると桜が見たくなってしまう。でも今日はまだ2月だからなと自分に言い聞かせる。今日のカレンダーには10時から18時までのバイトだ。そろそろちゃんと仕事を探さなくてはいけないと思いつつ、小説を書きたいがために事実からにげている。ほんとにそろそろちゃんとしないと。バイトから帰ってきたら小説を書き始めようと思っている。初めての体験だからすごくドキドキしている。早く小説を書きたいから今日の朝は賞味期限ギリギリのカップラーメンで済ませてしまおう。
いまの時刻は19時。今日は会社にいるきついイメージの女性に仕事を任せられ、帰りが遅くなってしまった。カップラーメンで済ませてもプラマイゼロだったと後悔しながらも、昨日ダウンロードしたばかりの小説のアプリを起動し、タイトルを入力していた。そう。「前世の記憶」チュートリアルを見ながら見よう見まねで本文を新規登録した。ちょうど本文を書こうと最初の言葉を考えていたら肝心なことを思い出してしまった。「前世の記憶」が思い出せない……去年バタバタとしていたらぽつりと前世の記憶が思い出せなくなってしまった。それをまぁいいやとへこむことなく放っておいた自分が情けないし、その日から本当に私は普通の人間だったんだなと思い、実は私前世の記憶があるんだ。私の方が凄いよ。と影で思ってしまっていた事が凄く恥ずかしくなってしまった。いやそんなことより小説どうしよう……もう仕方ない、想像の前世の記憶を書くしかない。本当のフィクションになってしまった。まぁ書き始めるか、、、そう思いながら自分のポジティブ差に感心した。自分ってナルシストみたい。
私には前世の記憶がある。
いや、なんか違うよな、書き直し。
私の家庭はとても貧乏だ。だからなにか奇跡が起こってせめて普通の人みたいな生活をしてみたい。そう思っていた日。
やっぱりなにか違う、さっきよりは進んだものの、まだたったの53文字だけしか書いていない。だめだ。もう一回。
そんなふうに考えて書いては書き直しての繰り返していた。そしてやっと1つの場面が終わるところまでを自分が納得するまでかくことができた。ため息が一粒。弱音が二粒こぼれ落ちた。
まぶたをあげたと思ったらそれと同時に明るい光が飛び込んできた。驚いて時計を見上げると時計のはりは9時30分を指していた。やばい、今日のバイトは9時半からなんだ。もう遅れたと確信しつつも寝癖を直して外に出た。結局あのまま寝てしまっていたんだ。実際フィクションになってしまったし、自分の思い描く小説の道とはかけ離れたものになってしまうかもしれない。そこで、小説家という夢を少し失った。今日は会社に行ってもいつものように対応できず、店長にも心配と迷惑をかけてしまった。申し訳ない。家についてもなにもやる気が出ず、疲れてしまい、そのままベットにダイブして早めに寝た。
朝起きて、バイトが休みということをしっかりと確認し、小説をかいて見ることにした。それとともに、小説家という夢を諦めることを決意した。この小説をネットに投稿して、これで終わり。これでいいの。これでやっと諦められた。少し心が楽になって、軽々と小説をかくことができた。「前世の記憶」。前世の記憶がある人間が、科学者になり、世界を発達させて、色々な賞を受賞した。簡単に言えばそんな話。これをスクリーンショットして、ネットに投稿する。こんかい小説をかいたことで、自分はとっても弱いことが分かった。前世の記憶があることだけで自分を上にして、前世の記憶がないことに気がつけば小説家になりたいという強い思いまでなくしてしまう。本当に弱い人間だった。なのにポジティブってどうかしているよね。とりあえず明日からは投稿した小説の評価を一日ずつ確認して、あとはバイトに行ってごく普通の毎日を過ごすだけ。希望もなくして。でも、もしかしたらいい事があるかも?なんてね。
朝起きて、あくびをしながら会社へ電車で向かう。特にやることなんてないから、電車の中をボーッと見渡してみると、たくさんの広告に、ポスター、この中には私の過去を思い出すようなものもあった。ひときわめだっているポスターを見つけ、読んでみると、「小説家募集中!」と大きくかいてあった。その下には、「自分の名前、電話番号などを入力し、小説を投稿してください。」とかかれていた。昨日小説家という夢を諦めた私には少し複雑な思いがあった。この間書き上げた小説をこのサイトに投稿したらもしかしたらすごい評価が得られてニュースになるかもな。と言う思いもあるし、もう諦めたんだから。という思いもあった。一応そのサイトの存在を覚えておいて、少し考えてみよう。そうやって、一回悩みをおいて、昨日投稿した小説どうなったかな。と、マイページを開いてみた。すると、「なんだよこの小説。こんなのでよく投稿できたな。」というコメントが一件みつかった。嬉しいコメントではなかった。ただ、初めてのコメントをもらえた。という点に対してはすこし嬉しかった。人気になればなるほど、嬉しいコメントも、悲しいコメントも、増えていくものだ。悲しいコメントは受け取ったらすごく悲しいと思っていた。でも、もしかしたら、コメントをもらうという事に変わりはないから、凄く悲しいというわけではないのかもしれない。1つ成長できた。そう思うのかもしれない。携帯を鞄にしまって電車をでて、会社へと歩いて向かう。会社について、仕事を終わらせ、電車に乗って家に帰る。そしてまた、小説家募集中!というポスターを見つけた。真剣に考えて、結果、投稿してみることにした。やってみないと変わらないしね!家について、さっそく名前や電話番号を入力してみると、すぐに、小説を投稿する画面に移り変わった。そして、小説を投稿してみた。すると、後日結果が届きますというメールが届いた。結果が楽しみだ。今日は早めに寝よう。
ドキドキしていたのか、夜中なんどもめざめてしまった。いつものアラーム まで待ちきれないからもう、結果をみてしまった。「不合格」やっぱりそうか。あのコメントの通りなのかもしれない。そう思うとすごく心が苦しくなった。あんなに努力したのにさっと努力は消えてってしまう。でも、みんなそんなもんなのかもしれない。努力は報われない。だから、私は認めてもらえる、努力のような努力じゃないそんなことができるまで頑張ってみようと思った。
「何度も挑戦できます。 」