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朝のHRを終え、2限目の体育の時間。
女子は持久走の練習、男子は体力測定で男女別々で授業をすることになっていた。
「赤坂君、握力なんだった?」
――同じクラスのイケメンで中心的な存在、「佐藤悠真」。
リーダーシップの頼れるお兄さん、みたいな雰囲気を纏っている為、女子からはそれはまあモテモテだ。
佐藤と俺とではあまり関わりが無く、話さない訳だが一度いじめ問題について大丈夫かと心配の言葉を掛けられた事がある。
見えないところでいじめは繰り広げられているが、彼もクラスの雰囲気から薄々気付いていたのだろう。
困った時があればいつでも言ってくれ、と言われ少し救われた気がした。
だがその神様のような助言はすぐに撤回…。
あることないこと噂でばら撒かれ、その最低最悪な噂が見事、というより当たり前だが佐藤の耳に入ってしまったという訳だ。
くそ…くそぉ……。
「36だ」そう伝え、記録表に記録してから彼は皆の所へと戻っていった。
階段からふと女子の方面を見ると、1人だけが走っており他の残りの女子は段差に座ってくたびれていた。
よく見ると、その1人だけで走っている女子は朝のポニーテールの女、澤井凛だった。
なんとなく見ていると、突如に澤井凛は転けた。
あいつはそんなに運動神経が悪かったか……?
――おい、……誰も助けにいかないのかよ。
時間が経っても転けた澤井凛は立ち上がらず、仰向けになって倒れている。
女子がコソコソと何か話し出したと思うと授業の終わりのチャイムが鳴り、一斉に更衣室へと足を運んだ。
――だが、1人のメガネを着けた女子が声を掛けようとしたのが目に見えた。
だが躊躇ってそのまま更衣室へと向かってしまった。
男子の方も終わった為、俺含め他の生徒は反対方向にある更衣室に向かおうとしていた。